AGESTは、電気通信大学との共同研究により開発された、画像認識モデルの信頼性を高める新技術「AdaSniper」について、特許を取得したことを発表しました。

なぜ「AdaSniper」が必要なのか
近年、自動運転や医療診断といった、私たちの生活に深く関わるAIシステムがどんどん増えています。これらのシステムには、何よりも「安全性」と「信頼性」が求められます。しかし、AIには従来のテストでは見つけにくい「隠れた弱点」、つまり特定の状況で誤った判断をしてしまう問題が潜んでいることがあります。このような弱点を見つけ出し、AIシステムをより安全にすることは、社会にとって非常に重要な課題となっていました。
AGESTは、この課題を解決するために電気通信大学と協力し、AIが「どのように間違えるか」を自ら学習し、その間違いやすいパターンを効率的に見つけ出す画期的な新技術「AdaSniper」を開発しました。この独自性と画期性が認められ、今回の特許取得に至りました。
「AdaSniper」とは?
「AdaSniper」は、AIが「画像をどのように間違えたか」という誤認識の傾向を学習します。そして、その間違いやすいパターンを自動で、しかも効率よく見つけ出すことができる技術です。これにより、画像認識モデルの普段は見えにくい弱点(系統的な故障)を特定し、その信頼性を大きく高めることが可能になります。
この技術は、自動運転車、医療、農業など、AIが搭載された大切なシステムの安全性と信頼性を向上させることに大きく貢献します。
「AdaSniper」の主な特長
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AI(LLM)がテスト条件を自動生成
AI(LLM)が、AIが誤認識しやすいテスト条件を自動で考えて、効率的に探索します。これにより、これまで人が手作業で行っていたテストの負担が大幅に減り、より効率的な検証が可能になります。 -
効率的なテスト画像の作成
基本となる画像を元に、AIが間違いやすいと思われる画像を人工的にたくさん作り出します。これにより、テストに必要な量と、さまざまなパターンの画像を効率よく確保できます。 -
誤認識の弱点を見つけ出す
AIが誤認識を起こしやすい特定の条件(系統的な故障)を効率的に特定し、テスト対象の画像認識モデルの弱点を網羅的に検出します。 -
幅広い分野での応用
自動運転車のテストでの有効性が示されていますが、画像解析ソフトウェアを使っているあらゆる分野(医療、農業など)に応用することができます。
評価実験では、「AdaSniper」が従来のテスト方法と比べて、より効率的に系統的な故障を見つけ出せることも確認されています。
今後の展望
AGESTは、今後も電気通信大学をはじめとする教育・研究機関との連携を深め、社会の課題解決に向けた技術開発を積極的に進めていくとしています。そして、「SAVE the DIGITAL WORLD」というAGESTのミッションの実現を目指していくとのことです。
AGESTに関する詳細情報は、以下のリンクから確認できます。

