アイリスのAIエンジニア、世界的なAIコンペで2年連続1位に
AI医療機器の開発を手がけるアイリス株式会社のAIエンジニア、Quan Huu Cap(クアン・フー・キャップ)氏が、世界的に有名なAI学会「MICCAI 2025」が開催したAIコンペティションで1位を獲得しました。アイリスとしては、昨年の腎臓病理画像解析コンペティションに続き、2年連続での快挙となります。
今回のコンペティションは、手術支援ロボット「ダヴィンチ」の開発元であるインテュイティブサージカル社が主催しました。AIが手術ロボットの「目」となる技術を開発することが求められ、特に手術の動画から使われている手術器具や行われている作業をAIが正確に識別する課題が出されました。
MICCAIとは?
MICCAI(Medical Image Computing and Computer-Assisted Intervention)は、医療画像の処理やコンピュータを使った手術支援など、様々な分野の研究が集まる世界トップクラスの国際会議です。世界中の研究者や企業が、医療の進化を支える最新技術を発表する場となっています。
この会議では毎年「MICCAIチャレンジ」というコンペティションが行われ、参加者は医療画像の分析やAIを使った診断など、特定のAI技術について競い合います。そのモデルの科学的な正確さや革新性が評価されます。
革新的なAI技術で課題を解決
Quan氏は今回のコンペティションで、Vision-Language Models(VLM)という、画像とテキスト(言葉)の両方を理解できる特別な生成AIを活用した新しい方法を開発しました。通常、手術動画のような大量のデータに手作業で説明(ラベル)をつけるには膨大な時間がかかります。しかしQuan氏は、人間が動画に説明をつけなくても、AIに的確な指示(プロンプトエンジニアリング)を与えることで、高い精度を出すことに成功しました。
この新しい「プロンプトエンジニアリング」の手法は、医療動画の分析において、手作業でのデータ準備への依存を減らし、AIの活用範囲を大きく広げる可能性を秘めています。
アイリスのAIエンジニア育成への取り組み
アイリスは、AIエンジニアが国際的なチャレンジやコンペティションに参加することを積極的に応援しています。このような取り組みを通じて、優れたエンジニアが技術力を高め、個人の成長と会社の発展の両方を進められる環境を整えています。アイリスは、技術の卓越性とビジネスの成長が調和しながら進化する仕組みを作り続けています。
関係者のコメント
Quan Huu Cap氏のコメント
「Surgical Visual Understanding 2025チャレンジに参加できたことは、私にとって非常に刺激的な経験でした。これまで経験の少なかった手術動画データとVLMという全く新しい分野に深く関わる機会を得ました。」
「この課題は手術動画からの視覚的な質問応答に焦点を当てていましたが、キャプションが非常に限られており、データもノイズが多かったため、特に一人での参加者としては、ラベル付けと分析が困難でした。コンペティションの終盤に、いくつかの効果的な工夫を凝らした『プロンプトエンジニア』戦略を思いつき、グラウンドトゥルースの動画キャプションに頼ることなく最高のスコアを達成できました。」
「このチャレンジで1位を獲得できたことを心から光栄に思います。常にサポートし、データサイエンスコンペティションへの参加を奨励してくれるアイリスに深く感謝します。ここで開発した技術が、動画理解の向上に貢献し、手術AIの分野の進歩を助けることを願っています。」
アイリスCTO 福田篤史氏のコメント
「QuanがMICCAI主催の国際機械学習コンペティションで2年連続の1位を獲得したことを大変誇りに思います。」
「今回のチャレンジは、AIが手術動画を解釈し、器具や進行中の手順を識別するという、非常に複雑なタスクでした。このような技術は、手術動画の理解だけでなく、産業や教育などの分野での応用にも基礎となるものであり、私たちの製品開発に直接つながるものです。」
「アイリスは今後も、特に医療分野において社会に貢献する影響力の高いAIチャレンジに取り組み、そこで得られた知見を製品開発に応用し、すべての人にとってより良い医療体験の創造を追求していきます。」
アイリス株式会社について
アイリス株式会社は「みんなで共創できる、ひらかれた医療をつくる。」をミッションに掲げ、2017年に創業しました。現役医師である代表の沖山氏をはじめ、医療従事者、行政出身者、AI医療領域に特化したデータサイエンティストなど、様々な専門家が集まり、深層学習技術(AI技術)を活用して、医師の持つ高度な技術をデジタル化するAI医療機器を開発しています。
- 企業URL: https://aillis.jp/

