
米国のAI企業であるテトラサイエンスは、マット・スタドニー氏を最高顧客責任者(Chief Customer Officer)に任命したことを発表しました。この人事は、製薬業界が「プラットフォーム型Scientific AI」という、より進んだAIの活用方法へと変化していることを示しています。
マット・スタドニー氏の経験と役割
スタドニー氏は、世界有数の大手製薬企業であるメルクで24年間勤務し、科学、データ、ITの分野で20年以上の経験を持つベテランリーダーです。直近では、メルクで研究開発ITの上級副社長を務め、研究や開発のシステムを最新のものにしたり、データやクラウド、AIの活用を広げたりすることに取り組んできました。これにより、科学的な判断がより速く正確になり、実験結果の再現性が高まるなど、約1万8千人もの科学者や研究者の活動を支える環境を改善してきました。
製薬業界の大きな変化
スタドニー氏がメルクでの長いキャリアを経てテトラサイエンスに加わったことは、バイオ医薬品(生物由来の薬)業界にとって重要な転換点と言えます。科学の研究が複雑になり、AIが競争力を高める上で欠かせない存在になる中で、これまでの個別のプロジェクトごとにAIを使うやり方では限界が見えてきました。
そこで、探索研究(新しい薬の候補を探す段階)から開発、そして製造まで、すべての段階で得られた学びを積み重ねていける「プラットフォーム型」の科学データとAIの活用方法が、業界全体で求められるようになっています。
テトラサイエンスの共同創業者兼CEOであるパトリック・グレイディ氏は、「スタドニー氏は、科学データとAIが現場でどのように機能し、どのような課題があるかを深く理解しています。彼の参画は、業界の焦点が、それぞれの企業が独自に進めるAI活用から、科学的な知見を持続的に増やせるように設計された共有プラットフォームへと移っていることを示しています」と述べています。
メルクでの実績と今後の展望
メルク在籍中、スタドニー氏はAWSやAccentureといった大手企業との戦略的な協力関係を築き、研究、臨床、製造の技術基盤を最新化するプロジェクトを主導しました。その結果、探索研究にかかる時間を33%短縮し、規制当局への申請を最大4週間早めることに成功しました。また、最適化プログラムを開始して最初の6か月で、1億ドル以上のコスト削減も実現しています。
スタドニー氏は、「AIの時代には、真の変革のためには、これまでとは全く異なる新しいシステムの基盤が必要です。バラバラになったデータや個別に作られたシステムの上では、科学的な知見を広く活用することはできません。テトラサイエンスは、科学データを産業レベルで扱える形に変え、組織全体で学びを蓄積し、発展させるためのプラットフォームを構築しています」とコメントしています。
テトラサイエンスは、バイオ医薬品企業が個別のシステム改善から、共有された科学データとAIのプラットフォームへと移行できるよう、組織や運用の変化をサポートしていきます。最高顧客責任者としてのスタドニー氏の役割は、テトラサイエンスの「Sciborg(サイボーグ)」モデルを通じて、プラットフォームの仕組みが探索研究、開発、製造の各分野にしっかりと根付き、科学的な価値の向上、業務の効率化、そして経済的な成果につながるようにすることです。
テトラサイエンスについて
テトラサイエンスは、科学的な知見のためのオペレーティングシステム「Tetra OS」を開発する、科学データとAIの企業です。「Tetra OS」は、AIを前提としたプラットフォームで、これまでバラバラだった科学データや作業の流れを、統一された再利用可能な形に変換します。これにより、探索研究、開発、製造の全段階で継続的に知見を蓄積できる基盤を提供します。テトラサイエンスは、NVIDIA、Databricks、Snowflake、Google、Microsoftなどのパートナー企業とともに、主要なバイオ医薬品企業から信頼を得ています。
詳細については、以下のテトラサイエンスのウェブサイトをご覧ください。

