AI機能付きBIツールの選び方ガイド!2025年版AI実装レベル4層カオスマップが無料公開
AI(人工知能)の進化は目覚ましく、ビジネスの現場でもAIを搭載したツールがどんどん増えています。特に、ビジネスデータを分析して意思決定を助けるBI(ビジネスインテリジェンス)ツールにも、AIの力が加わり、より高度な分析が可能になっています。
しかし、AI機能と一口に言っても、そのレベルは製品によって大きく異なります。どのBIツールを選べば良いのか、自社に最適なAI機能はどれなのか、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そんな悩みを解決するために、「BIツールのAI実装レベル4層カオスマップ|2025完全版」が無料で公開されました。このカオスマップは、主要なBIツール35製品のAI実装レベルを4段階に整理し、それぞれの製品がどのレベルまで対応できるかを一目でわかるように示しています。

カオスマップ作成の背景と「FitGap」について
このカオスマップを作成したのは、テクノロジー選定エンジン「FitGap」です。現代では、生成AIの登場により、使えるテクノロジーの選択肢が爆発的に増え、わずか3年間で製品数は10倍以上にも膨らみました。
同じような業務課題に対しても、AI搭載SaaS、従来型SaaS、AIネイティブアプリなど、さまざまな選択肢があり、どれを選ぶべきか判断が難しくなっています。このような「テクノロジー選定の迷い」を解消するために、「質問に答えるだけで最適な製品がわかる」エンジンとしてFitGapは開発されました。
FitGapの3つのポイントは以下の通りです。
-
動的要件定義: 最新のトレンドを反映した質問で、必要な機能を整理します。
-
適合度スコアリング: 独自のアルゴリズムで、あなたにぴったりのソリューションを特定します。
-
導入インサイト: 導入する上での注意点や、自社とのギャップを明確にします。
FitGapは、簡単な質問に答えるだけで、自社にぴったりのBIツールを見つけるお手伝いをします。ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
BIツールのAI実装レベル4段階評価
カオスマップでは、BIツールのAI機能を以下の4つのレベルに分類しています。これは機能の有無による客観的な分類であり、L4がL1より優れているという意味ではなく、自動化の範囲の違いを示しています。
L4|分析もレポートも全自動 🚀
このレベルのBIツールは、テキストを入力するだけで、必要な指標やレポートページを自動で生成できます。複数のグラフを含むダッシュボードを一度に作成し、その内容を自然な言葉で要約する機能も備わっています。
主な製品例と特徴的なAI機能
-
Microsoft Power BI: Copilotによる自然言語でのレポート生成、DAX数式の自動作成、データストーリーの要約機能。
-
Amazon QuickSight: Q機能による自然言語クエリからの高度な可視化自動生成、ML Insightsによる異常検知・予測・要因分析、ビジネスナラティブの自動生成。
-
Qlik Cloud Analytics: Qlik Answersによる自然言語での質問応答、Insight Advisorによる複数の可視化とダッシュボード全体の自動生成、AutoMLによる予測分析。
-
Tableau: Tableau Pulseによる自然言語でのダッシュボード生成とインサイト要約、Einstein Copilotとの連携による計算フィールド自動作成とストーリー構築。
-
Domo: Domo AIによる自然言語でのカード作成、予測分析、異常検知、ダッシュボード全体の自動生成とビジネスインサイト要約。
-
Strategy: HyperIntelligenceと自然言語クエリによる複数の可視化自動生成、Auto Insightsによる予測・異常検知・要因分析、レポート全体の要約機能。
-
Pyramid Platform: Decision Intelligenceプラットフォームによるテキスト入力からの複雑な分析モデルとダッシュボード自動構築、What-If分析と予測シナリオ生成。
L3|AIが自ら分析・解説 🔄
