Hyundai Motor Group、人間とAIロボットが協働する未来「AIロボティクス戦略」をCES 2026で発表

AI

Hyundai Motor Groupは、米国ラスベガスで開催された「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー 2026(CES 2026)」にて、人間中心のAIロボティクス戦略を発表しました。

Partnering Human Progress Boston Dynamics

人と協働ロボットのパートナーシップ:人間中心のAIロボティクス時代を切り拓く

Hyundai Motor Groupは、Boston Dynamicsとの協業を通じて、ロボットを産業現場に導入し、安全性や効率の向上を実現しています。Boston Dynamicsの四足歩行ロボット「Spot」は40カ国以上でデータ収集や安全監視に活用され、倉庫向けロボット「Stretch®」は2023年の導入以来、2,000万箱以上の荷下ろし作業を行い、倉庫の自動化を進めています。

この取り組みの最新の成果として、CES 2026でヒューマノイドロボット「Atlas」が発表されました。Atlasは、既存の施設や作業環境に溶け込み、ビジネスの変化に柔軟に対応できるよう設計されています。高度な回転関節やセンサーを搭載し、複雑な産業環境での移動や反復作業が可能です。AIによる学習機能も備え、新しい役割にも迅速に適応します。

Atlasの製品モデルは、56の自由度(関節の動く方向が56箇所)を持ち、人間サイズの触覚センサー付きハンドを備えることで、最大約50kgの持ち上げや高精度な作業が可能です。部品のシーケンシング、組み立て、機械操作補助など、幅広い用途に対応しながら、人と共有する作業空間での安全性と協調性を最優先としています。

Atlasの主な特長は以下の通りです。

  • タスク学習の容易さ: 多くの作業を1日以内に学習可能で、導入までの期間を短縮します。

  • 自律性と自己完結性: 導入初日から自律稼働し、自動バッテリー交換などにより連続稼働が可能です。

  • 高いパワーと精度: 約50kgの持ち上げが可能で、高精度な作業にも対応します。

  • 高い耐久性と耐環境性: 防水設計で洗浄にも対応し、マイナス20度から40度までの環境でフル性能を発揮します。

Hyundai Motor Groupは、Atlasの製品モデルを量産し、米ジョージア州サバンナの「Hyundai Motor Group Metaplant America(HMGMA)」をはじめとするグローバル拠点に段階的に導入する計画です。2028年からは部品シーケンシング、2030年までには部品組み立て工程へと用途を広げ、工場従業員にとってより安全な作業環境の実現を目指します。

このパートナーシップは、人が主導権を持ちながらロボットと協働する「人間中心の自動化」というビジョンを体現するものです。ロボットが重労働や高リスク作業を担い、人はロボットのトレーニングや監督といった高付加価値な役割に注力することで、それぞれの強みを最大限に引き出します。

グループ・バリューネットワークとBoston Dynamicsのパートナーシップ:AIロボティクスの商用化を主導

Hyundai Motor Groupは、グループ全体の能力を結集した「グループ・バリューネットワーク」を構築し、AIロボティクス戦略を推進しています。このネットワークは、AIロボティクスの機能強化、量産化の加速、サービス領域の拡大を実現する基盤となります。

ロボット能力の加速:データ主導型製造拠点の活用

  • Software-Defined Factory(SDF): データとソフトウェアを基盤としたスマートファクトリーで、製造プロセスの柔軟性と俊敏性を高めます。ロボットはSDFから得られる膨大な生産データを分析し、継続的に学習・更新されます。

  • Robot Metaplant Applicaton Center(RMAC): AIロボティクス事業の中心となる施設で、ロボットが人との協働を学習するための高精度なトレーニングを行います。RMACは2026年に米国で開設予定です。

また、グローバルなテクノロジーリーダーとの戦略的パートナーシップも推進しています。NVIDIAとは昨年1月から協業関係を強化しており、AIインフラやシミュレーションライブラリを活用し、イノベーションを加速させています。最近では、韓国科学技術情報通信部、Hyundai Motor Group、NVIDIAの三者間で、韓国のフィジカルAI能力強化に向けた覚書(MoU)が締結されました。

