DEEPNOID、AI半導体NPUで医療AIの運用コスト最適化とサービス応用を目指す
医療分野でAIソリューションを開発するDEEPNOID(ディープノイド)が、FuriosaAIのNPU(神経網処理装置)の導入を計画しています。NPUは、AIの計算を効率よく行うための特別な半導体で、これによりAI運用のコストを抑え、より高度なサービスを提供することを目指します。

DEEPNOIDとは? 医療AIのパイオニア
DEEPNOIDは2008年にソフトウェア企業としてスタートし、2015年からはAIの一種であるディープラーニング技術の開発に力を入れてきました。特に医療画像の分析技術で高い評価を受け、2021年にはKOSDAQという韓国の株式市場に上場しました。
DEEPNOIDが開発する主要なソリューションの一つに「M4CXR」があります。これは胸部X線画像をAIが解析し、医師が患者さんの状態をまとめる「読影所見書」のドラフト(下書き)を自動で作るシステムです。2023年からは、この生成AI技術に関する研究論文も発表しており、現在、医療機器としての認可に向けた手続きを進めています。

他にも、脳のMRA(磁気共鳴血管造影)画像から脳動脈瘤を検出する「DEEP:NEURO」や、肺疾患に対応する「DEEP:LUNG」など、様々な医療AIサービスを展開しています。特に「DEEP:NEURO」は、その革新性が認められ、保険適用外の診療でも医療費が認められる「革新医療機器」に指定されています。

なぜGPUではなくNPUなのか? AI運用の新しい選択肢
AIの計算には、これまでGPU(画像処理装置)が広く使われてきました。DEEPNOIDもNVIDIA社のA100 GPUを使用していますが、今回、情報通信産業振興院(NIPA)の支援を受け、FuriosaAIのNPUへの切り替えを進めています。

NPUはまだ新しい技術ですが、大規模言語モデル(LLM)のようなAIの処理において、GPUよりも高い性能と電力効率を発揮することが期待されています。LLMとは、ChatGPTのように人間が使う言葉を理解し、文章を生成するAIモデルのことです。
DEEPNOIDが行った実証実験では、FuriosaAIのNPUを使うことで、NVIDIA社のH100 GPUと比べて電力効率が高く、AIシステムの総費用(TCO:総所有コスト)を半分以下に削減できることが確認されました。初期の導入費用はGPUと同程度かそれよりも安い場合があり、長期的に見ると電気代などの運用コストを大きく削減できる点がNPUの大きな魅力です。

国内外での実証と未来への展望
DEEPNOIDは、梨花女子大学ソウル病院、ソウル市立ボラメ病院、仁荷大学病院といった国内の主要病院でM4CXRの実証を進めています。これらの病院では、クラウドを通じてM4CXRが実際の医療現場で使われ、その効果が検証されます。将来的にはフィリピン、ベトナム、中東など海外への展開も視野に入れています。
すでに、M4CXRの生成AIを使った胸部X線読影所見書ドラフト作成性能に関する研究が、欧州胸部画像医学会で「最優秀口演発表賞」を受賞しました。この研究では、85%の高い診断精度と、平均3.4秒という速さで所見書ドラフトを作成できることが示されました。

FuriosaAIのNPUは、このM4CXRでのLLM処理を担当する予定です。今後は、FuriosaAIの次世代NPU「Renegade(RNGD)」のビジョン認識機能(画像を見て内容を理解するAIの能力)も活用し、GPUからの切り替えをさらに進める計画です。

DEEPNOIDは、2026年2月にドバイで開催される「World Health Expo(WHX 2026)」や、4月に日本で開催される「国際医用画像総合展(ITEM 2026)」でM4CXRを出展し、国産NPUによるLLM処理の優位性を積極的にアピールしていく予定です。
AIエコシステムへの影響
DEEPNOIDのNPU導入は、単にコスト削減だけでなく、韓国国内のAI産業全体に大きな意味を持つと期待されています。現在、AI開発の現場ではGPUが主流ですが、NPUは電力効率やコスト面で優れた選択肢となり得ます。FuriosaAIのような国内企業のNPUが普及することで、AI半導体市場の競争が活発になり、AI技術の発展がさらに加速するでしょう。

DEEPNOIDは、FuriosaAIのNPUにその可能性を見出し、AI半導体の多様化と市場形成に貢献したいと考えています。