このレベルでは、AIがクリック操作だけで予測、異常検知、要因分析を実行します。予測の信頼区間を表示したり、数値変動の原因を自動で特定して説明したりする機能が特徴です。
主な製品例と特徴的なAI機能
-
IBM Cognos Analytics: AI Assistant機能による異常検知・予測・ドライバー分析の自動実行、ビジネス文脈での説明生成。
-
Oracle Business Intelligence: Oracle Analytics Cloudの機能による予測分析と異常検知のワンクリック実行、変動要因の自動分解と説明文生成。
-
SAS Visual Analytics: 自動予測・セグメンテーション・決定木分析をビジュアル操作で実行、モデルの解釈性を高める説明機能。
-
Salesforce CRM Analytics: Einstein Discoveryによる予測モデル自動構築、KPI変動の寄与要因可視化、推奨アクション提示。
-
TIBCO Spotfire: データサイエンス機能による予測モデリング・クラスタリング・異常検知をビジュアル操作で実行、結果の要因自動解釈。
-
ThoughtSpot: SpotIQ機能によるクリック操作での異常検知・相関分析・予測実行、検出されたインサイトへの自然言語説明自動生成。
-
Yellowfin: Signals機能による異常値とトレンド自動検出、Assisted Insightsによる予測分析と要因分解、結果の自然言語要約。
-
Zoho Analytics: Zia AIアシスタントによる異常検知・トレンド分析・予測のノーコード実行、インサイトへの質問形式での深掘り分析。
-
Sisense: Sisense Fusion AIによる異常検知・予測分析・要因分解のノーコード実行、インサイトへの説明文自動付与。
-
Board: Intelligent Planning機能による予測シナリオと異常検知の自動実行、計画値と実績値の差異要因自動分析。
-
GoodData: 異常検知とスマート予測機能によるKPI変動要因の自動特定、信頼区間を含む予測グラフ生成。
-
Databricks AI/BI: Genie機能による自然言語クエリ対応、機械学習モデルとの統合による予測分析とクラスター分析のノーコード実行。
-
Sigma Computing: AI機能による予測分析と異常検知をスプレッドシート形式で実行、検出された変動要因の自動分解・可視化。
-
Exploratory: ノーコードでの機械学習モデル構築、予測・分類・異常検知実行、各結果の統計的根拠と要因自動表示。
-
Srush: AIアシスト機能によるデータの異常値・トレンド自動検出、要因分析と予測をクリック操作で実行、結果の自然言語説明。
L2|質問するとAIが分析 📝
このレベルのツールでは、「今月の売上は?」のように質問を入力すると、数値と適切なグラフがすぐに表示されます。さらに、「地域別に」「上位5件」といった追加の質問にも、以前の質問の内容を覚えて対応してくれます。
主な製品例と特徴的なAI機能
-
MotionBoard: 自然言語検索により「今月の売上」などの質問に対して適切なグラフを即座に生成、追加質問で文脈を保持した分析。
-
ClicData: 自然言語クエリでデータを検索・可視化、「前月比」「上位10件」などの追加条件を対話形式で指定。
-
imprai ezBI: 自然言語でのデータ問い合わせに対応、質問の意図を解釈して最適なチャートタイプを自動選択、会話形式での深掘り。
-
Looker Studio: 自然言語での質問に対応、データの集計方法とグラフタイプを自動判定、追加の絞り込み条件を対話的に適用。
-
LaKeel BI: 自然言語検索機能により「売上推移」「地域別」などの質問に即座に回答、フォローアップ質問で分析を深掘り。
-
OpenText Analytics Cloud: Magellan Text Mining機能で自然言語データを分析、感情分析とトピック抽出をノーコードで実行、結果を可視化。
-
Wyn Enterprise: 自然言語クエリによるデータ検索と可視化に対応、質問の文脈を理解して段階的な分析をサポート。
L1|異常を検知して通知 💡
