AI翻訳ツールで英語の「得意・苦手」が変化?ビジネスにおける英語力とAI活用の最新実態

ビジネス活用

AI(人工知能)の進化は、私たちの働き方に大きな変化をもたらしています。特に、自動翻訳や生成AIの登場により、これまでビジネスの場で重要視されてきた「英語力」のあり方も変わりつつあります。株式会社クリエイティブバンクが運営する『デジタル化の窓口』は、全国の会社員と経営者1,256名を対象に、英語力とキャリアの関係、そしてAI翻訳ツールの活用状況について調査を実施しました。

AI活用で「英語格差」は縮まる?広がる?

調査の結果、AIの活用によって「英語ができる人とのキャリアや収入の差が小さくなった」と感じる人が約30%にのぼることがわかりました。これは、AI翻訳ツールが英語が苦手な人にとって強力なサポートツールとなり、言語の壁を低くしていることを示唆しています。

英語ができることと収入やキャリア

しかし、その一方で、「英語ができる人がさらにAIも活用し、キャリアや収入の差が大きくなる」と感じる人も約20%存在します。AI翻訳は、英語が得意な人にとっては「加速装置」となり、さらに成果を高める手助けをしている可能性があります。この結果は、AIの普及が英語力による格差を単純に埋めるのではなく、新しい形で再編している状況を示していると言えるでしょう。

若年層ほど英語は日常に。年代別で異なる英語との関わり方

仕事で外国語(英語など)を使う頻度について尋ねると、20代では「ほぼ毎日ある」が15.8%、「週に数回程度ある」が34.4%と、合わせて約5割が日常的に英語に触れていることが判明しました。30代でも3割を超えており、若い世代ほど仕事で英語を使う機会が多いことがわかります。

年代別 仕事で外国語を使う機会

これは、メールやチャット、資料作成など、「読む・書く」場面で英語が当たり前になっている状況を反映しています。AI翻訳の普及も、この傾向を後押ししていると考えられます。今後、どのように英語を補い、使いこなすかが、個人のスキル形成において重要な要素となるでしょう。

英語対応、20代は自信あり、30代はツールを使いこなす

仕事で英語を使う人に対し、自身の対応レベルを尋ねたところ、20代では26.6%が「英語でも問題なく仕事が進められる」と回答し、他の年代を上回る結果となりました。若い世代の英語力に対する自信の高さがうかがえます。

年代別 仕事における英語対応への自信

一方、30代では「翻訳ツールを使えば対応できる」が30.6%と最も多く、ツールを上手に活用して英語での業務に対応している実態が見られます。このように、英語へのアプローチは世代によって多様化していると言えるでしょう。

ビジネス英語は「伝えるため」のツールへ

仕事で外国語(英語など)を使う場面については、「ウェブ会議や打ち合わせなど」が40.3%、「メールやチャットなど」が39.5%と、人とのやり取りを中心としたコミュニケーション用途が上位を占めました。これは、英語が「書類を読むため」だけでなく、「相手と意思を交わすため」の言語としてビジネスの現場に浸透していることを示しています。

仕事で外国語を使用する場面

AI翻訳が普及したことで、文法的な正確さよりも、スピード感と相手に伝わる力が求められるようになり、英語は専門スキルというより日常的な対話ツールへと変化しています。

翻訳ツールが主流に。人に頼る機会は減少

仕事で外国語(英語など)に対応する方法では、「無料の自動翻訳ツール」が42.9%と最も多く、次いで「生成AIで翻訳」が37.6%、「有料の自動翻訳ツール」が28.5%と続き、翻訳対応の中心がツールへ移行していることが明らかになりました。

仕事における外国語対応の方法

かつて一般的だった「社内の外国語が得意な同僚に依頼」は13.8%、「外部の翻訳・通訳会社に依頼」は7.4%にとどまり、人に頼るケースは少数派となっています。AI翻訳の精度向上と即時性への信頼が背景にあり、翻訳作業は「属人的なスキル」から「誰でも使える仕組み」へと変化していると言えるでしょう。

翻訳ツールに求められるのは「リアルタイム性」と「感情理解」

今後の仕事で「どのような翻訳・通訳機能があったらよいか」を尋ねたところ、「対面でリアルタイムに会話を翻訳・通訳できる機能」が36.2%で最も多く、次いで「感情やニュアンスまで伝わる翻訳」が29.8%、「より高精度な自動翻訳ツール」が29.6%と続きました。

こんな翻訳・通訳の機能があったらいい

この結果から、AI翻訳が一般的になった現在でも、リアルタイム性や感情表現といった「人のやり取り」を完全に補いきれていない領域が残っていることがわかります。これからの翻訳ツールには、情報の正確さだけでなく、人の思考や感情をどれだけ再現できるかが問われていくことでしょう。

まとめ

AI翻訳ツールの発展は、ビジネスにおける英語力のあり方を大きく変えています。英語が苦手な人にとっては業務のハードルが下がり、得意な人にとってはさらなる活躍の機会が生まれる可能性を秘めています。今後も、AI技術の進化とともに、私たちの働き方やスキル形成は多様に変化していくことでしょう。

自動翻訳システムについては、以下の記事でさらに詳しく解説されています。

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調査概要

  • 調査期間:2025年10月31日~2025年11月2日

  • 調査対象:国内在住の会社員(正社員、契約社員、派遣社員)・経営者の20代から60代男女

  • 有効回答者数:1256名

  • 調査機関:『デジタル化の窓口』(運営元:株式会社クリエイティブバンク)

  • 調査方法:インターネットリサーチ(ジャストシステム「Fastask」利用)

  • 調査元記事URLhttps://digi-mado.jp/article/113935/

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