ネクストジェンとマイクロソフトが連携、コンタクトセンターのAI活用を加速

株式会社ネクストジェンは、同社が提供する音声キャプチャリング・システム「LA-6000」が、マイクロソフト社のAI自然言語処理サービス「Azure AI Speech」に対応したことを発表しました。この連携により、コンタクトセンター(電話での問い合わせ窓口)におけるAI機能の導入や活用が、これまでよりも簡単かつ迅速に進められるようになります。
AI活用の背景と課題
近年、コンタクトセンターでは、お客様の満足度を高めたり、オペレーター(電話対応者)の負担を減らしたり、さらには悪質なクレーム(カスタマーハラスメント)対策として、AI技術の活用が急速に進んでいます。特に、AIが人の声を認識して文字に変換する機能と、CTIサービス(電話とコンピューターを連携させて業務を効率化するシステム)を組み合わせたいという要望が増えています。
しかし、既存のCTIサービスに新しいAI機能を導入しようとすると、システム全体を入れ替える必要があり、多額の費用と時間がかかることが、AI導入の大きな壁となっていました。
「LA-6000」がAI導入の橋渡し役
「LA-6000」は、さまざまなCTIサービスとAIサービスの間をリアルタイムでつなぐ役割を果たしてきました。今回、この「LA-6000」がマイクロソフト社の「Azure AI Speech」に対応したことで、その機能がさらに強化されます。
この連携により、通話中の音声データがリアルタイムで「Azure AI Speech」に送られ、すぐに文字データに変換されます。この文字データは、以下のようなさまざまなAI活用に役立ちます。
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オペレーター向けのFAQ(よくある質問)の自動表示
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管理者がリアルタイムで通話内容をモニタリング
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お客様の感情を分析して、必要に応じて適切な担当者へ引き継ぎ(エスカレーション)
これにより、お客様の満足度向上や、より質の高い対応の提供に貢献します。
Azure AI Speechとは
「Azure AI Speech」は、マイクロソフト社が提供する、AIが人の言葉を処理するための統合的なサービスです。具体的には、音声認識(Speech to Text、音声を文字に変換)、テキスト読み上げ(文字を音声に変換)、自動翻訳などの機能が含まれています。特に音声認識機能は、高い信頼性と企業のセキュリティ基準を満たしているため、多くの企業で利用されています。
CTIサービスとは
CTIサービスとは、「Computer Telephony Integration」の略で、電話やFAXとコンピューターシステムを連携させることで、電話応対業務をより高度にするシステムです。主にコンタクトセンターで使われ、お客様のデータベースと電話を連携させることで、お客様の情報に基づいたスムーズなサポートを提供します。

「LA-6000」を活用することで、企業は現在使っているCTIサービスをそのまま利用しながら、必要なAIサービスを柔軟に連携させることができます。これにより、CTIサービスを新しくしたり、入れ替えたりする費用や手間を省き、スムーズにAI機能を導入することが可能になります。
接続可能なサービス
「LA-6000」は、以下のCTIサービスやAIサービスと接続が可能です。
接続可能なCTIサービス
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UNIVERGE SV9500CT(NECプラットフォームズ株式会社)
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Cisco Unified Communications Manager(シスコシステムズ合同会社)
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Avaya Aura(日本アバイア株式会社)
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NETTOWER CX-01(株式会社日立情報通信エンジニアリング)
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Genesys Cloud/Engage(ジェネシスクラウドサービス株式会社)
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CT-e1/SaaS(株式会社コムデザイン)
接続可能なAIサービス
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【新たに追加】Azure AI Speech(日本マイクロソフト株式会社)
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Enour CallAssistant(株式会社オプテージ)
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ForeSight Voice Mining(NTTテクノクロス株式会社)
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RECAIUS コンタクトセンタープラス(東芝デジタルソリューションズ株式会社)
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U-cube cogni(株式会社ネクストジェン)
ネクストジェンの強み
CTIシステムとAIシステムは、それぞれ異なる専門分野の技術です。これらをスムーズに連携させるには、両方の技術について深く理解していることが重要です。ネクストジェンは、創業以来、通信事業者向けのビジネスで培ってきた高度な技術力に加え、約10年前からAIによる音声認識の研究開発にも取り組んできました。
これらの経験と実績を活かし、ネクストジェンはコンタクトセンター業界のAI活用を推進し、お客様の満足度向上と、オペレーターの業務負担軽減による生産性向上に貢献していきます。
今後の展開
ネクストジェンは20年以上にわたり、音声通信の技術革新に取り組んできました。近年のAIの急速な進化と利用範囲の広がりにより、音声通信の分野でもAIの活用は不可欠となっています。「LA-6000」は、CTIなどの既存システムに影響を与えることなく、AIサービスの導入や活用をスムーズかつ迅速に実現するシステムです。
今後、この通話録音関連ビジネスの販売計画として、3年間で約15億円の売上を目指しているとのことです。今回の「Azure AI Speech」との連携を含め、「LA-6000」の需要は確実に伸びていくでしょう。ネクストジェンは、コンタクトセンターシステムの周辺にある『あらゆるAIソリューション』との連携を加速し、企業の価値向上につなげていく方針です。
音声キャプチャリング・システム LA-6000について
「LA-6000」は、通話録音機能に加え、録音した音声データをAIサービスなどの外部サービスへリアルタイムで橋渡しする役割も持つソフトウェアです。様々なAI活用ニーズに応えるため、既存のCTIシステムや多様なAIサービスとの連携を広げています。
詳しくはこちらをご覧ください:
https://www.nextgen.co.jp/new/2025/04/20250424.html
ネクストジェンについて
株式会社ネクストジェンは2001年に創業し、電話通信網にインターネット技術(IP技術)を取り入れることで、専用の設備をソフトウェア化するという革新的な技術をリードしてきました。日本の音声コミュニケーション・ネットワークを変革してきたパイオニア企業と言えます。
同社が提供するソフトウェアやサービスは、日本の主要な通信キャリアに採用されており、その技術を基盤とした一般企業向け製品は、官公庁や多くの大企業、コンタクトセンターなどで活用されています。これは、国内外の様々なネットワークとの接続実績に基づく信頼性や、安定した通信品質が評価されているためです。
ネクストジェンは、これまで培ってきた技術やノウハウを活かし、音声通信に関する幅広いソフトウェアやサービス、システムを提供する事業と、企業の業務アプリケーションのクラウド化を支援するクラウドDX事業を展開しています。
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公式ウェブサイト: https://www.nextgen.co.jp/
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公式Facebookページ: https://www.facebook.com/NextGen.Inc

