はじめに:教員向け生成AI「スタディポケット for TEACHER」が永年無償化へ
スタディポケット株式会社は、教育現場で役立つ生成AIツール「スタディポケット for TEACHER」のライセンス利用料を、2026年度(2026年4月1日)から全国の学校教育機関に対して、ずっと無料で提供すると発表しました。これにより、先生方は費用を気にすることなく、AIを使った授業準備や校務の効率化を進めることができるようになります。
無償化の背景:日本の教育現場におけるAI活用の促進
今回の無償化は、日本の教育現場におけるAI活用の大きな一歩となります。背景には、いくつかの重要な点があります。
まず、文部科学省は2024年12月に、生成AIを「人間の能力を助け、可能性を広げる道具」と位置づけるガイドラインを発表しました。また、政府は2025年度までにすべての大学・高専卒業生がAIの基本的な知識を身につける目標を掲げるなど、国を挙げてAIの活用を推進しています。
このような国の動きに、スタディポケット株式会社は深く共感しています。同社は2023年度から、他社に先駆けて教育機関向けの生成AIサービスを提供し、多くの学校や教育委員会に利用されてきました。その中で得た知識と、継続的な企業努力によるコスト削減が、今回の無償化を可能にしたといいます。
さらに、先生方の長時間労働は依然として深刻な問題です。授業準備や書類作成に多くの時間が費やされる中、生成AIを活用することで、これらの業務を効率化し、先生方が子どもたちと向き合う時間を増やせるようになります。予算の制約でAIツールの導入が難しかった学校でも、今回の無償化によって、より多くの先生がAIの恩恵を受けられるようになるでしょう。
「スタディポケット for TEACHER」とは?その主な機能
「スタディポケット for TEACHER」は、先生方の授業や学校での仕事(校務・教務)を効率化するために作られた生成AIサービスです。安心して利用できるように、情報セキュリティの国際的な基準「ISO/IEC 27001:2022」の認証を取得しており、日本国内のサーバーでデータを管理。文部科学省のガイドラインにもしっかり対応しています。ここでは、主な機能をご紹介します。
1. AIスライド(マジックスライド)
AIスライドは、先生が入力した簡単な指示(プロンプト)から、授業用のスライドを自動で作成してくれる機能です。たとえば、「中学3年生に相似の概念を初学者向けに教えるスライドを10枚くらいで作って」と指示するだけで、分かりやすいスライドがすぐに完成します。手持ちの資料ファイルを添付して、それをもとにスライドを作ることも可能です。

2. 画像生成Pro
授業で使うイラストや図解、教材の素材を簡単に、しかもきれいに作れる機能です。Googleの最新AIモデル「Gemini 3」や「Nano Banana Pro」を搭載しているため、教育に役立つ高品質な素材を安定して生成できます。たとえば、二次関数の板書計画や、英語学習用のイラストなども作れます。

3. プロンプトジェネレーター&オリジナルAI作成・共有
「こんなAIがあったらいいな」という先生のアイデアを形にする機能です。例えば、「保護者への連絡文を分かりやすく、丁寧な表現に整えるためのAI」のように、実現したいことを入力するだけで、先生オリジナルのAIを簡単に作ることができます。作ったAIのテンプレートは、学校内の先生方と共有できるため、学校全体でAIの活用を広げることにつながります。

4. 校内AI利用状況分析
学校内でどれくらいの先生がAIを使っているか、どのように活用しているかを数字で見ることができるダッシュボード機能です。このデータをもとに、学校全体でのAI活用をさらに効果的に進めるための計画を立てられます。

無償化の対象と範囲
「スタディポケット for TEACHER」の教員向けライセンスは、全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、義務教育学校などで利用できます。2026年度(2026年4月1日)からの契約が対象で、すでに利用中のお客様も無償で継続利用可能です。
ただし、研修の実施や電話での個別サポート、導入時の特別な人的支援、自治体や学校ごとの「生成AI活用ガイドライン」の策定支援などは、引き続き有償となります。基本的な使い方マニュアルの提供や通常のカスタマーサポートは、無償ライセンスでも提供されます。
なお、児童生徒向けのサービスや、校務向けの特別な拡張プランは、今回の無償化の対象外です。
申し込み方法
「スタディポケットfor TEACHER(永年無償ライセンス)」の申し込みは、以下のフォームからお問い合わせください。
代表者からのメッセージ
スタディポケット株式会社 代表取締役CEOの山地 瞭氏は、今回の無償化について、「生成AI技術の初期から、全国の学校現場の先生方や教育委員会の皆様と一緒に、どのように生成AIを学校に導入していくかを話し合い、協力してきました。その中で、児童生徒向けのサービスに比べて、先生向けのサービスの予算化が非常に難しいという、日本の教育現場特有の課題に直面しました。」と語っています。

さらに、「今回の教員向け生成AI無償化は、これまでの開発・運用で培った技術的な知識と、継続的なコスト削減の取り組みによって実現できました。これにより、全国すべての先生方に、教育現場にぴったりの生成AIが行き渡る環境を、ようやく作ることができました。」と続け、「私たちは、学校現場こそが日本のAI活用を加速させる上で、最も大切な出発点だと考えています。これからも先生方とともに、日本を生成AI活用先進国へと押し上げていく原動力を作り続けていきます。」と締めくくりました。
スタディポケット株式会社について
スタディポケット株式会社は、2019年7月に設立された企業です。生成AIを活用した教育ソフトウェアの開発や、学校の業務改善(校務DX)支援、教育サービス事業などを展開しています。文部科学省の「学校DX戦略アドバイザー事業」のサポート事業者(生成AI分野)や、経済産業省「未来の教室」令和6年度教育イノベーター支援プログラム(EOL)採択企業にも選ばれています。
- 公式サイト: スタディポケット 公式サイト

