株式会社Definer、AIがビジネスコミュニケーションを監査・改善する新機能「SANUS AI」を提供開始

ビジネス活用

株式会社Definerは、特許技術を使い、Webツールの利用履歴を基に、最新の生成AI技術を取り入れた新機能「SANUS AI – AIマネージャー – コミュニケーション監査と改善提案機能」の提供を開始しました。

この新しい機能は、特許を取得した技術(特許第7603357号)を活用しており、従業員のクラウド活動履歴を一元的に集める日本初のSaaS「SANUS(上場監査クラウド)」に加わります。Google Workspace、Slack、Zoom、Salesforceといったツールの利用ログを自動で集めて見える化することで、これまでも従業員の働き方を客観的に把握し、監査するサービスを提供してきました。

SANUS(上場監査クラウド)のロゴと新芽

今回追加された「SANUS AI」は、AIによる高度な分析を組み合わせることで、メールやチャット(Gmail、Slack、Outlook、Teamsなど)のメッセージを自動で解析し、点数化します。これにより、単にログがあるかどうかだけでなく、メッセージの内容まで踏み込んだ「Context Audit(文脈監査)」が可能になります。

「AIマネージャー – コミュニケーション監査と改善提案」として、これまで目に見えなかった「組織のコミュニケーション能力」や「不正会計・ハラスメントのリスク」を数値で示し、会社がどれだけ良い組織か、という非財務情報の信頼性を高めます。さらに、点数化だけでなく、評価の理由や具体的な改善策を示したレポートが自動で作られるため、組織の課題を素早く正確に解決できるようになります。

サービス概要

「SANUS AI – AIマネージャー – コミュニケーション監査と改善提案機能」は、AIがメールやチャットのメッセージの「論理性」や「わかりやすさ」といったコミュニケーション能力を解析し、10段階で数値化するサービスです。AIマネージャーとして、コミュニケーションの監査と改善提案を行い、不正会計やハラスメントのリスクも数値で示します。

これにより、コミュニケーションの「論理性」や「効率性」を数値化して「人的資本経営」を進める(攻めの経営)ことと、不正会計やハラスメントのリスクを早く見つけてガバナンスを強化する(守りの経営)ことの両方を同時に実現し、上場企業や上場を目指す企業の価値向上をサポートします。

開発の背景

Definerは創業当初から完全にリモートワークを行ってきました。コロナ禍を経てリモートワークやクラウドツール、チャットツールが広まる一方で、組織内のコミュニケーションが「ブラックボックス化」している現状を強く感じています。

以前は、仕事はオフィスや社内のサーバーにあり、物理的に目に見える状態でした。しかし、今はSlack、Zoom、GitHub、Salesforceなど、さまざまなクラウドツールに情報が分散され、監査をする人や経営陣から実態が見えにくい「ブラックボックス化」が進んでいます。従来の対面での監視や抜き取り調査では、膨大なデータに埋もれた不正のリスクや、組織全体の生産性低下の原因を見つけるのが難しくなっています。

また、最近では上場企業に対し、ISO 30414などの国際基準によって、従業員のスキルや組織文化といった「人的資本経営」や「非財務情報」を投資家に客観的な数字で説明する責任が増しています。

参考:

これらの課題に対し、AIによる「すべてのデータを自動で監査する」ことと「コミュニケーション能力を点数化する」ことの両方を実現することで、攻め(組織の成長)と守り(会社のルールを守る)の両面から企業価値の向上を支援するために、「SANUS AI – AIマネージャー – コミュニケーション監査と改善提案機能」が開発されました。

「SANUS AI」の6つの特徴

1. コミュニケーション能力の多角的な数値化(AIスコアリング)

「SANUS AI」は、社内のメールやチャット(Gmail、Slack、Outlook、Teamsなど)のメッセージを自動で解析し、以下の9つの項目を数値化します。

  • コミュニケーション品質に関する内容

    • コミュニケーションの品質

    • コミュニケーションの効率性

    • 論理性

    • 明瞭さ

    • プロ意識

    • 簡潔さ

  • ハラスメント・不正会計に関する内容

    • ハラスメントリスク

    • 不正会計のリスク

    • テキストの長さ

これにより、これまで感覚的だった「コミュニケーションの生産性」を数字で把握できます。管理職は、どの部署やチームでコミュニケーションがうまくいっていないかをすぐに確認できます。また、コミュニケーション能力が高い社員の働き方を参考にすることで、社員全体のコミュニケーション能力向上にもつながります。

2. 文脈解析による「不正会計・ハラスメント」のリスク検知

単に「NGワード」を検知するだけでなく、GmailやSlack、Outlook、Teamsなどのメールやチャットの文脈から、リスクを判断します。例えば、以下のような内容の場合、不正会計リスクやハラスメントリスクの点数が高くなり、人事やコンプライアンス部門へ通知されます。

検知する内容の一例 状況 具体例
非公式なやりとり 公式なシステムやチャットツールではなく、個人のメールアドレスや他のメッセージアプリを使おうと提案する。 ・「この件はメールではなく、直接話したい」 ・「この話は社内システムではなく、個人のメールでやりとりしましょう」
不自然な期日や数字の言及 決算期末など特定の時期に、急に数字の変更を求める。 「決算日まで時間がありません。売上をあと○○円増やせるよう、至急対応してください」
責任転嫁や指示の回避 はっきりとした指示を避けつつ、結果として不正な処理を強要するような言葉。 「やり方は任せるが、目標達成は必須だ」
監査を意識した文言 監査法人や内部監査に指摘されないような方法を示唆する。 「監査で問題にならないよう、うまく処理してほしい」

