PKSHAと東北大学が共同開発した「説得対話AI」が国際会議EMNLP2025に採択!人の心に寄り添うAIでコミュニケーションを高度化

自然言語処理(NLP)

PKSHAと東北大学の共同開発した「説得対話AI」が自然言語処理のトップ国際会議に採択

PKSHA Technologyと東北大学言語AI研究センターが共同で研究を進めてきた対話AI技術に関する論文が、自然言語処理分野の国際的なトップ会議である「EMNLP 2025」のIndustry Trackに採択されたことが発表されました。

この研究で開発されたのは、人間の心理や状況を理解し、相手の行動を良い方向に変えることを目指す「説得対話AI」という新しい技術です。これまでのAIでは難しかった、購買や行動にあまり意欲がない人に対しても、前向きな気持ちに変化させる高い効果があることが実験で確認されています。

東北大学 言語AI研究センターとPKSHA TECHNOLOGYのロゴ

研究成果の特長:人の行動変容を促す高度な対話AI

最近の「生成AI」の登場で、AIの使い道はどんどん広がっています。特に、コーチング、カウンセリング、営業といった、より複雑で高度な対話の自動化が求められるようになっています。このような対話には、目的に向かって戦略的に話を進める能力が必要ですが、現在の対話AIは、まだ人間のレベルには追いついていません。

今回の研究では、ビジネスの現場で広く使われている「行動心理学」に基づいた説得の戦略をAIに新しく取り入れました。これにより、特に、何かを勧められてもあまり乗り気ではない人に対しても、優れた説得能力を発揮することが示されています。この技術が実用化されれば、目的や状況に合わせて適切なコミュニケーションを行うことで、人の行動を変える手助けをし、より難しい問題の解決や意思決定をサポートすることが期待されます。

論文詳細

採択された論文のタイトルは以下の通りです。

  • Title: Enhancing Persuasive Dialogue Agents by Synthesizing Cross-Disciplinary Communication Strategies

  • Authors: Shinnosuke Nozue (Tohoku University), Yuto Nakano (Tohoku University), Yotaro Watanabe (PKSHA Technology Inc.), Meguru Takasaki (PKSHA Technology Inc.), Shoji Moriya (Tohoku University), Reina Akama (Tohoku University / NINJAL), Jun Suzuki (Tohoku University)

この論文では、説得力のある対話AIを作るための効果的な戦略を探求しています。社会心理学、行動経済学、コミュニケーション理論など、さまざまな分野の知識を組み合わせることで、より実践的な戦略を提案しています。P4GとDailyPersuasionという2つの異なるデータセットを使った実験で、このアプローチが高い説得成功率を達成し、幅広い状況で応用できる可能性を示しました。特に、最初は意欲が低かった人たちを説得することにも優れており、説得AIにおける重要な課題を解決するものです。

EMNLP2025について

「EMNLP 2025」は、2025年11月4日から11月9日まで中国・蘇州で開催される、自然言語処理分野で世界的に権威のある国際会議の一つです。この会議は、計算言語学協会(ACL)が主催し、経験的な手法に基づいた最新のNLP研究が世界中から集まります。今年の特別なテーマは「異分野間での再文脈化 (Interdisciplinary Recontextualization of NLP)」で、大規模言語モデル(LLM)の安全性、効率性、倫理、異分野への応用といった最先端の話題が議論されます。

今回採択されたIndustry Trackは、産業への応用を目指した言語技術の手法を議論することを目的としており、実際の社会での活用につながる技術革新や実装に関する発表が高く評価されます。

今後の展望

PKSHA Technologyは、今回の「説得対話AI」技術の研究成果を基盤として、実用化に向けた開発をさらに加速させていきます。同社が提供する「PKSHA AI Agents」のコミュニケーション能力をさらに高めることで、コンタクトセンターでのオペレーターによる高度な応対支援や、営業活動のサポートなど、さまざまな場面での活用が期待されます。

PKSHA Technologyは、この技術を通じて顧客企業の事業成長に貢献するとともに、「未来のソフトウエアを形にする」というミッションのもと、人とソフトウエアが協力しながら進化し、社会の課題を解決する持続可能な社会の実現を目指していきます。

東北大学 言語AI研究センターについて

東北大学は、自然言語処理の分野で国内でもトップクラスの研究グループを持ち、世界的に認められた実績を誇っています。2023年10月に設立された言語AI研究センターは、これらの優れた研究者を中心に、生成AIを含む高度なAI技術の開発と応用を推進しています。AIアラインメントやセーフティ研究の強化、AI駆動型研究の推進など、幅広い領域でAI技術の発展に貢献することを目指しています。

株式会社PKSHA Technologyについて

株式会社PKSHA Technologyは「未来のソフトウエアを形にする」というミッションを掲げ、社会の課題を解決する様々なAIやAIエージェントを提供しています。金融、製造、教育といった各業界に特化した「AIソリューション」や、「PKSHA AI ヘルプデスク」「PKSHA Chat Agent」のような汎用性の高い「AI SaaS」を展開することで、未来の働き方を支援し、人とソフトウエアが共に進化する社会を実現しようとしています。

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