NTTデータ先端技術、「Hinemos World 2025 Tokyo」開催レポート
NTTデータ先端技術は、統合運用管理ソフトウェア「Hinemos(ヒネモス)」に関する年次イベント「Hinemos World 2025 Tokyo」を、2025年11月26日に6年ぶりにリアルで開催しました。
このカンファレンスでは、「Hinemos」がリリースから20年を迎えた節目として、その歩みとこれからの展望、そして最新の導入事例が紹介されました。特に、IT運用にAI(人工知能)を活用する「AIOps(エーアイオプス)」の取り組みに焦点が当てられました。

開会あいさつ:20年の進化とIT運用の重要性
イベントは、NTTデータ先端技術の大上 貴充氏の開会あいさつから始まりました。大上氏は、6年ぶりのリアル開催と「Hinemos」20周年への感謝を述べ、この20年間でIT業界が大きく進化し、ビジネスにおけるITサービスの重要性が高まったことを強調しました。
特に、仮想化やクラウド、コンテナといった技術の登場、そしてSREやxOpsのような新しい運用方法への変化、さらにはAIがIT運用の現場で注目されている現状について説明がありました。

基調講演:NTTデータグループが仕掛ける生成AI戦略
続く基調講演では、株式会社NTTデータグループの本橋 賢二氏が「生成AIがもたらす変革と、NTTデータグループにおけるAI戦略」について講演しました。
NTTデータグループは、AIを積極的に活用することと、AIを安全に使うためのルール(AIガバナンス)を両立させながら、お客様や自社のビジネスを変革し、「AI Driven Company(AIを駆使する会社)」を目指していることを示しました。
AI戦略としては、公開されているオープンなAIと、NTTデータグループが独自に開発した「tsuzumi(ツヅミ)」のようなクローズドなAIを組み合わせる「ハイブリッド戦略」を採用。2027年までにソフトウェア開発の生産性を70%向上させるという具体的な目標を掲げ、同時に安心・安全なAI活用を進めていると説明されました。

Hinemosが描く統合運用管理の世界
NTTデータ先端技術の内山 勇作氏は、「Hinemos」が実現する統合運用管理について紹介しました。現代のIT運用が直面する「ビジネススピードの加速」「IT環境の複雑化」「人材不足」という3つの大きな課題に対し、「Hinemos」がどのように統合・自動化のプラットフォームとして役立つかを、具体的な事例と製品ラインナップを交えて解説しました。
「Hinemos」は20周年を迎え、「すべてのIT運用を、ひとつに」というコンセプトのもと、クラウドとオンプレミス(自社設備)が混在する「ハイブリッドクラウド環境」の運用を効率化し、コスト削減に貢献するサービスとして展開されていることが紹介されました。

AI×Hinemosによる運用高度化:AIOpsの取り組み
続いて、NTTデータ先端技術の澤井 健氏は、AIを活用してITシステムの運用をより賢く、効率的にする「AIOps」の最新トレンドと、「Hinemos」による運用高度化の具体的な方法について講演しました。
講演では、特に「生成AI」の登場がIT運用の効率化に与える大きな影響が強調されました。例えば、Hinemosの機能を使って不要なメッセージを減らしたり、過去のトラブル事例をAIで分析して素早く対応したりする、生成AI活用の取り組みが紹介されました。
また、システム障害(インシデント)が発生した際に、ITサービスの停止時間を最小限に抑え、ビジネスへの影響を少なくすることの重要性も述べられました。

Hinemos 20年の振り返りと今後の展望
最後に登壇したNTTデータ先端技術の中島 洋祐氏は、「Hinemos」の20年の歴史とこれからの展望について講演しました。
「Hinemos」が時代ごとの課題に対応して進化してきた道のりを、当時のコンセプトや追加機能とともに紹介。今後は「AIドリブン運用(AIによる自律的な運用)」と「高度なクラウド対応」を2つの柱とし、マネージドサービス(運用代行サービス)化やAIアシスタントなどの具体的な取り組みを通じて、「すべてのIT運用をひとつに」というコンセプトのもと、システム運用を自律的に最適化する未来像が共有されました。
これにより、次世代のコスト削減と運用効率化が実現されると期待されています。さらに、2026年4月には次期バージョンとなる「Hinemos ver7.2」が公開される予定であることも発表されました。


