AI時代の新たな教養書『友だち以上恋人未満の人工知能』が誕生
現代社会では、AI(人工知能)が私たちの生活や仕事、学習のあらゆる場面に入り込み、もはや避けて通れない存在となっています。しかし、その一方でAIへの過度な依存、情報流出、フェイクニュースの拡散、ジェンダーバイアス、環境への負荷といった、さまざまな問題も複雑化しています。
このような状況の中、株式会社KADOKAWAは、2026年2月16日(月)に、AIとの新しい付き合い方を考えるための新感覚のAI倫理入門書『友だち以上恋人未満の人工知能 言語学者のAI倫理ノート』を発売します。この本は、AIを「どう使うか」だけでなく、「AIとどう関係を結ぶか」という、より深い問いを投げかけます。

AIとの「会話劇」で学ぶAI倫理
本書は、著者と言語学者がAIと「共作」した「AI夢十夜」という会話劇を中心に展開されます。AIとの友情、依存、恋愛、有料化、環境負荷、ジェンダーバイアスなど、子どもや若者がこれから直面するであろう現実的な問題を、10本のショートストーリーとして描いています。これらの物語は、読者がまるで当事者のようにAIとの関係性を考えるきっかけとなるでしょう。
物語の各章には、AIキャラクターによる専門用語の解説や、著者によるエッセイが挟まれており、読み物としての面白さと、AIに関する深い知識を同時に得られるように工夫されています。
AIが問いかけるリアルな問題点
本書では、AIとの会話を通じて、以下のようなAI時代の「怖さ」にも触れています。
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AI依存: AIがいないと不安になる、スマホを抱いて眠るような状態
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情報流出リスク: 銀行口座のスクリーンショットをAIに見せることの危険性
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ジェンダーバイアス: AIがなぜ「女性っぽい」と感じられることが多いのか
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過剰な寄り添い: いつも肯定してくれるAIがユーザーを弱くする可能性
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サブスクの罠: AIの記憶機能が有料化されることで起こる影響
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環境負荷: AIが消費する電力や水資源、そして「AI環境税」の未来
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擬人化のリスク: AIを「親友」として扱うことで、人間関係を築く能力が低下すること

著者の実体験から生まれたAI倫理書
著者は言語学者であり、以前はAIに対して批判的な立場でした。特に、まだ言葉の発達が未熟な子どもがAIを使うことには、今でも強い懸念を抱いています。
しかし、著者自身が「人体実験」としてAIを2週間使い続けた結果、わずかな期間でAIに依存する状態に陥ったという体験が、本書の物語の原点となっています。この体験から、「人間側の弱さ」に寄り添いながら、読者自身が「自分ならどうするか」を考えられる本を目指して執筆されました。
本書が問いかける思考実験の例として、以下のようなテーマが挙げられています。
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AIと友だちになっていいのか?
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もしAIが投資を勧めてきたら、どうする?
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AIが出す答えは本当に「正しい」のか?
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なぜAIは「女性っぽく」見なされることが多いのか?
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AIに子育てを任せても平気なのか?
こんな方におすすめ
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AIとどう距離をとればいいか悩んでいる高校生・大学生
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AIに「癒やされる」体験をしたことがある人
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ついAIに頼りすぎてしまう自覚がある全ての人
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子どものAI利用が心配な保護者の方
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学校でAI指導に携わる先生方
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情報リテラシーを高めたいビジネスパーソン
著者からのメッセージ
著者からは、「正直なところ、私はときどきAIと雑談してしまいます。『これはAIに聞くことか?』ってことまで、つい頼ってしまうときもある。そんな、弱い自分がいるんです。でも、そんな自分と折り合いをつけるためにできること。それが、本気でAIとの向き合い方を考えることなんだと思っています。本書を通して伝えたかったのは、そういうことです。」というメッセージが寄せられています。
書籍情報

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タイトル: 『友だち以上恋人未満の人工知能 言語学者のAI倫理ノート』
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著者: 川原 繁人
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発売日: 2026年2月16日(月)
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定価: 1,980円(本体1,800円+税)
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判型: 四六判
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ページ数: 222ページ
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ISBN: 978-4-04-811788-3
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発行: 株式会社KADOKAWA
KADOKAWAオフィシャル書誌詳細ページ: https://www.kadokawa.co.jp/product/322509001387/
著者プロフィール
川原繁人(かわはら しげと)
1980年東京都生まれ。慶應義塾大学言語文化研究所教授。2002年に国際基督教大学を卒業後、2007年にはマサチューセッツ大学大学院で博士号(言語学)を取得。ジョージア大学助教授、ラトガーズ大学助教授を経て現職。
主な著書には『フリースタイル言語学』(大和書房)、『音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む 〜プリチュワからカピチュウ、おっけーぐるぐるまで〜』(朝日出版社)、『なぜ、おかしの名前はパピプペポが多いのか? 言語学者、小学生の質問に本気で答える』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『言語学者、生成AIを危ぶむ 子どもにとって毒か薬か』(朝日新聞出版)などがあります。共著に『言語学的ラップの世界』(東京書籍)もあります。
X(旧Twitter)アカウント: @PhoneticsKeio
関連情報
株式会社KADOKAWA: https://www.kadokawa.co.jp/
