Hexagon、日本市場参入50周年を記念し、AIで製造業の品質革新を加速する新技術を発表

ビジネス活用

2025年、Hexagon Manufacturing Intelligence株式会社(以下、Hexagon)は、日本市場参入から50周年という大きな節目を迎えました。

日本の製造業は今、「2025年の崖」と呼ばれるDXの遅れや、環境に配慮したサステナビリティへの対応、そしてコスト上昇といった、これまでになかった大きな変化の波に直面しています。このような状況の中、Hexagonは50年間の経験と最新の技術を結集し、「品質」を軸に日本のものづくりを支え、未来への土台を築いてきました。

本記事では、Hexagonがこの記念すべき年に発表した、製造業の未来を切り拓くための主な取り組みと、AI(人工知能)を活用した新しい製品の数々をご紹介します。

Hexagonのモダンなオフィスビルの夜景

2025年の主な取り組み:ものづくりの「品質」を追求

Hexagonは、製品開発を通じて、製造業、そしてその製品を使う人々の生活をより豊かにするために「品質」を追求してきました。2025年に行われた主な取り組みを見ていきましょう。

事業基盤を強化し、品質革新を加速

50周年を迎えた今年、Hexagonは変化の速い市場に迅速に対応し、製造業からの高い品質要求に応えるため、事業の基盤をより強固なものにしました。2025年7月には、測定機やCAD/CAMなどを扱うHexagonグループの4社を統合し、「Hexagon Manufacturing Intelligence株式会社」として新たなスタートを切っています。これにより、製品の設計から製造、そして測定までを一貫してサポートできる体制が整い、お客様への支援の質をさらに高めることができました。

次世代製品で製造現場に新しい価値を提供

Hexagonは、製造現場の作業を「もっと効率的に」「もっと高品質に」することを目指し、AIなどの新しい技術を取り入れた製品や機能を発表しました。

航空宇宙・エネルギー産業の検査を加速する次世代レーザートラッカー「ATS800」

航空宇宙産業やエネルギー産業では、飛行機や発電所の大型部品を検査するのに、とても多くの時間と手間がかかっていました。高い場所に足場を組んだり、測定用の目印(ターゲット)をたくさん設置したりする必要があったため、生産のスピードが落ち、コストが増える原因となっていました。

Hexagonが6月に発表した「ATS800」は、この大きな課題を解決します。この製品は、特別な技術「TruePointテクノロジー」によって、最大40メートル離れた場所からでも、反射板なしで非常に正確なスキャンができます。これにより、足場やターゲットの設置が不要になり、検査にかかる時間を数時間から数分へと大幅に短縮できるようになりました。生産の自動化にも対応しており、現代の速いものづくりに合わせた品質管理を可能にします。

航空機の胴体らしき背景に、緑色のランプが点灯した高精度な3Dスキャン装置が設置されている様子

リバースエンジニアリングと品質保証を強化する「Geomagic」ブランド統合

Hexagonは2025年4月、3D計測やリバースエンジニアリング(既存製品を解析して設計情報を取り出すこと)の分野で知られる「Geomagic」ブランドを正式に統合しました。製造業では、今ある製品を改良して、より品質が高く、作りやすい「第2世代」の製品を生み出すことが、環境に優しいものづくりにもつながります。しかし、これは非常に複雑で難しい作業でした。Geomagicは、このような高度な作業を、直感的な操作で簡単に実行できるツールを提供し、お客様が革新的で高品質な製品を、より早く市場に投入できるよう支援します。

Geomagicブランドの複数のソフトウェア製品が、それぞれの略称と正式名称とともにリスト形式で表示されています

AI機能が新搭載されたデジタルツイン対応CAMシステム「ESPRIT EDGE」

ものづくりの現場では、加工のやり方やコツがベテランの職人さんにしかわからない「属人化」という問題があり、技術の引き継ぎが難しく、生産性を上げる妨げになっていました。2025年10月に開催された日本最大級の工作機械見本市「メカトロテックジャパン2025」では、次世代のCAMシステム「ESPRIT EDGE」に新しく搭載されたAI機能「ProPlanAI」が初めてお披露目されました。この新機能は、過去の加工データをクラウド上で自動的に集めて分析し、さらに、標準的な加工設定をAIが自動でサポートします。

これにより、熟練の技術を次の世代にスムーズに引き継ぎながら、同時に生産性を向上させることができます。

製造業におけるAIの活用を示した図

AIで内部欠陥を迅速に検出、品質保証を強化した「産業用X線CT解析ソフト」最新バージョン

金属や複合材料の部品には、見た目ではわからない内部の傷(欠陥)があることがあります。これらの欠陥を見つける検査は時間がかかり、正確さにも課題がありました。2025年11月に開催されたユーザーカンファレンスで発表された「産業用X線CT解析ソフト『VGSTUDIO MAX』最新バージョン2025.3」は、iFデザイン賞を受賞した欠陥解析ツール「PIA」の強化版を統合しました。

この最新バージョンでは、AI(人工知能)が高精度で欠陥を検出し、金属や複合材料部品の内部にある傷を素早く特定できます。特に、全ての製品を検査する「全数検査」において、その能力が大きく貢献します。また、操作画面(UI)も新しくなり、より直感的に使えるようになりました。

ポロシティ/インクルージョン解析ソフトウェアのインターフェース

F1で実証された技術を、製造業の未来へ

2025年2月、HexagonはF1のレーシングチームであるOracle Red Bull Racingとの長年にわたる協力関係を、さらに数年間継続することを発表しました。これにより、F1という非常に厳しい環境で培われた先進的な測定技術が、その信頼性を証明し続けています。この協力関係は、より使いやすく、より正確な測定ソリューションの開発を加速させ、その成果は製造業向けのHexagon製品にも活かされています。F1で使われる技術が、最高の品質と性能の基準を満たすことで、Hexagonは世界の製造業に確かな信頼を提供しています。

レッドブルレーシングのメカニックがガレージ内でF1マシンを整備している

Hexagon代表取締役社長 池谷望氏からのメッセージ

濃い色のスーツと紫のネクタイを着用し、眼鏡をかけたアジア系の男性の胸から上のポートレート

Hexagon Manufacturing Intelligence株式会社の代表取締役社長である池谷望氏は、次のように述べています。

「日本市場参入50周年を迎えた今年も、私たちは常に新しい挑戦を続け、日本の製造業の競争力を高めることに貢献してきました。新しい製品や解決策を通じて、現場が抱える課題を解決できたことを誇りに思います。これから先の10年、50年、そしてその先の未来に向けても、Hexagonは最高の技術と専門知識を結集し、『品質』という大切な価値を通じて、すべての人々の生活を豊かにする未来を支え続けます。」

Hexagonは、これまでの50年間で培ってきた技術と信頼を土台に、人々の生活を豊かにする「品質」を追求し、さまざまな分野で革新的なソリューションを提供することで、より良い未来を創造していくことでしょう。

Hexagonの最新情報や技術に関する記事は、先進のテクノロジーメディア「Hexagon Tech Bee」でも紹介されています。

タイトルとURLをコピーしました