テンセントゲームズは、2025年12月15日から18日まで香港で開催された「SIGGRAPH Asia 2025」において、次世代AIアニメーション制作システム「VISVISE(ビスバイズ)」を発表しました。
このシステムは、3Dキャラクターアニメーション制作における「リギング(骨組み作り)」「スキニング(骨と皮膚の連動設定)」「アニメーション生成(動き作り)」といった一連の工程を、AIの力で自動化する業界初の試みです。これにより、制作の効率と品質が大きく向上すると期待されています。

AIで制作工程をまるごと効率化する「VISVISE」
「VISVISE」は、今年のgamescom 2025で初めて公開され、アニメーション制作の中でも特に時間がかかる準備作業をAIで自動化する技術として注目を集めました。
今回SIGGRAPH Asia 2025で発表されたのは、その技術をさらに進化させ、3Dキャラクターアニメーション制作の全ての工程をAIでカバーする「完全なエンドツーエンドAIソリューション」です。これにより、これまで手作業で行っていた多くの工程がAIによって効率化されることになります。
イベントでは「VISVISE」のライブデモが実施され、多くのゲーム開発者や専門家がその技術を体験しました。来場者からは、「これまで数日かかっていた作業が数分で完了し、制作の流れにスムーズに組み込める」といった高い評価が寄せられました。

VISVISEの主要技術が明らかに
SIGGRAPH Asiaのワークショップでは、「VISVISE」のプリンシパルAIリサーチャーであるZijiao Zeng氏が講演を行い、「VISVISE」の核となる最新技術を紹介しました。
1. キャラクターの骨組みを自動生成する「VISVISE SkeletonGen V1.0」
さまざまな種類のキャラクターに対応し、スカートや髪の毛の揺れを表現するための「補助骨」も自動で作ることができます。
2. 骨と皮膚をワンクリックで連動させる「VISVISE Skinning Model V4.5」
AIによるワンクリック操作で、90パーセント以上のスキニング作業を自動化します。人間型、四足歩行、武器、モンスターなど、多様なキャラクターやアセットに柔軟に対応できます。
3. 高品質な動きを生成する「MotionGen Beta」
「MotionGen Beta」は、大規模なアニメーション制作に対応できる初の3Dアニメーション生成モデルとして開発が進められています。以前のバージョンに比べて、キャラクターの足が滑ったり、動きが細かくブレたりする問題を大幅に改善し、業界トップレベルの品質で動きを生成できるようになりました。これらのAIツールが連携することで、従来の手作業によるアニメーション制作の効率が大きく向上します。

次世代のライティング技術「MagicDawn」も発表
同じワークショップでは、テンセントゲームズが開発した、ゲームエンジンを問わずに使えるライティングソリューション「MagicDawn(マジックドーン)」も公開されました。
レンダリングR&D責任者のChao Li氏は、大規模なオープンワールドゲームに対応する「クロスプラットフォーム・グローバルイルミネーション(GI)」技術について詳しく説明しました。この技術は、ゲームの見た目の美しさ、動作の軽快さ、データサイズ、そして制作効率といった5つの重要な課題を解決することを目指しています。
また、AIを使った新しいGIソリューションも紹介され、高性能なグラフィックカードに頼ることなく、これまでの技術よりも高品質な動的なGIを実現できることが示されました。さらに、AIとレイトレーシング技術を組み合わせることで、よりリアルな3D音響空間を作り出す研究も進められているとのことです。

テンセントゲームズは、長年のゲーム開発で培った経験を活かし、これからも最先端のAI技術を進化させていくことで、ゲームクリエイターがより革新的なゲームを作れるよう支援し、世界のゲーム業界の発展に貢献していく方針です。
VISVISEの詳細については、以下の公式サイトをご覧ください。

