AI同士が会話して最適なチームを自動編成!日立が「会話ベースAIオーケストレーション技術」を開発

ビジネス活用

AIモデルが「会話」して「チーム」を作る? 日立の新技術

近年、AI(人工知能)は私たちの生活やビジネスの様々な場面で活用されています。しかし、社会の複雑な課題を解決するためには、一つの巨大なAIだけでは対応が難しいことがあります。

そこで注目されているのが、複数のAIモデルが協力し合って一つの目標を達成する「マルチエージェントシステム」という考え方です。まるで人間がチームを組んで仕事をするように、AIたちもそれぞれの得意分野を活かして協力し合うことで、より高度な課題解決を目指します。

しかし、どのAIモデルとどのAIモデルを組み合わせれば一番良いチームになるのかを見つけるのは、これまではとても難しいことでした。特に、中身が見えない「ブラックボックスAI」と呼ばれる種類のAIでは、その特性を事前に知ることができず、最適なチームを作るには専門家による多くの試行錯誤が必要でした。

「会話ベースAIオーケストレーション技術」とは

日立が開発した「会話ベースAIオーケストレーション技術」は、この難しい課題を解決する画期的な技術です。この技術の大きな特徴は、AIモデルたちが人間のように「会話」をすることで、お互いの「相性」を自動的に見つけ出す点にあります。

AIモデル同士の「会話」で相性を判断

この技術では、AIモデル同士が特定のテーマについて話し合い、その会話の内容がどれだけスムーズに、そして意味が通じるように進んでいるかを分析します。例えるなら、人間がお互いの意見を交わし、理解を深めていくプロセスに似ています。

具体的には、会話の「噛み合い方」から、AIモデルたちの「協調性」や「専門性」といった関係性を数値化し、それを「言語モデルグラフ」という形でわかりやすく表現します。このグラフを分析することで、どのAIモデル同士が相性が良く、協力して高いパフォーマンスを発揮できるかを自動的に選び出すことができるのです。

AIモデル群が会話・議論を通じて、モデル間の関係性をグラフ化し、協調性や専門性の高いハイパフォーマンスなAIチームを自動編成する3フェーズのプロセスを示す図

この方法は、AIモデルの内部の仕組みを知らなくても、AIモデルが「どんな答えを出したか」という結果だけを見て判断できるため、これまで組み合わせが難しかったAIモデルも含めて、幅広い選択肢の中から最適なチームを編成できます。

ブラックボックスAIも公平に評価

多くの商用AIモデルは、その内部構造が公開されていない「ブラックボックスAI」です。これまでは、このようなAIモデルの特性を事前に把握してチームを編成するのは非常に困難でした。しかし、この新技術はAIモデルの「会話(出力結果)」だけに基づいてチーム編成を行うため、内部構造や性能評価データが一切不要です。

これにより、特定の会社やクラウドサービスに縛られることなく、様々なAIモデルを公平に評価し、柔軟に組み合わせることが可能になります。たとえ利用できるAIモデルが限られていても、現場の課題に合った最適なAIチームの編成を提案できます。

どんな効果が期待できるの?

日立が行った実験では、数学や医療に特化したAIモデルと、汎用的なAIモデルを混ぜてチームを編成したところ、この技術によって自動的に選ばれたチームは、ランダムに選ばれたチームよりも最大で13%も高い正答率を記録しました。これは、専門家が時間をかけてAIモデルの特性を調べて編成したチームとほぼ同じくらいの性能です。

この結果は、AIモデルが「会話」を通じて自身の特性を表現し、それに基づいて最適なチームが自動編成されるこの技術の有効性を示しています。鉄道やエネルギーといった社会を支えるインフラ分野から、製造業、医療まで、それぞれの現場で求められる専門的な知識や判断が必要な複雑な課題に対して、より迅速で質の高い意思決定や業務の効率化が期待されます。

今後の展望

日立は、この「会話ベースAIオーケストレーション技術」を社内外に広げていく予定です。そして、日立のソリューション群である「HMAX」と連携させながら、IT(情報技術)とOT(制御技術)、そして製品を組み合わせることで、社会インフラのさらなる進化と、それぞれの現場での価値を最大限に引き出すことを目指しています。

この技術は、2026年1月20日~27日に開催される人工知能分野の国際会議「The 40th Annual AAAI Conference on Artificial Intelligence (AAAI-26)」のワークショップで発表される予定です。

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