Salesforceは、人とAIエージェントが協力して働くための新しい基盤「Agentforce 360」を日本で発表しました。このシステムは、企業がAIを上手に活用し、人の可能性をさらに広げる「エージェンティック エンタープライズ」という新しい働き方を実現するためのものです。
「エージェンティック エンタープライズ」とは、人間とAIエージェント(まるで秘書のように働くAI)が一緒になって仕事を進めることで、より良い判断ができるようになったり、お客様との会話がスムーズになったりする、そんな未来の企業の姿を指します。Salesforceはこれまでも、この新しい働き方を多くの企業に導入し、自社でもAIエージェントを活用してきた経験があります。
Agentforce 360の主な特長
「Agentforce 360」は、アプリケーション、データ、AIエージェントといった様々な要素を一つにまとめたプラットフォームです。これにより、企業はAIエージェントをより簡単に、そして信頼性高く利用できるようになります。

1. Agentforce 360 Platform:AIエージェントの土台
このプラットフォームは、企業向けのAIエージェントを作るための土台です。会話形式でAIエージェントを設計できるツールや、より正確な判断ができる仕組み、音声でAIとやり取りできる機能などが含まれます。
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オブザーバビリティ:AIエージェントがどのように動いているか、正確さやルールを守っているかを監視し、信頼性を高めます。(2026年11月提供予定)
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Agentforce Voice:電話の自動応答システム(IVR)を、まるで人と話しているかのような自然な会話に変えます。低遅延の文字起こしやリアルな音声合成、Salesforceとの連携が可能です。(2026年2月提供予定)
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Agentforce Builder:チームが自然な言葉を使ってAIエージェントを設計、テスト、導入できる、会話型の開発スタジオです。(2025年12月ベータ版開始予定)
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Agent Script:決まった手順と、柔軟なAIの判断を組み合わせることで、より精度の高いAIエージェントを作成できます。(2025年12月ベータ版開始予定)
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Agentforce Vibes:ローコード開発(少ないコードで開発できる方法)をAI分野に広げ、企業データとガバナンス(管理体制)に基づいたアプリケーションを構築できます。(提供中)
2. Data 360(旧Data Cloud):信頼できるデータの源
「Data 360」は、あらゆるAIエージェントに、必要な情報(文脈)を提供するデータの中心です。PDFや図表といった、これまで扱いにくかった非構造化データもAIが利用できる形に変換します。
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Intelligent Context:AIエージェントがPDFや図表などの非構造化コンテンツにアクセスし、トラブルシューティングや分析といった実際の業務でユーザーを支援します。(提供中)
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Unstructured Data Governance:構造化データと非構造化データを含むすべてのデータに対して、プライバシーやコンプライアンスのルールを自動的に適用します。(米国:2025年11月ベータ版開始予定、日本:2026年4月ベータ版開始予定)
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Clean Rooms:未加工データや機密情報を公開することなく、利用者データについて他の企業と安全に協力できます。(2025年12月提供予定)
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Agentic Setup & Data Management:AIエージェントとデータ、意味情報を連携させ、様々なシステム間で一貫した情報利用を可能にします。(米国:2026年3月提供予定、日本:2026年3月より段階的に開始予定)
3. Customer 360アプリ:ビジネスの知恵をAIに
セールス、サービス、マーケティングなど、企業の様々な業務の知恵をAIエージェントが学び、活用します。これにより、お客様一人ひとりに合わせた対応や、業務の効率化が可能になります。
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Agentforce Sales(旧Sales Cloud):お客様候補を探したり、その適格性を判断したり、見積書を作ったりといった営業活動を自動化し、次に取るべき最適な行動を提案します。(一部機能は提供中、または2026年2月提供開始予定)
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Agentforce Service(旧Service Cloud):お客様サポートを強化し、困り事を先回りして解決するような、常に稼働するサポートを実現します。(一部機能は提供中、または2026年3月ベータ版開始予定)
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Agentforce Field Service(旧Field Service):現場での作業スケジュールを自動で組み、地図情報と連携したり、音声でデータを入力したりできます。(一部機能は提供中、または2026年2月提供開始予定)
