
生成AIの社会での活用を進めるPolimill株式会社が、行政向けの生成AI「QommonsAI(コモンズAI)」を支えるデータ処理技術の全体像を公開しました。
QommonsAIは、自治体向けの生成AIとして、多くの自治体に導入されています。現在、全国約600の自治体、約20万人の職員が利用しており、ほぼ毎日新たな自治体での導入が進んでいます。調査によると、他のサービスとセットになっていない単体のプロダクトでは、自治体向け生成AIとして導入シェアNo.1を獲得しているとのことです。
法律の検索がもっと正確に!「LawChunker」の力
法律の条文は、「第○条第○項ただし書き」のように、とても複雑な構造をしています。一般的なAIの検索方法では、この複雑な構造がバラバラになってしまい、AIが正しい情報をうまく見つけられないことがありました。
Qommons Research Labが開発した「LawChunker」は、この法律の複雑な構造を理解し、条文の長さに合わせて情報を区切る方法を自動で切り替える技術です。これにより、AIが参照すべき情報を最適な形で提供できるようになり、検索の正確さが92%に向上しました。これは、これまでの方法と比べて2.1倍も精度が上がったことになります。
大量の文書もスムーズに処理
行政には、非常に多くの文書があります。これらの文書をAIが使える形にする作業は、量が増えると時間もコストもかかりがちです。
QommonsAIは、たくさんの文書を同時に処理したり、使うコンピューターの資源を効率よく使ったりすることで、処理速度を2倍に速くしながらも、かかる費用を抑えることに成功しました。
古い紙文書や図表もAIが理解
昔の行政文書には、紙でスキャンされたものや、図表やグラフが含まれる資料がたくさんあります。これまでの技術では、これらの「意味」を正確に読み取るのが難しい場合がありました。
QommonsAIは、最新のマルチモーダルAIという技術を使って、「GenAIネイティブ解析」を実現しました。これにより、図表やグラフの意味を理解したり、文書の構造を完全に抽出したりできるようになり、古い文書からも必要な情報を引き出せるようになりました。
問題が起きてもすぐに解決!「可観測性」の設計
AIシステムを実際に動かすと、予期せぬ問題が起こることがあります。多くのAIプロジェクトでは、試作段階ではうまく動いても、実際に運用を始めるとトラブル対応に追われてしまうことがあります。
QommonsAIは、開発の最初から「可観測性(Observability)」という考え方を取り入れています。これにより、システム内で何が起きているかを常に把握し、もし問題が発生しても、原因を数時間かかっていたところを数分で特定できるようになりました。
全国どこからでも5秒で検索できる仕組み
「全国の自治体の文書を5秒以内に検索する」という目標を達成するためには、特別な技術が必要です。QommonsAIは、全国の議会の記録や行政文書を、8つの地域に分けて管理する独自の仕組みを構築しました。これにより、全国の何十万人もの行政職員が同時にアクセスしても、安定して素早く情報を見つけられるようになっています。
いろいろな文書形式にまとめて対応
行政文書には、PDF、Word、HTML、CSVなど、さまざまな形式があります。それぞれの形式に合わせて別々の対応をしていると、システムの管理が大変になってしまいます。
QommonsAIは、PDFやWord、HTMLなどの処理を共通の仕組みにまとめることで、システムのコードを20%削減し、管理の手間を大幅に減らしました。
庁内の秘密文書も安全に検索
庁内の文書を検索する際には、アクセス権限をしっかり管理することが非常に重要です。QommonsAIは、誰がどの情報を見られるかという権限を考慮しながら、安全に庁内文書を検索し、自動で回答を生成する機能を持っています。これにより、プライベートな情報も安心して扱えます。
日本国内で利用できる最先端のAIモデル
QommonsAIは、業務内容に合わせて、以下の最先端の生成AIモデルを選ぶことができます。
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GPT-5.2(標準モード/高推論モード)
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Claude 4.5系モデル(国内リージョン)
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Gemini 3 Pro
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純国産LLM「PLaMo 2.1 Prime」(国内リージョン)
特定のAIモデルに頼らず、用途やセキュリティの要件に合わせて最適なモデルを選べるのが特徴です。特にClaude 4.5系モデルは、すべてのデータ処理がAWSの国内リージョンで行われるため、日本国内でのデータ処理が保証されています。
なぜ無料で使えるのか?
QommonsAIは、各自治体で1,000アカウントまで、文字数の制限なく無料で利用できます。これは、600の自治体、20万人の職員が日常的に利用することで得られる「行政の専門知識」や「うまくいかなかった事例」「評価データ」が、QommonsAIの技術を日々進化させるための大切な情報源となっているからです。
QommonsAIは、日本の行政DX(デジタルトランスフォーメーション)を支える社会の基盤として、これからも新しい技術を生み出していくとのことです。
QommonsAIについてさらに詳しい情報はこちらからご覧いただけます。