AIロボティクスの商用化加速:製造ノウハウとインフラの活用

グループ内の各社が連携し、自動車分野で培った量産ノウハウと製造能力をAIロボティクスに応用します。

  • Hyundai Motor CompanyおよびKia Corporation: 製造インフラ、工程管理、大規模な生産データを提供します。

  • Hyundai Mobis Company: Boston Dynamicsと連携し、高性能アクチュエーターの開発とグローバルなロボティクス部品市場への参入を進めます。

  • Hyundai Glovis Company: 物流およびサプライチェーンマネジメントを最適化し、製品の効率的で安定した供給体制を確立します。

Hyundai Motor Groupは、2028年までに年間3万台のロボットを製造可能な生産体制の確立を目指しています。

投資拡大と新産業への展開による:統合型カスタマーマネジメントサービスの拡充

導入後も含めたシームレスな顧客体験の提供

ロボット導入後も、無線でのソフトウェア更新(OTA)や、ハードウェアの保守・修理・オーバーホール(MRO)サービス、リモート監視・制御体制を通じて、継続的なサポートを提供します。これにより、ロボットの信頼性を長期的に維持し、リアルタイムの運用データを活用して性能を向上させます。

ワンストップ型RaaSと事業拡大計画

「Robotics-as-a-Service(RaaS)」モデルは、ロボットを単なる製品販売ではなく、柔軟で継続的なサービスとして提供します。このサブスクリプション形式は、初期投資の負担を軽減し、顧客のキャッシュフロー改善と迅速な投資対効果(ROI)に貢献します。RaaSモデルはすでに、DHL、Nestlé、Maerskなどのグローバルパートナーとの協業で導入され、その汎用性が実証されています。

Atlasの段階的な展開戦略により、早期商用化と稼働率の最大化を図り、自動車分野だけでなく、他の製造業分野への適用も拡大する方針です。

韓国における大規模投資計画

Hyundai Motor Groupは、2026年から5年間で韓国に125兆2000億ウォンを投資する計画を発表しました。この投資は、AI技術を活用したロボティクスの高度化を中核とし、将来の成長エンジン確保と、韓国における革新的なロボティクス・エコシステムの育成を目的としています。

米国への投資計画

さらに、2025年から4年間で米国に260億米ドルを投資する計画も発表しています。これにより、ロボティクス、AI、自動運転などの先端分野で米国の主要企業との協業を拡大し、年間3万台の生産能力を持つ新たなロボティクス拠点を設立する予定です。

これらの投資を通じて、韓国と米国の経済協力を深め、両国における経済成長と新たなビジネス機会の創出を目指します。

AI分野のリーダーとのパートナーシップ:AIロボティクス・イノベーションの新章を切り拓く

Hyundai Motor Groupは、グループ・バリューネットワークの枠を超え、Boston Dynamicsが次世代ヒューマノイドロボットの技術開発を加速するため、Google DeepMindとの戦略的パートナーシップを発表しました。

この協業では、Boston Dynamicsのロボティクス技術と、Google DeepMindの最先端ロボットAI基盤モデルが融合されます。Google DeepMindは、大規模マルチモーダル生成AIモデル「Gemini(ジェミニ)」を基盤とする「Gemini Robotics」など、ロボット向けAI基盤モデルの開発を進めており、これによりロボットは認識、推論、ツール操作、人との対話が可能になります。

両社は、高付加価値なタスクを担う複雑なロボット制御向けAIモデルの研究を加速し、ロボットの安全かつ効率的な社会実装と大規模展開を推進することを目指します。AIロボティクスは、日常生活に自然に溶け込み、新たな価値を創造し、人間の体験をより豊かなものへと進化させていくことが期待されます。

タイトルとURLをコピーしました