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Agentforce Marketing(旧Marketing Cloud):お客様とのコミュニケーションを、AIエージェントとの双方向の会話に変え、一人ひとりに合わせた体験を提供します。(一部機能は提供中、または2025年12月、2026年2月提供開始予定)
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Agentforce Revenue Management(旧Revenue Cloud):AIエージェントが見積もり作成や請求処理を助け、営業や経理チームの業務を効率化し、安定した成長をサポートします。(一部機能は提供中、または2025年11月ベータ版開始予定)
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Agentforce Commerce(旧Commerce Cloud):会話形式でショッピングを案内したり、スムーズな決済を提供したりすることで、お客様がより楽しく、便利に買い物ができるようにします。(一部機能は提供中、または2026年7月提供開始予定)
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Agentforce IT Service:社員からのITに関する問い合わせに、専門的なAIエージェントが24時間365日対応します。SlackやMicrosoft Teamsなど、様々な場所で利用でき、ITコストの削減と社員の生産性向上を支援します。(一部機能は提供中、または2026年3月提供予定)
4. Slack:人とAIエージェントの会話の場
Slackは、人とAIエージェントがリアルタイムで情報や行動を共有し、協力して働くための会話型インターフェースとなります。
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Slackbot:文書作成のサポート、メッセージの要約、Slack ハドルミーティングのメモ作成など、文脈を理解したアシスタント機能を提供します。(2026年前半提供予定)
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サードパーティAIとの連携:OpenAI、Anthropic、Google、PerplexityなどのAIを新しいAPIで統合し、リアルタイムで情報を提供したり、作業を自動化したりできます。
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Channel Expert Agent:Slackの各チャンネルに常駐するデジタルメンバーとして、よくある質問に答えたり、情報を見つけたり、必要に応じて人に引き継いだりします。(提供中)
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エンタープライズ検索:AIを活用して、企業全体に散らばるアプリやファイルから、必要な情報を高い精度で素早く見つけ出します。(提供中)
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モデルコンテキストプロトコル(MCP):これまでバラバラに存在していたAIツールをSlack上に統合し、企業全体のAIエコシステムをスムーズにつなぐ土台となります。(2026年2月提供予定)
その他の主要な製品と機能
Tableau
Tableauは、データから気づきを得て、データに基づいた意思決定をサポートします。業務の流れの中で、関連するデータをわかりやすく表示し、行動へとつなげるまでの時間を短縮します。インテリジェントで信頼性の高いデータを、業務を行うあらゆる場所で提供します。(2026年中に様々な機能が提供予定)
MuleSoft
MuleSoftは、様々なアプリケーションとAIエージェントをつなぎ、管理します。これにより、CRM(顧客関係管理)の枠を超えて、企業全体のシステムでAIエージェントが連携して動くことができます。簡単なツールを使って、あらゆるアプリとAIエージェントの連携を実現します。(一部機能は提供中、または2025年12月提供予定。MuleSoft Vibesの日本語正式サポートは2026年前半予定)
Platform & Security
「Agentforce」を活用することで、ユーザーの行動を監視したり、不審な動きをいち早く見つけたり、データの安全を守ったりすることができます。これにより、セキュリティを強化し、プライバシーに関するルールへの対応も自動化します。(一部機能は提供中、または2026年前半提供予定)
日本市場でのAIエージェント活用が広がる
日本でも、業界や規模を問わずAIエージェントやデータを活用する企業が増えています。
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LINEヤフーでは、お客様サポート業務に「Agentforce」を採用しています。
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三菱UFJ銀行は、金融業界向けの「Agentforce 360 for Financial Services」を選んでいます。
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東京海上ホールディングスと東京海上日動は、「Agentforce」を活用するためにSalesforceと戦略的な提携をしています。
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北海道の清水勧業、広島県のジェーイーエル、鳥取県のリージョンデザイン・ホールディングスなど、地域の中堅中小企業もAIエージェントとデータを活用して経営課題に取り組んでいます。
Salesforceは、2024年2月に製品統括本部を立ち上げて以来、日本の顧客やパートナーに最新のAI製品や機能を迅速に提供してきました。今後も、企業が「エージェンティック エンタープライズ」へと進化するための支援に力を入れていくとのことです。
詳細情報
「Agentforce 360」についての詳細は、以下のリンクをご覧ください。
Salesforceに関する詳しい情報は、以下の公式ウェブサイトで確認できます。

