人工知能(AI)の技術は、私たちの生活や社会を大きく変えつつあります。特に、文章や画像を自動で作る「生成AI」や、身近な機器でAIを動かす「エッジコンピューティング」の広がりによって、AIの頭脳ともいえる「AIチップ」(半導体)の需要が世界中で急激に高まっています。これらのAIチップは、リアルタイムで素早く計算を行い、しかも少ない電力で動くように進化を続けています。

台湾がリードする高性能AIチップの世界
台湾は、AIチップを作る上で非常に重要な役割を担っています。チップの設計から製造までを一貫して行える「半導体エコシステム」を持っており、特に高い性能が求められる計算用のチップ(HPC用チップ)を作る分野では世界のトップを走っています。さらに、最近では台湾の会社が、より高性能なチップを作るための新しい技術開発にも積極的に取り組んでおり、台湾は世界の高性能AIチップ産業の中心地としての地位を確立しています。
台湾の産業発展署による支援
台湾の経済部産業発展署(経済を所管する政府機関)は、台湾企業がAI関連のチップ開発を進め、世界市場で活躍できるよう、長年にわたって「スマートエレクトロニクス産業推進室(SIPO)」という部署を通じて支援を行っています。2020年からは「AI on Chip産業推進計画」をスタートさせ、市場のニーズに応えながら、台湾企業の技術力と特徴を活かして、さまざまなビジネスの出会いや協力の機会を作り出しています。
日本と台湾の強力な連携
日本は、台湾にとって非常に大切な経済パートナーです。両国は毎年、「架け橋会議」という定期的な話し合いの場を設けて、協力関係を深めています。この「AI on Chip産業推進計画」の一環として、産業発展署は「AI on Chip産業協力戦略アライアンス」という仕組みを作り、台湾と日本の企業が技術で協力したり、ビジネスの話し合いをしたりする場を提供しています。
これまでに、凌陽科技(Sunplus Technology)、奇景光電(Himax Technologies)、創鑫智慧(Neuchips)、耐能智慧(Kneron)、輝創電子(Whetron Electronics)、科音國際(Sound Land Corp.)、奇翼醫電(Singular Wings Medical)といった台湾の企業が、日本のシステム開発会社、商社、半導体部品・ソリューションを提供する会社、自動車部品メーカー(Tier1)、電子計測機器メーカーなどと、15回以上の国際的な商談会を行ってきました。
これらの商談の中には、すでに「協業覚書(MOU)」という協力関係を約束する書類が交わされた例もあり、日本と台湾がお互いに協力し合う関係がより深まり、台湾の半導体やシステム関連の企業が日本市場でさらに競争力を高めることにつながっています。
産業発展署は、これからもこの取り組みを続け、さらに多くの優れた台湾企業が世界市場で活躍できるよう後押しし、日本と台湾の産業協力を深め、新しいビジネスチャンスを生み出すことを目指しています。
お問い合わせ先
Smart Electronics Industry Project Promotion Office (SIPO), IDA, MOEA
service@ai-on-chip-b2bmatch.org.tw

