日本のオープンソース活用、世界をリードするも課題あり!Linux Foundationレポートが示す現状とは?

開発・プログラミング

オープンソースという言葉を聞いたことがありますか?これは、誰もが自由に使えるように公開されているソフトウェアのことで、世界中の多くのシステムで使われています。

そんなオープンソースについて、非営利団体であるLinux Foundationが最新の調査レポート「日本のオープンソースの現状 2025:戦略的なオープンソース活用によるビジネス価値の加速」を発表しました。このレポートは、日本企業がどのようにオープンソースを利用しているか、そしてどんな課題があるのかを詳しく分析しています。

日本のオープンソースの現状 2025 レポート表紙

日本のオープンソース活用、世界を上回るビジネス価値を実感

このレポートによると、日本企業はオープンソースから大きなビジネス価値を得ていることがわかりました。過去1年間でオープンソースによってビジネス価値が向上したと感じている企業は69%にも上り、これは世界全体の54%よりも高い数字です。さらに、74%の企業が将来もオープンソースに価値があると見ています。

Linux Foundation日本代表の福安徳晃氏は、この結果について「日本のリーダーやコミュニティによる不断の取り組みの賜物であり、この確かな前進を大変誇りに思います」と述べています。

ガバナンスとセキュリティに課題も

しかし、良いことばかりではありません。オープンソースを安全に、そして効率的に使うための「ガバナンス」(管理体制)や「セキュリティ」(安全対策)には、まだ改善の余地があることも明らかになりました。

具体的には、オープンソース専門の部署(OSPO)を置いている企業は全体の41%にとどまり、オープンソースに関するはっきりとした戦略を持っている企業も39%と少ない状況です。また、ソフトウェアの安全性を確認するための「セキュリティテストツール」を使っている企業は40%いるものの、より詳しい評価方法を取り入れている企業は少ないようです。

日本ならではの得意分野と商用サポートへの期待

日本の企業は、一般的なシステム(オペレーティングシステムやデータベースなど)でのオープンソース活用は世界に比べて遅れている部分があります。しかし、AR/VR(拡張現実・仮想現実)や3Dシミュレーション、ブロックチェーン、製造技術といった特定の専門分野では、世界をリードする形でオープンソースを取り入れています。

また、日本の企業はオープンソースの問題が発生した際に、非常に速い対応を求めています。89%の企業が12時間以内という短い時間でのサポートを期待しており、これは世界平均の69%を大きく上回ります。そのため、有償の専門サポートに頼る企業も多く、特に規制の厳しい業界や重要なデータを扱うシステムでは、有償サポートが不可欠だと考える割合が高くなっています。

積極的な関与が競争力を高める

レポートでは、オープンソースに積極的に関わっている企業ほど、競争力が高いと感じていることが示されています。例えば、オープンソースに深く関わっている企業では73%が競争力が高まると回答しており、そうでない企業(56%)よりも高い割合です。

このことから、オープンソースをただ使うだけでなく、開発に協力したり、コミュニティに参加したりすることが、企業の成長につながることがわかります。

一方で、オープンソースを使うことや開発に協力することに対して、「知的財産権(IP)」に関する不安を感じる企業も少なくありません。このような課題を解決するには、専門的な知識としっかりとした管理体制が求められます。

経営層の意識の差

興味深いことに、オープンソースの戦略的な価値について、会社の経営層(C-suite)の70%が認識しているのに対し、他の従業員では85%が認識しているという違いも見られました。経営層と現場の間で、オープンソースへの理解度にギャップがあるのかもしれません。

今後の展望

Linux Foundationは、日本のオープンソースがさらに発展するために、ガバナンス体制の整備や積極的なエコシステムへの参加を推奨しています。これらの課題を乗り越えることで、日本企業は人材の確保、業務の効率化、市場での競争優位性をさらに高めることができるでしょう。

より詳しい内容は、以下のレポート全文をご覧ください。

Linux Foundationについて

Linux Foundationは、オープンソースソフトウェアやオープンハードウェアなど、オープンな技術に関する協力活動を世界的に推進する非営利団体です。Linux、Kubernetesなど、世界の重要なインフラを支えるプロジェクトを多数手がけています。オープンな協力体制を通じて、持続可能なモデルを構築することを目指しています。

詳細についてはlinuxfoundation.orgをご覧ください。

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