伯東とシャロニクスが協業!現場の課題を解決するカスタムAIサービスを提供開始

ビジネス活用

Hakuto SHARONIX Inc.ロゴ

伯東株式会社と株式会社シャロニクスが協力し、さまざまな業界の現場で役立つカスタムAIソリューション「産業向けAIサービス」の提供を開始しました。このサービスは、米国Ambarella社製の高性能なAIチップ(SoC)を使ったエッジAIハードウェアと、現場のデータに合わせてAIモデルを細かく調整(ファインチューニング)する技術を組み合わせることで、それぞれの現場にぴったりのAIを一つにまとめて提供します。

この協業により、物流、製造、小売、インフラ、ヘルスケア、公共安全といった多岐にわたる分野で、現場ごとに異なる判断基準や使い方に合わせたAIモデルを継続的に改善できるようになります。

現場で役立つAIの実現

AI技術が進化し、ChatGPTのような生成AIやマルチモーダルAI(画像とテキストなど複数の情報を扱えるAI)が実用化されています。しかし、実際に現場でAIをうまく活用するには、次の3つの要素が重要だと考えられています。

  • カメラやAIチップ(SoC)、通信機器などのハードウェアを適切に選び、設置・保守すること。

  • 現場独自のデータを使ってAIモデルを最適化すること。

  • AIを継続的に運用するための仕組み(MLOps)を整えること。

伯東は、最先端のAIチップを含むハードウェアの調達、設置、保守のネットワークを担当します。一方、シャロニクスは、現場データに基づいたCLIP(Contrastive Language-Image Pre-Training)やVLM(Vision Language Model)、YOLOといったAIモデルのファインチューニングと運用を担います。これにより、現場で素早く機能するAIを実現します。

高性能なエッジAI技術

このサービスでは、Ambarella社製のAIビジョンプロセッサCV72、N1-655(5nmプロセス、CVflow®第3世代)を搭載したAI BOXが中心となります。CVflow®は、一般的なAIだけでなく、より高度なTransformer向けの処理もできるアクセラレータを内蔵しており、高い性能と低い消費電力を両立しています。

これにより、AIの推論(判断)をインターネット上のサーバーに頼らず、その場で完結させることができます。通信の遅れが少なくなり、個人情報などのプライバシー保護も強化されるというメリットがあります。

推論の面では、YOLOのような従来のAIモデルに加え、CLIP、VLM、さらに小型のLLM(大規模言語モデル)もエッジデバイス(現場の機器)で動かすことができます。これにより、用途に応じて、学習なしで対象を検出する「ゼロショット特性」を利用したり、ファインチューニングで特定の目的に特化させたりと、柔軟に選択できます。現場のデータを使って、少ないデータ量から短い期間でカスタムAIを立ち上げ、ビジネスの目標達成に直接つながる改善を継続していきます。

多岐にわたるユースケース

この「産業向けAIサービス」は、様々な分野で活用が期待されています。

  • 物流・倉庫: 荷物の状態(荷崩れ、積載過多、はみ出し、固定不良など)を自動で検知したり、パレットの破損やラップの剥がれを早期に発見したり、ドックでの滞留状況を可視化したりできます。また、バーコードが破損している場合でも代替判定を行ったり、誤った場所に積む可能性のある荷物を警告したりする補助も可能です。

  • 製造: 作業標準書の言葉(例:「エッジ欠け」「打痕」など)をAIに学習させ、ラインごとに異なる合否基準に素早く対応する外観検査が可能です。さらに、摩耗や劣化の兆候を画像と他の情報から数値化し、故障を未然に防ぐ予防保全にも役立ちます。

  • 小売り・店舗: 品出し忘れや陳列の乱れ、売り場と商品のミスマッチを自動で検出し、期限が近い商品の棚替えを提案するなど、棚の運用を最適化します。バックヤードでは、商品の入出庫における人為的なミスを減らすこともできます。

  • 建設・プラント・インフラ: ヘルメット未着用、高所での命綱なし作業、立ち入り禁止区域への侵入といった安全に関わる状況を検知し、危険な行動を早期に警告します。また、腐食、液漏れ、熱異常(外部センサーと連携)などを統合的に監視し、設備の点検を効率化します。

  • ヘルスケア・見守り: 高齢者の転倒の兆候や徘徊のリスクなど、行動の変化を検知し、見守りに活用できます(推論は施設内のローカル環境で行われます)。顔の匿名化や特徴量のみの保存といったプライバシーに配慮した設計も可能です。

  • 公共安全・スマートシティ: 不法投棄や放置物、危険な駐停車、路面の異常などを検出し、関係機関への通報フローと連携させることができます。

セキュリティとプライバシーへの配慮

このサービスは、セキュリティとプライバシーを重視した設計がされています。

  • AI推論は基本的にエッジデバイスで行われるため、個人情報を外部に送信しない構成です。

  • AIの学習時には、顔のぼかしやマスキング処理、または特徴量のみを保存することで、個人を特定できないようにし、必要なデータだけを使うことを徹底します。

  • モデルの更新履歴や検出・警告の履歴は追跡可能で、改ざんを検知できる形で保存されるため、監査(チェック)の信頼性が保たれます。

今回の協業は、両社が目指す「現場で価値を生むAI」の実現に向けた重要な一歩です。シャロニクスは、マルチモーダルAIのファインチューニングとAI運用基盤(MLOps)を強化し、少ないデータからの迅速な立ち上げと継続的な改善を進めます。一方、伯東は、Ambarella社製SoCを中心としたエッジデバイスと、調達・設置・保守の体制を強化し、産業現場で求められる信頼性と拡張性を提供します。

両社は「現場装置×AI」の普及を通じて、物流、製造、小売、インフラ、見守りなどにおけるビジネス目標の改善やデジタル変革(DX)の加速、さらには社会が抱える課題の解決と新しい価値の創造に貢献していきます。

伯東株式会社について

伯東株式会社は1953年の創業以来、最新の情報や最先端の技術をお客様に提供する技術商社として、また生産の効率化を図る工業薬品を生み出すメーカーとして事業を展開しています。
https://www.hakuto.co.jp

株式会社シャロニクスについて

株式会社シャロニクスは、LLM/VLMやAIエージェント開発を中核技術とし、データ収集からAIモデルの構築・運用までを一貫して行うR&Dスタートアップです。最新の研究成果に基づき、業務効率化や現場DX、新サービス創出のためのオーダーメイドAIソリューションを提供し、企業の現場でのAI活用を支援しています。
https://sharonix.com/

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