キヤノンMJが生成AIで完全自動運転を目指すTuringに追加出資
キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は、生成AI(ジェネレーティブAI)を使って、車が自分で運転する「完全自動運転」技術を開発しているTuring株式会社(以下、チューリング)に、再び出資しました。
キヤノンMJグループは、「Canon Marketing Japan MIRAI Fund」という、新しい技術やビジネスを応援するためのファンドを通じて、今回の出資を行っています。チューリングへの出資は、以前のプレシリーズAラウンドに続いて2回目となります。

チューリングが開発する革新的な自動運転技術とは
チューリングは、カメラから得た情報だけで、車の周りの状況を理解し、どこをどう走るか計画し、実際に車を動かすところまで、すべてを一つのAIで行う「E2E (End-to-End) 自動運転AI」を開発しています。また、人間社会の常識や背景、文脈を理解できるような、とても賢い「大規模基盤モデル」も同時に作っています。
具体的には、次のような技術で自動運転の進化を推し進めています。
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マルチモーダル生成AI「Heron」: 言葉や映像など、異なる種類のデータを組み合わせて、より高度な判断ができる生成AIです。
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自動運転向け生成世界モデル「Terra」:現実の運転シーンを動画のように再現できる、自動運転用の仮想世界を作るAIです。(※1)
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自動運転向けVLAモデルデータセット「CoVLA Dataset」:画像から得た運転環境を言葉で詳しく説明し、適切な運転ルートを考えるのに役立つAIの学習データです。(※2)
これらの技術を一つにすることで、車が人間の代わりに運転操作をすべて行う「完全自動運転」の実現を目指しています。

※1. 現実世界の構造や因果関係をAI内に再現し、将来のシーンを生成・予測するAI
※2. AIが視覚情報(Vision)、言語情報(Language)、行動(Action)を統合的に理解し、人間のように行動する能力を持つ次世代の基盤モデル
キヤノンMJグループが目指す未来
キヤノンMJグループは、未来を見据え、社会のさまざまな問題を解決するために、新しい技術やビジネスのアイデアを探し、社外との協力(オープンイノベーション)を進めています。
チューリングが挑戦している完全自動運転の技術は、「フィジカルAI」と呼ばれる分野の技術です。これは、AIが現実世界とやり取りしながら、物事を認識し、学習し、そして実際に動きを制御する技術を指します。この技術は、車の産業だけでなく、幅広い社会問題の解決にも貢献すると期待されています。
キヤノンMJグループは、今回の出資を通じて、完全自動運転技術が社会で実際に使われるようになることを長期的に支援し、持続可能な未来の実現に向けて取り組んでいくとのことです。
チューリングの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | Turing株式会社 |
| 設立日 | 2021年8月 |
| 所在地 | 東京都品川区大崎1丁目11−2 ゲートシティ大崎 イーストタワー4階 |
| 代表者 | 山本 一成 |
| 事業内容 | 完全自動運転システムの開発 |
| URL | https://tur.ing |
Canon Marketing Japan MIRAI Fundの概要
キヤノンMJグループは、社会課題を解決する新しい事業を作る専門組織「R&B推進本部」を2024年1月に立ち上げました。さらに、最先端の技術やビジネスアイデアを持つスタートアップ企業との連携を加速するため、100億円規模のCVCファンド「Canon Marketing Japan MIRAI Fund」を設立しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称(登記名称) | Canon Marketing Japan MIRAI Fund (キヤノンマーケティングジャパン未来投資事業有限責任組合) |
| 無限責任組合員 | グローバル・ブレイン株式会社 |
| 有限責任組合員 | キヤノンマーケティングジャパン株式会社 |
| ファンド規模 | 100億円 |
Canon Marketing Japan MIRAI Fund投資領域
「Canon Marketing Japan MIRAI Fund」は、人々の心身の健康や幸福を目指す「Well Being(ウェルビーイング)」と、ビジネスのあり方を変革する「Business Transformation(ビジネストランスフォーメーション)」の2つの分野に投資しています。


