株式会社Y4.com(以下、Y4.com)は、自治体や保険者向けのPHR(個人健康記録)プラットフォーム「GENKIMIRU(ゲンキミル)」に、GPT技術をベースとした新しいヘルスケアAIエージェントの提供を開始しました。このAIエージェントは、国のガイドラインに沿って学習されており、住民の健康をサポートするとともに、行政業務の効率化を目指します。
深刻化する健康支援の課題に対応
現在、日本では特定保健指導の対象者が約1,400万人いる一方で、実際に指導を受けている人は約23%にとどまっています。また、保健師が担当する住民の数が増える傾向にあり、一人ひとりにきめ細かく対応することが難しくなっています。さらに、住民からは夜間や休日にも健康相談ができる窓口が求められています。
Y4.comの「GENKIMIRU」は、すでに60以上の自治体や保険者に導入されており、PHRのデータ基盤として実績を積んでいます。今回、このプラットフォームに最先端のAI技術を組み合わせることで、これまで人手では難しかった24時間365日の個別サポートを実現します。
GPTと国のガイドラインに準拠したAI技術
このヘルスケアAIエージェントは、以下の3つの技術的な強みを持っています。
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GPTベースの高度な対話能力
最新のGPT技術を使うことで、まるで人間と話しているかのような自然なコミュニケーションが可能です。従来のチャットボットでは難しかった、会話の流れを理解した個別の応答ができます。 -
国のガイドラインに準拠した学習済みモデル
特定保健指導プログラムや標準的な健診・保健指導プログラム、PHR活用ガイドラインなど、国の重要なガイドラインを学習しています。これにより、AIは医療行為に当たらない範囲で情報を提供し、診断や治療、処方に関する質問には回答せず、適切な医療機関への相談を促します。 -
3層アーキテクチャによる安全設計
住民からの相談を受け付ける「フロント層」、ガイドラインに沿った判断やPHRデータの整理を行う「アプリケーション層」、そして安全な範囲で回答を生成する「AI層」の3つの部分に分かれています。この構造により、AIが誤った情報を提供したり、意図しない動作をしたりするのを防ぎます。

4つの主要機能で健康管理をサポート
このAIエージェントは、住民の健康管理を助けるために、主に4つの機能を提供します。
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PHRデータ活用による自己認知支援
Apple WatchやFitbitなどのウェアラブルデバイスから得られる歩数、活動量、心拍数、睡眠時間、ストレスなどのデータをAIが分析します。例えば、「最近疲れやすいのですが、これまでのデータから原因がわかりますか?」といった質問に対して、単なる数値だけでなく、「この1週間の睡眠データをみると、平均睡眠時間が推奨される7時間を大きく下回っています。また、深い眠りの時間が通常より30%少なくなっています。睡眠の質の低下と疲労感の一因かもしれません。」のように、利用者が自分の健康状態を理解し、行動を変えるきっかけとなるような対話形式で回答します。 -
Vitalgain(バイタルゲイン)アプリ操作支援・FAQ即時対応
「GENKIMIRU」や「Vitalgain」アプリの操作方法について、まるで人に聞くように質問し、すぐに回答を得ることができます。データの登録方法や画面の見方など、よくある質問にも即座に対応します。 -
音声対話×3Dキャラクターによる高いエンゲージメント
テキストチャットだけでなく、音声での対話や、動きのある3Dキャラクターが対応します。目標を達成した際には褒め、達成できなかった場合でも責めずに励ますことで、利用者が「続けたくなる健康管理」をサポートします。 -
回答範囲の明確化による安全性確保
医療行為に当たる質問には回答せず、医療機関への受診を推奨することで、法律や規制を遵守します。AIが回答できるのは、データ参照、データ解釈、操作支援、一般知識に関する質問であり、診断、治療、処方に関する相談には対応しません。
柔軟なシステム設計と今後の展開
このAIエージェントは、「n8nワークフローエンジン」という仕組みを使って動きます。これにより、AIがシステムを直接操作することなく、人があらかじめ決めたルールに沿った処理だけを実行するため、安全性が保たれています。また、複数の自治体で共通して使える仕組みを作りつつ、それぞれの自治体の特別なルールには個別の設定で対応できるため、新しい自治体が導入する際の負担が少なくなります。
Y4.comは、今後も自治体や保険者の健康増進活動を支援し、住民一人ひとりがより健康的な生活を送れるよう、PHRプラットフォームの機能強化を進めていく方針です。
株式会社Y4.comについて、詳細は以下のウェブサイトをご覧ください。

