TechJapan、災害時の困りごとをAIで解決!「復興コンパス」で複雑な申請手続きを指一本に

AIツール・サービス紹介

TechJapan合同会社は、デジタル庁が主催する「『法令』×『デジタル』ハッカソン」において、被災者が複雑な手続きなしに最適な支援制度にたどり着ける新しいナビゲーションシステム「復興コンパス」を開発・提案しました。このシステムは、災害時に「情報がうまく伝わらず、本来受けられるはずの支援を受けられない」という「Law Divide(法の分断)」と呼ばれる社会的な問題を、最新の技術で解決しようとするものです。

災害時の「情報の非対称性」とは?

大規模な災害が起こると、被災した方はさまざまな支援が必要になります。しかし、どのような支援制度があるのか、どうすれば申請できるのかがわからず、困ってしまうことが少なくありません。これが「情報の非対称性」や「Law Divide」と呼ばれる課題です。TechJapanは、誰もが公平に「生活を立て直す権利」を行使できるよう、この問題の解決を目指し、プロトタイプ(試作品)の開発に取り組んでいます。

行政DXにおける「3つの壁」

TechJapanは、今回のハッカソンを通じて、現在の行政のデジタル化(DX)において、特に以下の3つの大きな課題(ボトルネック)があることを指摘し、その解決策を示しました。

  • 行政データの「ミッシングリンク」: 国の法律はデジタル化が進んでいますが、地域ごとの実情に合わせた支援には欠かせない「条例」や、現場での運用を左右する「通達」の多くが、まだデジタルデータとして十分に整備されていません。これにより、地域に合わせた完璧な案内が難しくなっています。

  • 「制度」と「ユーザー」の分断: 支援制度を提供する側(国)と、実際に支援を必要とする方々(被災者)との間に、わかりやすい橋渡し役(インターフェース)が不足しています。被災者が自分で複雑な制度を調べなければならない「申請主義」という壁が残っています。

  • 「アナログ規制」とデータ連携の不備: デジタル化が進む一方で、いまだに紙での申請や対面での確認が必要な手続きが多く残っています。また、被災現場の写真データなどを審査システムへスムーズに連携する仕組みが足りず、これが大規模災害時に役所の窓口が混雑する主な原因となっています。

「復興コンパス」のすごい仕組み

これらの課題を解決するために、「復興コンパス」は独自の技術を取り入れています。

(1) 行政用語の壁を越える「P-A-Bタギング構造」

これまでの検索方法では、「罹災証明書」といった専門的なキーワードを知らないと、必要な制度にたどり着けませんでした。「P-A-Bタグ」という新しい仕組みでは、法令や自治体の情報を以下の3つの視点(属性)で整理します。

  • Purpose(市民の意図): 「家が壊れた」「修理のお金が必要」といった、利用者の「困りごと」や「目的」

  • Action(必要な手続き): 「罹災証明交付申請書の提出」「現場写真の撮影」といった、目的を達成するための「具体的な行動」

  • Benefit(権利・利益): 「公的支援の前提資格取得」「最大300万円の支給」といった、手続きによって得られる「メリット」

これにより、AI(大規模言語モデル)が、利用者の「実家の屋根が落ちて住めない」という言葉から、「罹災証明書の申請」という行政上の正しい手続きを自動的に見つけ出します。さらに、国の法律だけでなく、各自治体の条例まで調べて、「まずは片付ける前に写真を撮ってください」といった具体的なアドバイスを提供します。

(2) 言語化できない状況を直感入力「Dango UI」(特許技術)

スマートフォンの中央から広がる選択肢を、指一本でタップしていくだけで、自分の状況を簡単に伝えられる「学習型ラジアルメニュー(Dango UI)」を採用しています。キーボードで文字を打つ必要がなく、直感的に操作できるため、利用者の状況を正確にAIに伝えることができます。

(3) マイナポータル連携で「窓口に行かない」申請を実現

「P-A-Bタギング構造」で特定された必要な手続きから、マイナポータルの申請画面へ直接つながるように設計されています。特に、申請が非常に多くなる「一部損壊」などの場合でも、オンラインで手続きを完了できるようにすることで、役所の窓口が混雑するのを防ぐことを目指します。この機能は、マイナンバーカードを持っている方を想定しています。

今後の展望

今回の「『法令』×『デジタル』ハッカソン」で得られた経験を活かし、TechJapanはこれからも国や自治体に対し、P-A-B構造化技術を使った「条例・通達データの整備」や、実際に役立つデジタルソリューションの提案を続けていきます。「技術で社会の課題を解決する」という目標のもと、災害が多い日本で、人々が早く日常を取り戻せるような社会の回復力(レジリエンス)を高めることに貢献していくとのことです。

イベント概要

TechJapan合同会社について

TechJapan合同会社は、ITコンサルティングやシステム開発を通じて、企業のデジタル変革(DX)をサポートしています。業務に関する深い知識とAIへの理解を強みとし、「専門知識がないと使えないシステム」や「導入しても現場で使われないツール」といった課題を、徹底した利用者目線(UX)と確かな技術力で解決へと導きます。

  • 会社名: TechJapan合同会社

  • 所在地: 神奈川県秦野市大秦町1-45 アイデアSALON

  • 代表者: 興野 剛

  • 事業内容: ITコンサルティング、ソフトウェア開発、AIを用いた業務改善サービスの開発、ソフトウェアライセンス提供、賃貸不動産仲介サービス(RooMii運営)

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