
リーガルテック株式会社は、AIを活用して特許出願をサポートする「MyTokkyo.Ai」の最新事例を公開しました。この事例では、人と一緒に働くロボット(人協働アーム)の安全を守るための技術が、AIの力で効率的に特許に変えられた様子が紹介されています。
人協働ロボットの安全制御と特許化の難しさ
工場などで人とロボットが一緒に働く「人協働ロボット」は、作業の効率を上げるためにとても役立ちます。しかし、もしロボットが人にぶつかってしまったら大変です。そのため、ロボットが安全に動くように、人との距離を測ったり、動きを制限したりする「安全制御」の技術がとても重要になります。
この安全制御の技術はとても複雑で、たくさんのセンサーからの情報を組み合わせて、リアルタイムに人の動きを読み取り、ロボットの動きを調整する必要があります。しかも、安全を確保しつつ、ロボットが止まりすぎないようにして、作業の効率も落とさないようにしなくてはなりません。
このような複雑な技術を特許にするには、発明のポイントを整理したり、すでに似たような特許がないかを調べたりするのに、非常に多くの時間と手間がかかっていました。
MyTokkyo.Aiが選ばれた理由
今回、この安全制御技術を開発したチームは、AI特許エージェント「MyTokkyo.Ai」の導入を決めました。MyTokkyo.Aiが選ばれた主な理由は以下の通りです。
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発明要素の自動抽出と整理: 開発会議の議事録や実験の記録、開発メモなど、たくさんの資料の中から、AIが自動で発明の重要な要素を見つけ出し、技術的な特徴をわかりやすく整理できる点が評価されました。
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高速な先行技術調査: 特許に特化したAI(RAG技術を使用)が、関連する特許を素早く探し出し、開発中の技術と似ている点や違う点を色分けして提示してくれます。
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知財部門との連携強化: AIが上位概念化の提案なども行うことで、技術を開発する部門と特許を扱う部門(知財部門)がよりスムーズに協力できるようになります。
MyTokkyo.Aiの活用と効果
MyTokkyo.Aiは、距離センサー、トルクセンサー、画像認識といった様々なセンサーからの情報を統合して安全にロボットを動かす技術について、議事録や実験記録を解析しました。その結果、この技術がどんな「課題」を解決し、どんな「解決手段」を使い、どんな「効果」があるのかを自動で抽出しました。
さらに、関連する先行特許を10件探し出し、開発中の技術との類似点や異なる点を明確に提示しました。これにより、この技術が特許として認められる可能性があるかどうかを判断する時間が大幅に短縮されました。
技術的な面では、AIが確率的に安全な距離を評価する仕組みを取り入れたことで、ロボットが人に接触するリスクがほぼゼロになる見込みです。また、不必要にロボットが止まる回数も40%減ると予想されています。
特許出願に必要な「発明提案書」の最初のドラフトもAIが自動で作成してくれるため、開発担当者が書類を作る手間が約60%も減ったとのことです。
今後の展望
人協働ロボットの技術はこれからもどんどん進化し、安全制御のアルゴリズムもさらに複雑になっていく見込みです。この開発チームは、今後もMyTokkyo.Aiを使い続けることで、新しい技術テーマをいち早く見つけたり、特許の数を増やしたり、より広い範囲で特許権を守れるようにしたりしていく方針です。
MyTokkyo.Aiについて、詳しくはこちらをご覧ください。
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