FuriosaAIが「2025 Korea Tech Festival」でAI半導体への国際的関心を確認

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韓国で産業通商資源部が主催する「2025 Korea Tech Festival(コリア・テック・フェスティバル)」が12月5日に閉幕しました。このイベントは「技術の力、事業化の価値、産業の未来」をテーマに、最先端の産業技術や研究開発の成果を広く紹介する場として開催されました。

2025 コリア テック フェスティバル AI特別館での講演風景

韓国を代表するサムスン電子や現代自動車をはじめとする78社が出展し、AI半導体技術に特化した「AI半導体特別館」も設けられました。このフェスティバルで特に注目を集めたのが、AI半導体設計企業のFuriosaAIです。

FuriosaAIのAI推論向け半導体「RNGD」

FuriosaAIは、データセンター、自動運転、ロボットなど幅広い分野で使われるAIの「推論(Inference)」という処理に特化した半導体「RNGD(Renegade)」を披露しました。

AI半導体には、AIモデルを作るための「学習」と、作られたモデルを動かす「推論」という2つの主な用途があります。NVIDIAのGPU(Graphics Processing Unit)はどちらの処理もできますが、コストや消費電力が高いという課題があります。それに対して、FuriosaAIのRNGDのようなNPU(Neural Processing Unit)は、AI処理に特化した設計になっているため、電力効率が良く、コストや供給の面でも有利とされています。

FURIOSAのブース、来場者で賑わう様子

NPUは、データセンターや通信事業者、クラウド企業など、AI推論を頻繁に行う企業にとって魅力的な選択肢となっています。

世界各国からの高い関心

フェスティバル期間中、KOTRA(大韓貿易投資振興公社)が主催した「グローバルオープンイノベーションMeet-up Program」では、予想を上回る関心が寄せられました。日本のNTTドコモやソフトバンク、ドイツテレコム、インドネシアのテルコムセルなど、世界各国の主要な通信社が参加しました。

FuriosaAIのブースには、日本の主要な地方自治体(東京渋谷区、名古屋、神戸など)やタイの政府関係者、政府向けビジネス事業者も訪れました。これらの機関からは、クラウドよりも自社の施設内でAIを運用する「オンプレミス」環境でのNPU導入について相談が寄せられたといいます。

AI関連展示会でサーバーラックについて説明する様子

RNGDサーバーの性能と今後の展望

「AI半導体特別館」では、FuriosaAIのRNGDサーバーが展示されました。このサーバーは、8枚のRNGDカードと2基のAMD EPYC 9354プロセッサーで構成されており、データセンターでの使用を想定しています。メモリはカード1枚あたり48GBのHBM3を搭載し、合計384GBをサポート。FP8で4096 TFLOPS、INT8で4096 TOPSという高い性能を実現します。

高性能コンピューティングシステムまたはサーバーの内部構造

FuriosaAIはすでに主要パートナー企業へのサンプリングを進めており、来年初めから第2世代半導体の量産を開始し、市場への供給を拡大する予定です。

フリオサAIの展示ブース、技術的な説明を受ける来場者

韓国のAI半導体企業は、国内外で具体的な導入事例を増やし、産業のエコシステムを築くことに力を入れています。FuriosaAIはLG AI研究院へのLLM(大規模言語モデル)推論用半導体供給の実績を基に、国内外の企業にその可能性を提案しています。また、2025年AI半導体海外実証支援事業を通じて、ダゾンビズオンと協力し、日本の中小企業向けに、ERPやデータ分析などを行うAIサービス「Douzone Bizon ONE AI」でのRNGD活用を開始しました。

FuriosaAIのRNGD製品ロードマップ

2026年にはRNGDの本格量産が始まり、さらに多くの導入事例が生まれることで、韓国のAI半導体技術が世界に示されることが期待されます。

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