
NVIDIAと理化学研究所(理研)は、日本の科学技術をさらに発展させるため、AIと量子コンピューティングに特化した2つの新しいスーパーコンピューターを導入することを発表しました。この取り組みは、日本がAI研究や次世代の産業技術、そして量子コンピューティングの分野で世界をリードする存在になることを目指しています。
新しいスーパーコンピューターの概要
今回導入されるスーパーコンピューターには、合計2,140基ものNVIDIA Blackwell GPUが搭載されます。これにより、日本の「ソブリンAI戦略」を支え、科学、産業、技術の各分野で、日本が自国の安全な研究基盤を拡充し、リーダーシップを確立することに貢献します。
理研は、NVIDIA GB200 NVL4システムを採用した2つの新しいスーパーコンピューターを日本に設置します。一つは科学分野でのAI研究用、もう一つは量子コンピューティング研究用です。
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科学のためのAI研究システム:
このシステムには、1,600基のNVIDIA Blackwell GPUが搭載され、NVIDIA Quantum-X800 InfiniBandネットワークで接続されます。生命科学、材料科学、気候や気象の予測、製造、そして研究室の自動化といった幅広い分野での研究を大きく進めることが期待されています。
関連情報: NVIDIA Quantum-X800 InfiniBand -
量子コンピューティング研究システム:
このシステムには、540基のNVIDIA Blackwell GPUが搭載され、こちらもNVIDIA Quantum-X800 InfiniBandネットワークで接続されます。量子アルゴリズムの開発、シミュレーション、そして量子と古典的なコンピューターを組み合わせたハイブリッドコンピューティング手法の研究を加速させます。
NVIDIAのイアン・バック氏は、「理研は長年にわたり世界を代表する科学研究機関であり、コンピューティングの新しい時代の最前線に立っています。NVIDIAは理研とともに、日本独自のイノベーション基盤を築き、世界で最も複雑な科学的・産業的課題を解決するための画期的な研究を支援します」と述べています。
理化学研究所 計算科学研究センター長の松岡聡氏は、「NVIDIA GB200 NVL4プラットフォームを次世代スーパーコンピューターに組み込むことは、日本の科学インフラにとって非常に重要な一歩です。この協力により、AI、量子コンピューティング、高性能計算(HPC)のための世界トップクラスの統合プラットフォームが構築され、研究者は基礎科学から産業応用まで、幅広い分野で研究を加速し、新たな発見を可能にするでしょう」と話しています。
「富岳NEXT」との連携
今回の発表は、2025年8月に発表された富士通とNVIDIAによる次世代フラッグシップスーパーコンピューター「富岳NEXT」(開発コードネーム)の共同設計に関する協力に続くものです。「富岳NEXT」は、世界的に有名なスーパーコンピューター「富岳」の後継機となる予定です。
新しい2つのGPUアクセラレーテッドスーパーコンピューターは、「富岳NEXT」向けの様々なハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションを共同で設計・開発するための基盤としても活用されます。
「富岳NEXT」には、富士通のFUJITSU-MONAKA-XというCPUが搭載される予定です。このCPUは、NVIDIA NVLink™ Fusionという新しい技術を使って、富士通のCPUとNVIDIAのアーキテクチャを非常に速い速度で接続することができます。
関連情報: NVIDIA NVLink™ Fusion
「富岳NEXT」は、「富岳」と比較してアプリケーションの性能が最大100倍程度向上すると期待されており、将来的には実用レベルの量子コンピューターも統合される予定です。FUJITSU-MONAKA-XとNVIDIAの最新GPUの組み合わせにより、「富岳NEXT」はHPC、AI、量子コンピューティング、そしてそれらを組み合わせた技術の革新を通じて、科学的発見の未来を切り開くでしょう。
科学の進歩を加速するソフトウェア
NVIDIAはすでに理研と協力し、NVIDIA TensorコアGPUの性能を活用して、従来の科学計算を高速化する浮動小数点エミュレーションソフトウェアを開発しています。この技術は、理研だけでなく世界中のスーパーコンピューティングセンターが、AIとHPCにおいてGPUの能力を最大限に活用するのに役立ちます。
理研はまた、400以上の最適化されたGPUアクセラレーテッドライブラリ、マイクロサービス、ツールを提供するNVIDIA CUDA-X™を活用し、GPUプラットフォームによる最先端のHPCアプリケーションを強化することで、日本の科学のためのAIおよび量子コンピューティングの取り組みを推進します。
関連情報: NVIDIA CUDA-X
今回発表された2つの新しいスーパーコンピューターは2026年春に稼働開始予定で、「富岳NEXT」は2030年までの稼働を目指しています。
詳細については、理化学研究所の発表もご覧ください。
理化学研究所 プレスリリース
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NVIDIA Japan 公式サイト