この検知能力は、検証データを使ったテストで、全体の約97%を正しく判別することに成功しており、AIが「リスクあり」と判断した案件の適合率は99%を記録しています。これは、AIによる間違いが非常に少ないことを示しており、監査担当者はAIが通知した内容だけを確認すれば良いため、効率的で信頼性の高い運用が可能です。

3. 非財務情報の信頼性担保とレポート作成

「SANUS AI」の機能により、組織のコミュニケーション効率や会社のルールを守っている状況を数字で示すことで、上場審査や投資家向けの資料(IR)における情報の信頼性を高められます。人的資本情報として公開できるレポートを自動で作成することも可能です。

SANUS 活動ダッシュボード

一定の条件を満たした従業員の各コミュニケーションについて、「1.各指標が、なぜその評価になっているか」と「2.どのような改善案があるか、是正措置を行うべきか」という2つのレポートも自動で出力されます。これにより、質が高く、上場企業にふさわしいコミュニケーションを効果的に実現できます。

4. プライバシー(個人情報)の保護

「SANUS AI」は、従業員が使っているコミュニケーションツール(Gmail、Slack、Outlook、Teamsなど)のデータを、AI分析の過程でのみ一時的に自動で取得します。SANUSのデータベースには、メールやチャットの中身を保存せず、AI分析が終わった後はデータを削除しています。また、AI分析の過程で取得したデータはAIの学習には使っていません。

さらに、すべてのデータを人間が監査するのではなく、AIがリスクの高い部分を抽出し、リスクが高いものについては評価の理由や改善策をレポートにして管理者に提示します。これにより、従業員のプライバシーをしっかりと守りながら、高いセキュリティレベルでのガバナンスを実現します。

5. 特許取得技術および国際セキュリティ規格(ISMS)への準拠

「SANUS」は、独自の技術とデザインで知的財産権(特許・意匠・商標)を取得しており、国際的なセキュリティ基準に沿った運用を行っています。

SANUSの作業履歴画面

  • 特許取得技術による死角の排除: 他社の特許にはない「ユーザー情報に紐づいたウェブツールの操作履歴取得」という独自の技術で特許を取得しました(特許第7603357号)。これにより、これまで難しかった「誰が、いつ、どのツールで」という詳細な行動履歴が見える化され、セキュリティの死角をなくします。

  • 意匠登録済みのUIデザイン: 監査ログの表示画面において、単なるデータの羅列ではなく「業務の流れが見える化」を助けるデザインが独自性として認められ、意匠登録されています。膨大なログから直感的に状況を把握できる使いやすさを提供します。

  • 国際規格「ISMS」認証の取得: 情報セキュリティ管理体制をより強固にするため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である「ISO/IEC 27001:2022」の認証を2025年10月24日付で取得しました。国際基準にのっとった厳格なセキュリティ管理のもと、サービスを提供していきます。

6. 従業員の職種、企業のビジョン、ミッションに配慮したレポート提案の実施

「SANUS AI」の機能は、一般的なコミュニケーション品質、ハラスメントリスク、不正会計リスクだけでなく、以下の3つの視点から高度なAI分析と提案を行います。

  1. 企業ビジョン・ミッションとの整合性チェック: 従業員の発信が会社の掲げる理念(ビジョン・ミッション)に合っているかをAIが分析します。単なる業務連絡にとどまらず、会社のブランドを体現するコミュニケーションを促します。
  2. 職種別(ロール)の最適化提案: 営業、エンジニア、カスタマーサポートなど、職種ごとに求められる最適な言葉遣いやマナーをAIが理解し、役割に合ったアドバイスを行います。
  3. すぐに使える「リライト案」の自動生成: メールやチャットの文章の改善点を指摘するだけでなく、「どう書き直せばよいか」という具体的な修正案(リライト)を自動で作ります。これにより、より効率的で生産性の高いコミュニケーションが取れるようになります。

例えば、ITの営業職の方に向けて、会社のビジョンやミッション、仕事内容に合ったコミュニケーションを提案し、改善策と合わせて、メールやチャットのリライト案も自動で生成します。

今後の展望

Definerはこれまで、上場企業や上場準備中の企業向けに、監査業務を効率化する「SANUS(上場監査クラウド)」を提供してきました。

今回新たに提供を開始する「SANUS AI – AIマネージャー – コミュニケーション監査と改善提案機能」は、従来の監査ログに加えて、日々のコミュニケーションデータという「定性情報」(数値では表しにくい情報)の解析を可能にし、非財務情報の信頼性を高める「構造化データ」(整理されたデータ)の出力を目指しています。

このサービスを通じて、導入企業が「高い透明性と生産性を誇り、人材が健康で、長く活躍できる組織」を実現できるよう、支援を強化していくとのことです。Definerは、ITの力で企業の「透明性」と「組織力」を見える化し、改善提案することで、内部統制の高度化と非財務情報の信頼性確保を実現し、公正で持続可能な企業社会の構築に貢献していきます。

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