AIストームと早稲田大学・劉江教授が共同研究を開始:中古トラック査定に「マルチモーダルAI」を導入へ

ビジネス活用

AIストーム株式会社は、早稲田大学 理工学術院の劉江教授と共同で、「AIによるマルチモーダル中古トラック価額推定モデルの構築に関する研究」を開始しました。

中古トラックの査定をAIで進化させる

この共同研究の目的は、AIストームが手掛ける中古トラック事業において、これまで熟練者の経験に頼っていた査定のプロセスを、AIの力でより高度にすることです。車両の画像、整備の記録、走行データ、そして出品時のコメントなど、さまざまな種類の情報を統合的に分析する「マルチモーダルAI」を使い、客観的で誰にでも再現できる査定モデルを作り出すことを目指します。

マルチモーダルAIとは?

「マルチモーダルAI」とは、まるで人間が目で見て(画像)、耳で聞いて(音声)、文章を読んで(テキスト)といったように、複数の異なる種類の情報を同時に理解し、判断できるAIのことです。今回の研究では、トラックの「見た目」を表す画像データと、「状態」を表す整備記録や走行データ、さらには「説明」を表すテキスト情報をAIがまとめて分析することで、より正確な価格を推定できるようになります。

なぜ「客観的な査定」が求められるのか

物流業界では、ドライバー不足や燃料費の高騰、環境への配慮といった大きな変化が進んでいます。この中で、中古トラックを有効活用し、その価値を正しく評価することがますます重要になっています。

しかし、現在の中古トラックの査定は、査定する人それぞれの経験や直感に大きく左右される傾向がありました。これにより、査定結果にばらつきが出たり、なぜその価格になったのかを明確に説明するのが難しかったり、査定の作業自体が非効率になったりする課題が指摘されていました。このような背景から、データに基づいた公平な価値評価が強く求められており、AIを使った価格推定モデルの実用化が急務となっています。

共同研究の具体的な取り組み

この共同研究では、以下の3つの柱を中心に進められます。

  • 多様な情報を統合するマルチモーダルAIの構築: 車両の画像、走行履歴、車検や整備のデータ、そして出品コメントなどのテキスト情報を、一つのAIモデルでまとめて解析し、査定に必要な特徴を抽出します。

  • 一貫性のある価格推定モデルの開発: AIが市場の実際の動きや過去のデータを学習して、価格を数値で客観的に推定するモデルを開発します。これにより、これまでの主観的な査定を補い、さらに高度化します。

  • 査定根拠の可視化・説明性の向上: AIが算出した価格の根拠を明確に示せるようにすることで、取引の信頼性を高めることを目指します。

期待される効果

このAIモデルが導入されることで、以下のような効果が期待されます。

  • 中古トラックの査定が標準化され、精度が向上することで、価格の公平性や透明性が確保されます。

  • AIによる迅速な査定が可能になり、仕入れや販売の効率が上がります。

  • データを活用した経営により、在庫の回転率や収益性が向上します。

  • 車両の価値を最大限に引き出すことで、資源の有効活用と環境への負荷軽減にも貢献します。

  • AIやデータサイエンスの知識を持つ人材の育成を含め、企業と大学が協力して実践的な研究を推進します。

共同研究パートナー:劉江教授

劉江教授のポートレート

今回の共同研究パートナーは、早稲田大学 理工学術院 国際理工学センターの劉江教授です。劉教授は、無線通信、ワイヤレスネットワーク、光無線通信、センシング技術などを専門とされており、IEEEや電子情報通信学会など国内外の学会で多くの論文を発表されています。近年は、ネットワークと連携する自動運転やマルチスケールセンシングといった、モビリティ分野の先端研究にも力を入れており、AIを活用した実践的な技術研究に幅広く取り組む研究者です。

AIストームの今後の展望

AIストームは、実社会のビジネス現場にAIを深く組み込み、「データが価値を生み出すモビリティ産業」への転換をリードしていくことを目指しています。

今回の劉教授との共同研究で開発されるAI査定モデルは、AIストームの事業を支える重要な技術となり、査定の精度向上、業務効率化、収益性向上を牽引する「事業変革のエンジン」となる見込みです。また、並行して進められている小野田教授との研究では、車両や蓄電システムの環境価値やトレーサビリティ(追跡可能性)の基盤を構築しており、劉教授との研究(経済価値)と小野田教授との研究(環境価値)という2つの軸が、AIストームの未来戦略を力強く支える両輪となる構想です。

AIストームは、これらの産学連携の成果を事業の成長に直接結びつけ、日本発の「データ×AI」モビリティ企業として、新たな市場価値の創造に挑戦し続けるとしています。

会社概要

AI stormロゴ

会社名:AIストーム株式会社(旧株式会社ジェクシード)
代表取締役:今井 俊夫
所在地:東京都千代田区神田錦町 3-17-11 榮葉ビル 9 階
事業内容:AI 事業、AI 教育、AI プロダクト開発、ERP/HR コンサル、LED ビジョン、トラック販売・リース、アドトラック広告、IT 機器販売 等
企業HP:https://www.ai-storm.co.jp

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