S&VLとLP-RESEARCHが協力、ヘッドマウントディスプレイで自動車開発のバーチャルテストを革新

ビジネス活用

S&VL株式会社と株式会社LP-RESEARCHは、自動車開発のバーチャルテストにおいて、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)に関連する技術を活用することで協力していくことを2025年9月16日に合意しました。

近年、自動車の開発期間は短くなる傾向にあり、コンピューターを使った「モデルベース開発」や「シミュレーション」を活用したデジタルでの開発が急速に進んでいます。また、自動運転技術や先進安全技術といった、より安全で快適な自動車へのニーズも高まっています。

ドライビングシミュレータDiM300

S&VLとLP-RESEARCHの専門技術

自動車関連の最先端バーチャルテストサービスを提供するS&VL株式会社は、アジアで初めて最新鋭のドライビングシミュレータ「DiM300」を導入したエンジニアリングサービス企業です。DiM300を核として高度なバーチャルテストサービスを提供し、自動車メーカーや部品メーカーと協力して車両開発プロセスを強化しています。同社はDiM300の活用範囲を広げ、性能を高める取り組みの一つとして、ドライビングシミュレータでのHMD活用に注目しています。

一方、株式会社LP-RESEARCHは、3軸の角度・角速度・加速度を検出する「IMUセンサ」の開発をはじめ、これらの技術を応用したHMDの高精度な位置追跡技術や、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)関連のデータ融合システムの開発を得意とする企業です。LP-RESEARCHの技術は、VR/AR分野での動きの検出や位置の推定精度を高めることに貢献しており、近年ではその応用範囲が自動車開発を含む幅広い分野に広がっています。

協力合意の背景と期待される効果

S&VL株式会社がドライビングシミュレータの活用領域を広げたいと考えていることと、株式会社LP-RESEARCHがHMD技術を自動車開発に適用したいと考えていること。この両社の方向性が一致したため、今回の協力合意に至りました。

具体的には、最新鋭のドライビングシミュレータDiM300とHMDを組み合わせることで、現実世界と仮想世界の境界をさらに小さくし、より深く入り込める(没入感の高い)体験を実現するための連携を進めていきます。

HMDは、通常のスクリーン映像では表現が難しい両眼の視差を正確に再現できます。これにより、仮想のコックピットの内装や映像との遠近感、空間の表現をより現実に近い形で再現し、ドライバーの没入感を大きく高めることが可能です。

さらに、車両用光学カメラ(ART Smarttrack3)を使ったシステムを利用することで、実車の開発が始まる前の段階から、内装やHMI(Human Machine Interface:人と機械の情報のやり取り)の設計・検証を行うことができます。これにより、開発プロセス全体の効率化とスピードアップが期待されます。

VRヘッドセットを装着してシミュレーターを操作する様子

両社代表からのコメント

S&VL株式会社の代表取締役である村松英行氏は、LP-RESEARCHとの協力合意を大変光栄に思うと述べました。S&VLのメンバーは自動車業界でシミュレーション技術や実験技術の開発に携わってきた経験を活かし、デジタル開発の推進をサポートしています。村松氏は、S&VLの自動車シミュレーション・バーチャルテスト技術とLP-RESEARCHの技術・知見を融合させることで、より現実に近い環境での自動車デジタル開発を進める目的で今回の合意に至ったと説明しました。

株式会社LP-RESEARCHの代表取締役であるKlaus Petersen氏は、最先端のシミュレーション技術と高度なモーショントラッキング技術を組み合わせる革新的なプロジェクトでS&VL株式会社と協力できることを大変嬉しく思うと述べました。LP-RESEARCHは、精密なセンサーフュージョン技術を通じて現実世界と仮想世界をつなぐことを使命としており、今回の提携はその考え方を具体化するものだとしています。

Petersen氏は、LP-RESEARCHのLPVR-DUOシステム(動く車両上でVR/ARを実現するシステム)やVarjo XR-4(HMD)との統合技術と、S&VLの世界トップクラスのシミュレーション環境が合わさることで、自動車開発における没入感の高いリアリズムの新しい基準を築けると確信を表明しました。この協力により、次世代のバーチャルテスト環境の進化をさらに加速させ、自動車の設計・検証・体験のあり方を再定義していくことに期待を寄せています。

仮想テストラボの様子

S&VL株式会社について

S&VL株式会社は、主に自動車メーカーやサプライヤー向けに、実験・シミュレーション技術を基盤としたサービスを提供する企業です。社名はSimulation & Virtual testing Lab. の頭文字から名付けられました。
最先端のドライビングシミュレータを活用し、バーチャルテスト環境の提供から、プラントモデルの開発、評価、開発プロセス改革の提案まで、一貫したソリューションを提供しています。現場での豊富な経験に基づく実験技術とバーチャル技術を組み合わせることで、製造業における開発効率の向上、製品品質の向上、開発期間の短縮といった課題解決を目指しています。

株式会社LP-RESEARCHについて

東京に拠点を置く株式会社LP-RESEARCHは、VR・AR・IoT・新興技術など幅広い分野向けのセンサーシステムや、センサーフュージョン・ソリューションの研究開発を行っています。
代表的なハードウェア製品である慣性計測装置(IMU)や、独自開発したセンサーフュージョン・アルゴリズムを活用し、主に産業用途のAR/VR分野で高精度な動きの検出・位置推定技術を提供しています。
特に、移動中の車両や最新鋭ドライビングシミュレータでのAR/VRアプリケーションでは、LP-RESEARCHの車両用VRシステム「LPVR-DUO」が、ユーザーに高い没入感を提供するための中心的な技術として活用されています。
LP-RESEARCHは、技術革新を推進し、ユーザー体験の向上に貢献する信頼性の高い最先端技術ソリューションを提供することを使命としています。

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