2025年11月4日、リーガルテック株式会社とAIデータ株式会社は、エネルギー・気候テック産業向けの新たな取り組みを発表しました。両社は「知財AI」と「AIファクトリー」というAI技術を組み合わせることで、AIが社会を変革する「AX(AI Transformation)時代」における、地球温暖化対策や持続可能な社会を目指す「GX(グリーントランスフォーメーション)」、そして「カーボンニュートラル」を支えるための「知財インフラ」を構築するといいます。

なぜ今、知財インフラが必要なのか?
地球温暖化対策やエネルギーの安定供給は、国や企業にとって非常に大切な課題です。太陽光発電や風力発電、水素エネルギー、CO2を回収・貯留する技術(CCUS)、蓄電池、スマートグリッドといった分野は、今、ものすごい速さで成長しています。このような時代には、「データ」と「AI」、そして「知財(知的財産、主に特許)」を組み合わせた新しい産業の仕組みが欠かせません。
しかし、現在の日本では、環境・エネルギー技術の研究開発では強みを持っているものの、特許の管理がバラバラになっていたり、国際的なルール作りで欧米や中国に遅れをとっているという課題があります。
具体的には、次のような問題が挙げられます。
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特許の管理がバラバラ: 再生可能エネルギーや蓄電池、水素といった分野の特許が散らばっていて、全体としてどう活用していくかの戦略が立てにくい状況です。
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国際的な競争力の遅れ: ヨーロッパは「グリーンディール」という大きな政策で、中国も国をあげて知財戦略を進めています。日本はこれに対応するのが遅れているといえるでしょう。
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知財からの収益化の難しさ: せっかくの特許が、なかなかお金に結びつかず、研究開発にかけた費用を回収しにくいという問題があります。
 
知財AI × AIファクトリーが提供する解決策
リーガルテック社とAIデータ社が提供する「知財AI × AIファクトリー」は、これらの課題を解決するための強力な手段です。
1. Tokkyo.Aiによるグリーン特許分析
AIが、太陽光、風力、水素、CCUSといった環境技術に関する特許をわかりやすく見せてくれます。競合する会社や他の国の特許の動きをリアルタイムで分析し、どこに日本の強みがあるのかを見つけ出します。
2. AI IPGenius on IDXによる知財戦略設計
エネルギー・環境技術ごとに、特許を出願するためのひな形(テンプレート)があらかじめ用意されています。これにより、新しい技術が生まれたら、すぐに特許の出願手続きを進められます。また、特許と、CO2排出量を減らす取り組み(カーボンクレジット)や環境規制への対応を結びつけ、事業として成功するようサポートします。
3. マネタイズインフラの整備
GXに関連する技術の特許を対象とした「知財マーケットプレイス」を作り、特許のライセンス契約や共同開発が活発になるようにします。AIが特許の価値を診断することで、投資家や企業が安心して投資や取引ができるよう、透明性の高い評価を提供します。
期待される効果
この取り組みによって、次のような効果が期待されます。
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GXの加速: 特許をうまく活用することで、再生可能エネルギーの普及や水素社会の実現、カーボンニュートラル達成を後押しします。
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国際競争力の強化: 業界の標準となるような重要な特許(標準必須特許)をしっかりと確保し、日本で生まれた技術が国際的なルールの中に組み込まれるようにします。
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投資の好循環: 特許を収益化することで、そこから得られたお金を再び研究開発に投資できるようになり、技術革新がさらに進むことでしょう。
 
知財AI™ プロジェクトについて
このプロジェクトでは、以下のAIツールが活用されます。
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MyTokkyo.Ai: 簡単な検索から専門的な特許調査・分析までできる特許検索AIプラットフォーム。
- 詳細はこちら: https://www.tokkyo.ai/pvt/
 
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AI IPGenius on IDX: 特許出願の支援、知財に関する書類作成、知識の共有を可能にするAI統合エンジン。
 
今後の展望
リーガルテック社とAIデータ社は、今回の「知財AI × AIファクトリー」を通じて、エネルギー・気候テック分野における「研究 → 知財化 → 標準化 → マネタイズ(収益化)」という一連の流れを確立していくとのことです。AIが社会を大きく変えるAX時代において、日本が世界のGX市場をリードするための知財インフラを提供していくことが期待されます。
リーガルテック株式会社について
リーガルテック株式会社は、2021年3月に設立されました。特許調査・発明抽出プラットフォーム「MyTokkyo.Ai」や、自社専用AIプラットフォーム「AI IPGenius」などの開発・提供を行っています。
- ウェブサイト: https://www.legaltech.co.jp/
 
AIデータ株式会社について
AIデータ株式会社は、2015年4月に設立され、20年以上にわたり企業や個人のデータ資産を守り、活用する事業を展開してきました。データ管理や復旧サービス、法務分野でのフォレンジック調査などで高い評価を得ています。また、グループ会社の特許検索・出願支援システム『Tokkyo.Ai』やIPマーケットプレイスの構築を通じて、知財の管理と収益化も支援しています。
- ウェブサイト: https://www.aidata.co.jp/
 
  
  
  
  
