2025年『今年の妖怪』は「AI妖怪 ミームー」に決定!
香川県小豆島にある妖怪美術館は、毎年その年の世相を表す妖怪を選び発表しています。2025年12月21日、今年の世相を最もよく表す妖怪として、応募総数2,519件の中から「AI妖怪 ミームー」が選ばれました。この発表は、小豆島・西光寺にて、妖怪画家であり妖怪美術館館長の柳生忠平氏による妖怪画と共に披露されました。

「AI妖怪 ミームー」ってどんな妖怪?なぜ選ばれたの?
近年、AI(人工知能)の技術がとても進化し、専門知識がなくても文章や画像、動画などを簡単に作れるようになりました。特に動画を作るAIの普及は目覚ましく、本物と見分けがつかないような映像が私たちの身近にあふれるようになっています。
2025年1月頃から話題になった「イタリアン・ブレインロット」という現象をご存じでしょうか。これは、AIが作ったキャラクターや映像がインターネット上でどんどん広まっていく現象のことです。意味や文脈がはっきりしない映像や言葉が多いのが特徴で、インドネシアから世界中に瞬く間に広がりました。動物と日用品を組み合わせたキャラクターが、イタリア語のような意味不明な言葉を話すコンテンツが多く、不特定多数の人々によって次々と投稿され、広まっています。
このような、どこか不思議で正体のつかめないキャラクターや物語は、現代社会の不安や違和感を映し出しているとも言えます。まるで「現代の妖怪」のような現象を生み出しているのです。
また、実在の人物が言っていないことを言っているように見せる「ディープフェイク」の問題や、誰が作ったのか分からないAI生成動画が急増していることも、大きな課題となっています。これらは、作者や著作権者がはっきりしないまま、強い影響力を持って社会に広まっているのです。
妖怪美術館は、こうした状況を単なる技術の問題や倫理的な問題としてだけでなく、現代社会で起こっている新しい文化現象として捉えています。昔の日本では、原因や主体が分からない不思議な現象を「妖怪」と呼び、恐れや違和感を持ちながらも向き合ってきました。今回の「AI妖怪 ミームー」は、まさに現代におけるその象徴と言えるでしょう。

「AI妖怪 ミームー」が問いかけること
「AI妖怪 ミームー」は、はっきりとした作者がいない作品と共に存在し、誰が作ったのか、どんな意図があるのか分からないまま、私たちの感情や判断に影響を与えます。それは嘘をつくわけではなく、本物と区別がつかないほどリアルな「偽りの姿」として、社会に自然と溶け込んでいくのです。この不思議な存在であるAIを、ただ怖がったり拒絶したりするのではなく、どう付き合っていくかを考えるきっかけとして、「AI妖怪 ミームー」は存在します。
妖怪美術館は、「AI妖怪 ミームー」を通じて、私たちが今直面している「何を信じるのか」「本物とは何か」「表現の責任は誰にあるのか」といった問いを、文化的な視点から提示しています。これが、妖怪美術館が「今年の妖怪2025」に「AI妖怪 ミームー」を選んだ理由です。
妖怪画家・柳生忠平館長は、「AI妖怪 ミームー」について、次のようにコメントしています。
「AI妖怪 ミームーは、お腹の目であらゆる情報をじっくりと見て、その情報を大きな舌でなめて頭の中にため込みます。そして、ため込んだ情報からAI画像やAI動画を作り出し、それを自分で身につけて分身し、まるで現代の『ぬらりひょん』のように、ぬるりと人々の生活の中に入り込んでいくのです。尻尾の蛇が持つ広める力も合わさり、瞬く間に世界中へぬるりと広がっていきます。」

ちなみに、昨年(2024年)の妖怪は、令和の米騒動を象徴する「米隠し」でした。
「今年の妖怪2025」は「YOKAI EXPO 2026」で展示
柳生忠平氏が描いた「今年の妖怪」の色紙は、2026年2月22日(日)に小豆島で開催される「YOKAI EXPO 2026」の会場に展示される予定です。

「YOKAI EXPO 2026」は、「日本最大級の妖怪見本市」として、妖怪や妖怪文化を愛する人々が一堂に会するイベントです。妖怪をテーマに地域を盛り上げる団体、研究者、アーティスト、クリエイター、コスプレイヤー、パフォーマーなど、様々な妖怪文化を育む人々が集まり、世界に向けて妖怪文化を発信します。入場は無料です。
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日時:2026年2月22日(日)10:00~16:00
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場所:土庄町総合会館 フレトピアホール(香川県小豆郡土庄町甲267-78)
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YOKAI EXPO公式HP:https://www.yokaiexpo.com/
妖怪美術館について
妖怪美術館は、香川県小豆島の「迷路のまち」にあり、900体を超える妖怪の作品を展示しています。4つの古い民家をギャラリーとして利用し、スマートフォンアプリのガイドを使いながら巡ることができます。妖怪の始まりから現代の妖怪まで、「妖怪造形大賞」に応募された数多くの作品が展示・保管されています。妖怪美術館は「妖怪を世界へ」という目標を掲げ、「Yokai」という言葉が「もったいない」のように世界中で通じる言葉になることを目指しています。館長は小豆島出身の妖怪画家、柳生忠平氏です。

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妖怪美術館公式サイト:https://meipam.net/
小豆島ヘルシーランド株式会社について
小豆島ヘルシーランド株式会社は、瀬戸内・小豆島でオリーブの栽培や研究、化粧品や食品の開発・製造、通信販売などを行っています。また、地域活性化事業の企画や運営も手掛けており、妖怪美術館が共同運営する「MeiPAM 小豆島・迷路のまちアートプロジェクト」にも協力しています。
- 小豆島ヘルシーランド株式会社HP:https://shl-olive.co.jp/
