人手不足にAIコールセンター「VoiceGPT」が新登場
「人手不足」が深刻化する中、AI(人工知能)が電話対応を助ける時代がやってきました。株式会社Spark+(スパークプラス)とシンガポールに本社を置くDyna.Ai Technology Pte. Ltd.(Dyna.Ai)は、日本語に特化した音声対話AI「VoiceGPT」を共同で開発しました。このAIは、まるで人間のように自然な会話ができるのが特徴で、すでにライフネット生命などの大手企業で導入が始まっています。

コールセンターが抱える課題をAIで解決
現代のコールセンターでは、少子高齢化やお客様とのやり取りが複雑化していることにより、次のような様々な問題に直面しています。
-
人手不足: オペレーターが足りず、お客様を待たせてしまう。
-
対応品質のばらつき: オペレーターによって対応の質が異なる。
-
育成コストの増大: 新しいオペレーターを育てるのに時間とお金がかかる。
従来の音声ボットは、決まった質問に答えることしかできませんでした。しかし、現場ではお客様の複雑な質問を理解し、柔軟に対応したり、必要に応じて担当者に取り次いだりする、もっと高度なAIが求められていました。

そこでSpark+とDyna.Aiは、Dyna.Aiの持つ音声対話技術と、Spark+の日本語に関する知識やAIを作る力を組み合わせ、日本市場にぴったりのAIコールセンターを作り上げました。
「VoiceGPT」の主な特徴
1. 日本語に特化した共同開発
Spark+は、日本独自の音声データを提供し、AIの性能を評価したり、AIがお客様とどう会話すべきかを設計したりする役割を担っています。一方、Dyna.AiはAIの頭脳となる「VoiceGPT」や「TextGPT」といった主要な技術の開発と改良を進めています。
2. 業界に合わせた高い精度
一般的なAIでは、コールセンター特有の言い回しや専門知識に対応しきれないことがあります。VoiceGPTは、保険や金融など特定の業界に合わせてAIを学習させているため、より専門的で正確な回答が可能です。これにより、お客様の満足度を大きく高めることができます。

3. 法令とデータ管理をしっかり守る
お客様の個人情報や音声データは、日本の法律や会社のルールに従って適切に扱われます。安心して利用できる体制が整えられています。
導入事例と今後の展望
VoiceGPTは、すでにライフネット生命保険株式会社をはじめ、保険、金融、製造、不動産など多くの大手企業で導入が進んでいます。様々な分野での活用が期待されており、具体的な使い方としては以下のようなものがあります。
-
申し込みや手続きのリマインダーの自動案内
-
お客様の意図を理解した自動応答や情報確認
-
会話内容の要約や、不適切な言葉の検出、担当者への引き継ぎ判断
-
支払い方法の変更や住所変更など、裏側の業務との連携
人間と同レベルの「レベル5」を目指して
AIコールセンターの能力は、レベル1からレベル5までの5段階で評価されます。現在のVoiceGPTは「レベル4」に到達しており、決まった内容の問い合わせであれば人間が関わらなくても自動で対応できます。今後は、さらに多くのデータを学習させ、より自然な会話や社内システムとの連携を強化することで、あらゆる電話業務をAIが完全にこなす「レベル5」の実現を目指しています。

会社情報
DYNA.AI TECHNOLOGY PTE. LTD.
Dyna.Aiはシンガポールに本社を置くAIサービス企業で、金融業界をはじめ様々な分野でAIを活用した製品やソリューションを提供しています。アジア、中東、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど世界中で事業を展開しています。
-
URL: https://dyna.ai
-
日本支社URL: https://dyna.ai/ja
株式会社Spark+
Spark+は東京大学の松尾研究室から生まれたスタートアップ企業で、最先端のAI技術を使って企業が抱える課題を解決するDXソリューションを提供しています。特に、現場で役立つAIエージェントを作ることに強みがあり、三菱重工業や豊田自動織機などの大手企業と協力しています。
関連情報
VoiceGPTの取り組みについては、日本経済新聞でも取り上げられました。

