東京都、800億円超の大型ファンドでAIや先端技術スタートアップを強力支援

ビジネス活用

東京都の大型ファンドがAIやディープテック企業の成長を後押し

東京都は、未来を担うスタートアップを育てるため、「大学発スタートアップ等促進ファンド」を2024年2月に立ち上げました。このファンドは、大学で生まれた優れた研究成果や、AI(人工知能)をはじめとする最先端の技術(ディープテック)を持つ企業が、その技術を社会で役立てられるよう支援することが目的です。東京都は、このファンドに50億円を出資しています。

Team Tokyo Innovation for All the STARTUPsのロゴ

ファンドの仕組みと大きな規模

このファンドは、「ファンド・オブ・ファンズ」という特別な仕組みをとっています。これは、東京都が直接企業に投資するのではなく、様々な専門性を持つ「大学系VCファンド」という別の投資ファンドにお金を出資し、そのファンドがさらに大学発スタートアップやディープテック企業に投資を行うというものです。これにより、多くの専門家の知識とネットワークを活用し、幅広い分野の有望な企業を効果的に支援できると考えられています。

2025年11月末時点で、このファンドが出資する先のファンド全体の規模は、なんと800億円を超えています。今後も、大学発やディープテック分野のスタートアップを支援するファンドへの出資を続けることで、スタートアップのさらなる成長と、新しい技術を生み出す土壌を広げていくことを目指しています。

大学発スタートアップを支援するための資金の流れを示す図

注目すべき出資先ファンド

このファンドは、様々な特徴を持つ複数のファンドに出資しています(2025年11月末時点)。いくつか例を挙げると、以下のようなファンドがあります。

  • みやこ京大イノベーション3号 投資事業有限責任組合(みやこキャピタル):京都大学との連携を深め、地方の新しい技術の種を見つけ出し、世界に広がるスタートアップを支援しています。

  • VI-1号投資事業有限責任組合(ビジョンインキュベイト):金沢大学のグループが作ったファンドで、ライフサイエンス(生命科学)やIT(情報技術)、新素材など、特に深い技術を持つディープテック分野のスタートアップに力を入れています。

  • ONEカーボンニュートラル 1号投資事業有限責任組合(ONE Innovators):大学や企業、金融機関と協力し、地球温暖化対策につながるカーボンニュートラル分野のスタートアップを支援します。

  • GHOVC Fund I 投資事業有限責任組合(Global Hands-On VC):海外での起業経験がある専門家チームが、日本のディープテックスタートアップが海外に進出するのをサポートします。

  • Red 1号ヘルスケア投資事業有限責任組合(Red Capital):理学や生命医科学の博士号を持つ女性2人が立ち上げたファンドで、創薬や再生医療、デジタルヘルスケアなど、ヘルスケア分野のディープテックスタートアップに特化して投資しています。

革新的な技術を持つ投資先企業

これらのファンドを通じて、すでに多くのスタートアップ企業に投資が行われています(2025年11月末時点)。その中には、以下のようなユニークな技術を持つ企業が含まれます。

これらの企業は、それぞれの分野で新しい価値を生み出し、社会に貢献していくことが期待されています。

ファンドの全体像と東京都の未来戦略

この「大学発スタートアップ等促進ファンド投資事業有限責任組合」は、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)が運営しています。東京都の他に、東急不動産株式会社、国立大学法人東京大学、株式会社博報堂、三菱UFJ信託銀行株式会社など、様々な企業や団体が投資家としてこのファンドに参加しています。

この取り組みは、東京都が掲げる「2050東京戦略」の一部であり、「世界で活躍するスタートアップを育成する」という目標を推進するものです。東京都は、このファンドを通じて、日本の技術が世界で輝く未来を築いていこうとしています。

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