フィジカルAIスタートアップZREK、NC旋盤の自動化ソリューションを稼働開始

フィジカルAIを開発する株式会社Zrek（ゼレック）は、NC旋盤などの工作機械における部品（ワーク）の供給や取り出し作業を自動化するロボットソリューションの1号機を、株式会社大矢製作所に導入し、実証稼働を始めました。

NC旋盤とは？

NC旋盤とは、コンピューターで動きを制御する（Numerical Control）旋盤のことで、金属などを削って形を整える工作機械の一種です。この機械に加工する前の部品を供給し、加工後の部品を取り出す作業は、これまで人の手で行われることが多く、製造現場での負担となっていました。

製造現場の課題をAIで解決

従来の工作機械の自動化では、部品の位置ズレや品番の切り替え、途中の補充・抜き取りといった現場で起こる様々な変化に対応しにくいという課題がありました。そのため、専用の装置を使って条件を固定することが一般的で、柔軟な対応が難しいとされていました。

ZREKのソリューションは、AIと協働ロボットを組み合わせることで、こうした現場の変動に強く、より導入しやすい自動化を目指しています。

ソリューションの3つの特徴

1. 現場の変化に強い「ワーク脱着の柔軟運用」

カメラと超軽量AI（エッジAI）を組み合わせることで、部品の位置が少しずれても、途中で部品を補充したり抜き取ったりしても、ロボットが状況に合わせて対応できます。また、加工する部品が変わる際も、ロボットが部品をつかむ動作や機械にセットする動作を自動で調整するため、準備にかかる手間を減らすことができます。

2. 工作機械と連携する「統合制御でのタクト短縮」

工作機械の扉の開閉や部品を固定するチャックの操作、エアブロー（空気でゴミを飛ばす作業）といった機械の動きと、ロボットの動作をまとめてコントロールします。これにより、作業にかかる時間（タクトタイム）を短くし、安定して機械を動かすことに貢献します。工作機械とロボットを連携させるためのインターフェースも開発されています。

3. 省スペースで後付け可能な「協働ロボット自動化セル」

協働ロボットの動く範囲に合わせて、コンパクトな架台や配置を設計しているため、既存の設備にも組み込みやすい省スペース設計です。必要な時に持ち込んで使えるような運用も想定されています。

実証パートナー：株式会社大矢製作所

今回のソリューションは、量産加工だけでなく、摩擦圧接やへら絞りなどの独自の技術を活かした自社商品事業にも取り組む株式会社大矢製作所に導入されました。

ZREKは、この実証を通じて、現場の時間的・心理的な負担を減らし、製造現場がより価値の高い仕事に集中できる環境づくりを目指しています。

今後の展開

ZREKは、今回の実証で得られる知識をもとに、現場に導入するために必要な機能や運用方法をさらに改善していく予定です。今後は、クラウド上の高性能なコンピューター（クラウドGPU）と連携させることで、AIモデルの更新や新しい部品への対応、条件変更への対応をより柔軟に行える仕組みを整えていきます。

また、商社や設備メーカー、システムインテグレーター（SIer）といったパートナー企業との協力も強化し、工作機械の現場への導入をさらに加速させていく方針です。

ZREKについて

ZREKは、2021年4月に設立されたフィジカルAIを専門とするスタートアップ企業です。

求人情報

ZREKでは、デザイナーやエンジニアなど、様々な専門人材を募集しています。正社員、副業、長期インターンシップ、業務委託といった多様な働き方に対応しており、シニア層やエキスパート層の参加も歓迎しています。技術的なリーダーシップやアドバイザリーとしての関与など、柔軟な働き方が可能です。

具体的な募集職種や歓迎要件は以下の通りです。

• ハードウェアのプロダクトデザイナー

• AI／ロボティクスエンジニア（強化学習／模倣学習／ROS 2）

• 協働ロボットのシステムインテグレーション経験者

• LLM／VLM／VLA を用いた開発経験者

• NVIDIA Isaac Sim／Lab／Omniverse／GR00T などの実装・運用経験者

• ヒューマノイドロボットや LeRobot に関する開発経験者

• FA 機器・ロボットの設計・製造・販売に携わった経験者

技術開発と社会実装の両方に興味を持ち、ZREKの目指すビジョンに共感できる方は、公式HPまたは下記より問い合わせが可能です。

• E-mail：jobs@zrek.org

• お問い合わせフォーム：https://www.zrek.org/contact