国立大学法人岡山大学は、学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)の大槻純也准教授、学術研究院医歯薬学域の加来田博貴准教授に「研究教授」の称号を、学術研究院医療開発領域の諏澤憲助教に「研究准教授」の称号を付与しました。2025年10月31日には称号付与式が開催され、那須保友学長から認定証が手渡され、各研究内容の紹介が行われました。


物質の「非対称性」から新しい機能を探る:大槻研究教授
大槻純也研究教授は、物質の中にある「非対称性(アシンメトリ)」という特徴に注目し、これまでにない機能を持つ新しい物質を理論的に見つけ出す研究を進めています。
物質の結晶の中にある電子は、通常、規則正しい「対称性」を持っています。しかし、この対称性が崩れると、磁石の性質や電気を非常に効率よく流す超電導など、便利な機能が現れることがあります。
大槻研究教授は、この(非)対称性を詳しく表す「拡張多極子」という新しい考え方の基礎を作り、それを使って計算する方法を確立することを目指しています。この研究が進むことで、将来、磁石や超電導の材料をコンピューター上で設計できるようになり、私たちの生活を支える新しいテクノロジーの開発につながると期待されています。

詳細情報はこちら:岡山大学 異分野基礎科学研究所 Jeschke・大槻研究室
がんと糖尿病、炎症の関係を解き明かす:加来田研究教授
加来田博貴研究教授は、がんの予防や悪化を防ぐことを目標に、がんと深く関わりのある「糖尿病」や「炎症」に注目した研究を行っています。特に、「レチノイドX受容体(RXR)」という細胞の中にあるタンパク質をターゲットにした新しい薬の候補(新規化合物)を作り出しています。
研究の中で、加来田研究教授は、細胞を傷つけずにRXRの動きをリアルタイムで観察できる新しい技術を開発しました。この技術は、新しい薬の開発や病気の原因を探る研究に役立つと考えられています。また、科学的な根拠に基づいてAI(人工知能)モデルを創薬(新しい薬を作る研究)に活用する試みも進められています。
これらの研究は、「糖尿病」や「がん」だけでなく、クローン病のような難病、さらにはアルツハイマー病の治療にも応用できる可能性を秘めていると期待されています。

詳細情報はこちら:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 合成医薬品開発学分野
がん治療の効果をさらに高める:諏澤研究准教授
諏澤憲研究准教授は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)という薬を使ったがん治療を、より効果的にするための研究に取り組んでいます。ICIは、がん細胞と戦う免疫の力を助ける薬で、最近多くのがん治療で使われるようになりました。特に、手術の前後にICIを使う「周術期治療」は、がんが治る可能性を高めると期待されています。
しかし、ICIはすべての人に同じように効くわけではありません。そこで諏澤研究准教授らは、ICIの効果が長く続く人や、がんが完全に治る人に共通する特徴を詳しく調べ、治療の効果を予測できる「バイオマーカー」(病気の状態を示す目印)を見つけ出すことを目指しています。さらに、がん細胞だけを狙って攻撃する免疫細胞「腫瘍特異的T細胞」の働きを活発にする新しい治療法の開発も目指しており、周術期ICI治療の成功率を高め、より多くの患者さんを救うことにつながると期待されています。

詳細情報はこちら:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器・乳腺内分泌外科(第二外科)
岡山大学の「研究教授・研究准教授制度」とは
岡山大学は、研究力を高め、若い研究者を育てるために、優れた業績を持つ研究者を大学全体でサポートしています。その一つが「研究教授」制度で、2018年度から実施されています。これは、准教授が独立した研究リーダー(PI:Principal Investigator)として活躍できるように、「研究教授」の称号を与えるとともに、研究費の配分や研究活動の充実といった支援を行うものです。
また、2020年4月からは、講師や助教を対象とした「研究准教授」制度も導入され、若い世代の研究者も積極的に支援されています。

この制度について詳しくはこちら:岡山大学 研究教授・研究准教授制度
まとめ
岡山大学は、地域や世界の未来に貢献する「地域中核・特色ある研究大学」として、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも力を入れています。今回称号を付与された研究者をはじめ、若手研究者たちのさらなる活躍に期待が寄せられています。

関連リンク

