
2025年10月20日、IBMとGroq社は、企業がAI(人工知能)をより速く、そして大規模に導入できるようにするための戦略的な提携を発表しました。この提携は、まるで人間のように自分で考えて仕事を進める「エージェント型AI」を企業で使う際に直面する「スピード」「コスト」「信頼性」といった課題を解決し、ビジネスの成長を強力にサポートすることを目的としています。
高速AI推論で企業のAI活用を加速
今回の提携の大きなポイントは、IBMのAIオーケストレーション技術「watsonx Orchestrate」と、Groq社が開発した超高速なAI推論技術「GroqCloud」が結びつくことです。これにより、企業はこれまでよりもずっと速く、そしてコストを抑えながらAIをビジネスに取り入れられるようになります。
Groq社の「GroqCloud」は、LPU(Language Processor Unit)という独自の高性能なチップを搭載しており、一般的なGPU(グラフィック処理装置)を使ったシステムよりも5倍以上も速くAIが答えを導き出すことができると言われています。この速さと効率の良さが、世界中でAIの利用が広がっても、常に安定した速さでAIが動くことを可能にします。これは、特に厳しいルールがある医療や金融などの業界でAIを使う場合に、非常に役立つ機能です。
実際のビジネスでの活用例
この新しい技術は、すでに様々な分野での活用が期待されています。
例えば、医療機関では、患者さんから同時に何千もの複雑な質問が寄せられることがあります。Groq社の超高速なAI推論技術を使えば、IBMのAIエージェントがこれらの情報を瞬時に分析し、正確な答えをリアルタイムで提供できるようになります。これにより、患者さんの体験が向上し、より迅速で賢い意思決定ができるようになります。
また、小売業や消費財メーカーでは、人事の仕事の自動化にも活用されています。AIエージェントが人事のプロセスを効率化することで、従業員の生産性を高める手助けをしています。
両社のリーダーが語るパートナーシップの展望
IBMのソフトウェア担当シニア・バイス・プレジデント 兼 チーフ・コマーシャル・オフィサーであるロブ・トーマス氏は、「多くの大企業はAIの試行錯誤段階で様々な選択肢を持っていますが、実際にビジネスで使う段階になると、複雑な仕事を確実にこなし、質の高い体験を保証する必要があります。Groq社とのパートナーシップは、IBMがお客様に最先端の技術を提供し、AIの導入とビジネス価値の創出を支援するという強い決意を示すものです」と述べています。
Groq社のCEO兼創業者のジョナサン・ロス氏は、「Groq社のスピードとIBMが持つ企業向けAIの専門知識が合わさることで、ビジネス向けのエージェント型AIが現実のものとなります。両社が協力して、企業がAIの可能性を最大限に引き出し、必要なパフォーマンスを発揮できるようにします。このパートナーシップは、企業がAIの活用を試験運用から自信を持って全体へと広げ、AIをすぐに実際の行動につなげ、継続的に学習できる新しい道を開くことを目指しています」と語っています。
お客様への具体的な提供価値
IBMは、本日よりGroqCloudの機能をお客様に提供し、両社の協力チームは以下の機能を提供できるようになります。
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高速で高性能なAI推論: AIモデルやエージェント型AIの能力を最大限に引き出し、お客様へのサポート、従業員の支援、仕事の効率化など、様々な場面で強力にAIをサポートします。 
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セキュリティとプライバシーに配慮したAI導入: 最も厳しい規制やセキュリティの要件にも対応し、複雑な業務を安心してAIに任せることができます。 
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IBMのAIエージェントソリューション「watsonx Orchestrate」とのスムーズな連携: 様々な用途に合わせて設計されたAIの利用パターンを柔軟に選んで活用できます。 
さらに、今回の提携では、Red Hatのオープンソース技術であるvLLMとGroq社のLPUアーキテクチャーの連携も計画されています。これにより、AI開発者がAI推論で直面する一般的な課題に対し、様々な解決策を提供します。開発者は慣れ親しんだツールを使いながら、GroqCloudの力でAI推論をさらに速くできるようになります。この連携は、AIの推論を管理したり、負荷を分散させたり、ハードウェアを効率的に使ったりといった、AI開発者の主要なニーズに応え、最終的にAI開発のプロセスをよりスムーズにすることにつながります。
IBMとGroq社は協力して、企業が速く、賢く、そして実際にビジネスに役立つAIを使えるようにしていきます。
Groq社についての詳細は、Groq社ウェブサイトをご覧ください。
IBM Graniteモデルについても、IBM Graniteで詳細を確認できます。
本提携に関するIBMのプレスリリースの原文は、こちらからご覧いただけます。
 
  
  
  
  