この基本的なレベルでは、データの急な増加や減少、通常とは異なる値(外れ値)をAIが自動で見つけ出し、グラフ上に目立つように表示してくれます。また、検出されたポイントについて「なぜ注目すべきなのか」を簡単な言葉で説明してくれます。
主な製品例と特徴的なAI機能
-
DataNature Smart: データの異常値を自動検出してアラート通知、グラフ上にマーカー表示、検出理由を簡潔に説明。
-
FineReport: トレンドの急変と外れ値を自動で識別、ダッシュボード上にハイライト表示、注目すべき理由をテキストで提示。
-
軽技Web: 設定した閾値に基づいてデータの異常を自動検知、該当箇所を色分け表示、通知機能と連携してアラートを送信。
-
DataStudio@WEB: KPI監視機能により目標値からの乖離を自動検出、ダッシュボード上に警告表示、変動の大きさを数値で明示。
-
nehan: データの急増・急減を自動で検出してグラフ上にマーク表示、検出されたポイントに簡単な説明文を付与。
-
dataDiver: 異常値とトレンド変化を自動で識別、検出された項目をリスト表示、各項目について注目すべき理由を自動生成。
BI AI活用の最新トレンド
グローバルトレンド
世界的に見ると、BI市場では生成AIと自然言語処理の組み合わせが急速に進んでいます。まるで「対話できる分析パートナー」のように、質問に答えて適切なグラフを自動で作り、さらに「なぜその数値になったのか」という原因まで分析して説明する「AI拡張分析」が主流になりつつあります。特に、企業内のデータポリシーを守りながらAI機能を提供する、L4レベルの製品へのニーズが高まっています。
日本市場の現在地
日本のBI市場では、海外製品を中心にL2〜L3レベルの、AIが分析して説明したり、AIと会話して分析したりする機能が導入され始めています。日本語での自然な質問に対応できる製品も増え、専門知識がなくてもデータ分析ができる環境が整ってきています。しかし、「分析もレポートも全自動」(L4)レベルに到達している製品はまだ限られており、日本語でのダッシュボード自動生成などは、Power BIやTableauといったグローバルな大手企業が先行している状況です。一方で、「異常を検知して通知」(L1)機能は多くの国内製品でも利用できるようになっており、見落としがちな重要な変化を自動で知らせてくれる基本的な機能は普及しています。
AI機能4層モデル 判定基準詳細
各レベルの具体的な判定基準は以下の通りです。
-
L4|分析もレポートも全自動
-
テキスト入力だけで計算式を自動作成・適用
-
テキスト指示で複数のグラフを含むレポートページを自動生成
-
生成されたダッシュボード全体のストーリーを自動で要約
-
すべての作業がツール内で完結し、指示・生成・確認・修正が同じ画面で可能
-
-
L3|AIが自ら分析・解説
-
推奨アクションから直接メール作成・タスク登録・会議設定が可能
-
会議要約などをもとにデータ更新をプレビュー・承認・反映できる
-
閲覧権限外のレコードは表示せず、更新権限がなければAI経由でも変更不可
-
誰が・いつ・何を変更したかを活動履歴で追跡可能
-
-
L2|質問するとAIが分析
-
「今月の売上は?」など自然な言葉で質問すると、数値と適切なグラフを自動生成し即座に回答
-
「地域別に」「今年だけ」など追加質問に、前の質問の文脈を保持したまま結果を更新
-
SQLやデータ構造の知識がなくても、普通の言葉だけで分析できる
-
-
L1|異常を検知して通知
-
データの急増・急減・外れ値など、注目すべきポイントを自動で検出
-
検出されたポイントに対して「なぜ重要か」「何が起きているか」を自然言語で説明
-
特別な設定やカスタマイズなしで、製品の標準機能として利用できる
-
まとめ
BIツールにおけるAIの活用は、L1の「異常を検知して通知」からL4の「分析もレポートも全自動」まで、幅広いレベルがあります。スタートアップや中小企業であればL1〜L2の基本的な自動化で十分な場合が多く、大規模な組織で高度な予測分析やカスタム指標の自動生成が必要な場合はL3〜L4レベルの機能が求められるでしょう。
これからは、「AI機能があるかどうか」だけでなく、「AI機能のレベル」で製品を選ぶ時代です。自社の分析課題と、どのくらいの自動化を求めているのかを整理し、最適な製品を選びましょう。製品比較にはFitGapの診断機能を活用することをおすすめします。

