2025年12月16日、Funds Startups株式会社(以下、Funds Startups)は、AIの安全な社会実装を目指す株式会社コーピー(以下、コーピー社)に対し、ベンチャーデットによる資金提供を実行したことを発表しました。

失敗が許されない「ミッションクリティカル領域」でのAI導入
今回資金提供を受けたコーピー社は、東京大学とフランスの国立情報科学研究所(Inria)から生まれたAIスタートアップです。同社は、医療や交通、社会インフラなど、もしAIが失敗してしまうと人命に関わったり、社会に大きな影響を与えたりする「ミッションクリティカル領域」でのAI導入を目指しています。
この難しい課題を解決するために、コーピー社は二つの特別なAI技術を活用しています。
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XAI(説明可能AI)技術
AIが「なぜこの結論を出したのか」「どうしてこの判断をしたのか」を、人間が理解できるように説明してくれる技術です。AIが自分の考えを教えてくれる通訳のようなもので、AIの判断を人間が信頼するために非常に重要です。 -
QAAI(AI向け品質検証)技術
AIが期待通りに、そして安全に動くかをテストし、品質を保証する技術です。AIが間違った判断をしないか、想定外の動きをしないかを厳しくチェックすることで、AIを安心して使えるようにします。
コーピー社は、これらの技術を基盤としたAI開発・運用・品質管理ソリューション「CONFIDE」を提供しており、SaaS(AIプロダクトやライセンス)事業と、AIの研究開発やDX(デジタルトランスフォーメーション)支援事業を展開しています。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業にも参加し、生成AIの適切な管理・利用に必要なAIセーフティ基準の策定や評価技術の開発にも取り組んでいます。
スタートアップの成長を支える「ベンチャーデット」
Funds Startupsは、スタートアップ企業が多様な成長段階に合わせて最適な資金調達ができるよう、「ベンチャーデット」という手法を提供しています。ベンチャーデットとは、株式を発行する「エクイティ調達」とは異なり、融資の形で資金を調達する方法の一つで、企業の資本コストを最適化しながら成長を加速させることを目的としています。
Funds Startupsは、コーピー社が持つ強固な技術力を活かした事業展開に対し、このベンチャーデットを通じて成長を後押ししたいと考えています。
関係者のコメント
株式会社コーピー 代表取締役 山元 浩平氏は、Funds Startupsからの支援に感謝を述べ、ミッションクリティカル領域でのAI活用には、AIの判断根拠や妥当性の説明、環境変動への耐性、人や他システムとの協働といった、従来のAI開発とは異なる高度な要件が求められると説明しました。同社は、技術を実際の運用現場で活かすための設計思想を重視し、多くの企業との協業を通じて「CONFIDE」を構築・提供しているとのことです。これにより、AIが社会インフラとして機能する未来を支えていくと語っています。
Funds Venture Debt Fund プリンシパル 小原 満美氏は、コーピー社の資金調達を支援できたことを喜び、ミッションクリティカル領域におけるAI導入は、高度な説明可能性・品質保証・セキュリティが不可欠であると強調しました。AIモデルのブラックボックス化やAISafetyの重要性が高まる中、コーピー社が長年の研究開発と大手企業との協業を通じて培ってきたXAI・QAAI技術は、AI導入の「本番運用」を支える独自の技術力と信頼を築き上げてきたと評価しています。山元CEOのリーダーシップとチームビルディング力にも触れ、「ミッションクリティカルなAIの実現」という難度の高い命題に挑戦し続けるコーピー社を全力で支援すると述べています。
Funds Startupsについて
Funds Startups株式会社は、「社会的インパクトを創出するスタートアップが、最も理想的な成長を遂げられる仕組みを開発する」をミッションに掲げ、2023年12月に設立されました。Funds Venture Debt Fundの運営を中心に、スタートアップの資金調達手段の多様化や環境整備にも取り組んでいく予定です。
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Funds Startups 詳細: https://social.funds.jp/fsrelease
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Funds Startups 公式サイト: https://startups.funds.jp/

