AIがアルツハイマー病診断をサポート!東京科学大学の研究で「BRAINEER Model A」の有用性が明らかに

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株式会社Splinkが開発した、脳の画像を解析するAIプログラム「BRAINEER Model A」が、アルツハイマー病の診断に役立つ可能性を示しました。東京科学大学(旧 東京医科歯科大学)の横山 幸太先生や山田 浩文先生らの研究グループが、「BRAINER Model A」を使った研究論文を、核医学の国際的な専門誌「Annals of Nuclear Medicine」に発表しました。

MRIがなくてもPET検査で診断できる可能性

この研究論文では、アルツハイマー病の診断に使われる「アミロイドPET検査」において、MRI(磁気共鳴画像装置)を使わずにPET検査の画像だけで解析を行う「PET単独解析(PET-only)」が、どれくらい役に立つのかを調べた結果が報告されています。

研究の具体的な内容

対象と方法

[18F]florbetapir PET/CT検査を受けた68名の患者さんを対象に、脳内のアミロイド沈着量を測る「Centiloid値(CL)」という数値を計算しました。計算方法は以下の3つを比較しました。

  1. MRI画像を使った標準的な方法
  2. CT画像を使った方法
  3. PET画像だけで解析する方法(「BRAINEER Model A」なども使用)

結果

研究の結果、次のようなことがわかりました。

  • 高い関連性: MRIを使った方法とPET単独解析の方法では、非常に高い関連性(相関係数 r=0.970)があることが確認されました。これは、PET単独解析でもMRIを使った場合とほとんど同じ結果が得られることを意味します。

  • CL値の傾向: PET単独解析で計算されたCL値は、MRIを使った方法よりもわずかに低くなる傾向が見られました(平均差は-2.1 ± 11.0)。

  • 診断への影響: アミロイド沈着が「明らかに陽性」(CL値が50以上)または「明らかに陰性」(CL値が5以下)と判断される患者さんの場合、MRIを使わずにPET単独解析を行っても、その判断結果に影響はありませんでした。

結論

この研究から、もしMRIの画像が手元にない場合でも、PET単独解析がアミロイドPET検査の定量的な評価(数値で詳しく調べること)において、実用的な方法になる可能性が示されました。ただし、アミロイド沈着が「陽性か陰性か微妙なケース」や、治療の効果を厳密に確認したい場合には、MRIの有無など、どの方法で解析したかに注意が必要です。

今後の展望

今回の研究によって、「BRAINEER Model A」のPET画像だけで解析する機能が、医療現場で役立つ可能性が見えてきました。MRIが利用できない場合でも、アミロイドPET検査でアルツハイマー病の程度を数値で評価できるようになることで、病気の早期発見や診断の流れをよりスムーズにすることに大きく貢献すると期待されます。

株式会社Splinkは、PET画像単独で画像を見るのを助ける技術についても特許を取得しています。これからも、大学や病院などと協力しながら、科学的な根拠に基づいた医療AIソリューションを開発し、社会に広めていく方針です。

「BRAINEER Model A」は、東京都健康長寿医療センター研究所 神経画像研究チームとの共同研究の成果をもとに開発され、2022年に医療機器としての国の承認を得ています。

株式会社Splinkについて

株式会社Splinkは、「すべての人につながりを、その日まで」という目標を掲げ、認知症をはじめとする「ブレインヘルスケア」(脳の健康管理)の分野で活動しています。認知症の早期発見から診断のサポートまで、さまざまな解決策を一つにまとめて提供しています。

主な製品は以下の通りです。

  • CQ test: 健康な方でも手軽に認知機能を測れるセルフチェックツール。

  • Brain Life Imaging: 脳のMRI画像をAIで解析し、記憶や学習に深く関わる「海馬」という部分の体積を測ってわかりやすいレポートで提供する、脳ドック向けのAIプログラム。

  • BRAINEER: 脳のMRI画像から脳の減少度合いを数値化し、診断に役立つ情報を提供する脳画像解析プログラム。

会社情報

  • 会社名: 株式会社Splink

  • 本社所在地: 東京都港区赤坂1-14-14 WAW赤坂第35興和ビル4階

  • 事業内容: ブレインヘルスケア事業、医療機器プログラム事業

  • 設立: 2017年1月

  • 代表取締役: 青山 裕紀

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