講談社は、株式会社Remediesが開発した文章校正に特化した国産AI「wordrabbit（ワードラビット）」APIを、講談社が独自に開発した校正支援システム「ごじとる」に導入したことを発表しました。これにより、出版業界で求められる高い水準の日本語校正が、AIの力でさらに進化することが期待されています。
「wordrabbit」とは？
「wordrabbit」は、日本語の文章校正に特化して作られた国産のAIです。一般的なAI（汎用AI）では対応が難しかった、出版業界で求められるような非常に高いレベルの日本語校正を専門としています。誤字脱字はもちろん、言葉の使い方の間違いや、同じ言葉なのに表記が揺れる（例：「子ども」と「子供」）といった細かな部分まで、AIがチェックしてくれます。
なぜ今、特化型AIが注目されるのか
最近ではAIが色々な場所で使われるようになりましたが、特定の専門的な仕事では、幅広い分野に対応する汎用AIだけでは「合格ライン」に達しないことがあります。例えば、出版業界のように、とても正確な日本語が求められる現場では、誤字脱字のチェック、表記の統一、固有名詞の確認など、たくさんの細かい作業が必要です。
これらの作業は時間も手間もかかり、本や記事を読者に届けるまでの期間に影響することもあります。「wordrabbit」のような特化型AIは、このような校正作業に深く入り込むことで、汎用AIでは難しかったプロの現場で使える品質を実現し、編集者がもっと創造的な仕事に集中できる環境を作ることを目指しています。
講談社からのコメント
講談社の編集総務局 デジタル校閲部 部長である大橋 日登美様は、「校閲業務は、文字の職人ともいえる校閲者の地道な手作業によって品質を担保する仕事です。そんな職人芸である校閲業務が、じつはデジタルと非常に相性がよいことはあまり知られていないかもしれません。」と述べています。
また、「ごじとる」にAIの力を取り入れたいと考えたものの、一般的なAIでは「間違った指摘をする」という問題があったそうです。しかし、「wordrabbit」の特化型AIは、この問題をうまく制御できていると感じたため、「ごじとる」のAIエンジンとして採用することを決めたとのことです。これにより、「ごじとる」と「wordrabbit」の長所を活かし合い、校正精度をさらに高めることが可能になったとコメントしています。
「wordrabbit」の仕組みと選ばれた理由
「wordrabbit」は、日本語の文章校正に特化した国産AIモデルです。助詞の誤用、漢字の誤変換、入力ミス、文法の誤りなど、文章校正でよくある問題をリアルタイムで見つけ出し、適切な修正案を提示します。このAIモデルは日本国内で開発されているため、大切な原稿データを海外のAIに送ることなく、安全な環境で校正作業が行える点も特徴です。
「wordrabbit」が講談社に選ばれた主な理由は、以下の4点です。
- 高精度で安定した校正能力：編集現場が求める高い品質に対応でき、不要な指摘を減らしつつ、常に同じ正確な結果を出力できます。
- 迅速な処理：一度に数千文字から数十万文字という大量の文章でも、素早く処理できます。
- 入力内容が学習されない環境：重要な原稿データがAIの学習に利用されることはなく、高い機密性を保てます。
- 業務要件に応じた柔軟性：文章校正に必要な様々な機能を、状況に合わせて使い分けられます。
「wordrabbit」の活用シーン
「wordrabbit」は、書籍や雑誌、ウェブメディアの記事だけでなく、製造業のマニュアルや営業資料など、高い日本語品質が求められる様々な場面で活用されています。PDFデータだけでなく、Microsoft WordやPowerPoint、Chromeの拡張機能としても使えるため、実際の業務に合わせて柔軟に利用できます。AIが提案を行い、最終的な確認や判断は人間が行う「ヒューマン・イン・ザ・ループ」という考え方を取り入れることで、文章の品質向上をサポートします。
「wordrabbit」についてさらに詳しく知りたい方は、公式サイトをご覧ください。
株式会社Remediesについて
株式会社Remediesは、日本語とAIに関する独自の技術を使い、日本語に特化したソリューションを提供しているAIスタートアップ企業です。2024年には国内最大級のスタートアップコンテスト「IVS LaunchPad」のファイナリストに選ばれ、2025年には東京都の女性ベンチャー成長促進事業「APT Women」にも選定されるなど、その技術力と将来性が高く評価されています。
株式会社Remediesの企業情報や詳細は、以下の公式サイトで確認できます。
