ZenmuTechが拓くデータセキュリティの未来:秘密計算「QueryAhead」とエンジニア瀧本氏の挑戦

ビジネス活用

データは私たちの生活やビジネスにおいて、ますます重要な役割を担っています。しかし、そのデータを安全に守りながら活用することは、常に大きな課題でした。そんな中、ZenmuTechは「データを保護する」という従来の考え方を超え、「守らないセキュリティ」という新しい概念でデータ活用の未来を切り拓いています。

男性がプレゼンテーションをしている様子

「守らないセキュリティ」とは?

ZenmuTechが提案する「守らないセキュリティ」の核となるのは、「秘密分散技術」というものです。これは、大切なデータを意味のない形にバラバラに分割し、それぞれを複数の場所に分けて保存する技術です。

例えば、秘密分散技術を使えば、データの一部がもし盗まれてしまっても、そのかけらだけでは元のデータが何だったのか全く分かりません。従来の暗号化技術は「鍵が解かれると全て漏洩する」という弱点がありましたが、秘密分散技術は「どこかに持っていかれても一切漏洩しない」という画期的な安全性を実現します。

そして、ZenmuTechが特に力を入れているのが「秘密計算」です。これは、データを暗号化したり秘密にしたまま、そのデータを分析したり計算したりできる技術です。個人情報などの非常にデリケートな情報も、内容を明かすことなく安全に処理できるため、情報漏洩のリスクをゼロにした上でのデータ活用が可能になります。

この最先端技術を研究開発しているのが、エンジニアの瀧本篤志氏です。瀧本氏は、お客様との仕様検討から、実際にコードを書いて機能を追加する開発まで、事業創出の初期段階から幅広く関わっています。

世界へ広がる秘密計算プラットフォーム「QueryAhead®」

ZenmuTechの秘密計算プラットフォーム「QueryAhead®」は、秘密にしたデータを一切元に戻すことなく計算処理を実行できる画期的なソリューションです。これにより、クラウドや社内サーバーなど、どんな環境でも安全にデータをやり取りし、加工・分析できるようになります。これまで活用が難しかった機密データも、積極的に使えるようになるのです。

特に、AIや機械学習を使ったデータ活用が進む北米市場では、プライバシーを守る技術(PETs)への期待が高まっており、秘密計算技術の具体的な活用シーンが生まれています。

ZenmuTechは2022年にサンノゼに拠点を設け、北米での事業拡大に積極的に取り組んでいます。その成果として、2025年10月27日から29日に米国サンフランシスコで開催された「TechCrunch Disrupt 2025」に、「QueryAhead®」を出展しました。これは、2022年の初出展から数えて4年連続の出展となり、同社の技術力とグローバル展開への意欲を示しています。

データ分析の未来を変える秘密計算

近年、データ分析の需要が高まるにつれて、専門企業に自社のデータ分析を依頼する機会が増えました。しかし、企業の機密データは外部に持ち出すことが禁止されているなど、厳しいセキュリティ上の制約があることがほとんどです。

もし、秘密計算技術を使えば、外部のクラウドサービスにデータを置いても、その内容を秘密にしたまま加工・分析ができます。これにより、データの外部での復元ポイントをなくし、安全にデータを持ち出して活用できるようになるため、分析作業の大幅な効率アップが期待されます。

「QueryAhead®」は、Pythonとデータ操作の基本的な知識があれば、誰でもすぐに使い始められます。秘密計算は高度な暗号技術ですが、専門的な暗号の知識は不要です。その複雑な処理は全て「QueryAhead®」が裏側で自動的に行ってくれます。

日本のサイバー防衛を牽引するZenmuTech

ZenmuTechは、日本のサイバー防衛力の強化にも貢献しています。2025年12月9日に設立された「日本サイバーセキュリティ産業振興コミュニティ(NCPC)」に、一般会員として参加しています。このコミュニティでは、官民が協力し、サイバーセキュリティに関する知識や技術を共有することで、日本のサイバー防衛力と産業競争力の向上を目指しています。

ZenmuTechは、自社で開発した国産の秘密分散技術「ZENMU-AONT」を軸に、国内のセキュリティ関連企業との連携を深めています。

数学への情熱から生まれた「人の役に立つもの」

瀧本氏のキャリアは、常に数学を活かせる場所で進化してきました。幼い頃から自然科学や数学に興味を持ち、大学では数学を専攻。その後、データサイエンティストとしてキャリアをスタートし、金融機関で数理モデル開発に携わりました。

「純粋に楽しいからやっていた」数学が、「お客様の役に立つものを作りたい」という思いに変わったのは、ZenmuTechに入社し、「QueryAhead®」の開発に携わった経験からでした。当初、「QueryAhead®」はデータベースのSQLクエリを前提としていましたが、機械学習でよく使われる行列演算には不向きでした。そこで瀧本氏は、NumPy(ナムパイ)というデータ処理ライブラリに似た独自のフレームワークを自ら作り、実装しました。

この工夫が後にお客様から「欲しかったものだった」と高く評価され、瀧本氏の仕事への大きなやりがいとなりました。

未来のセキュリティを創造する瀧本氏の挑戦

瀧本氏が目指すのは、ZenmuTechがセキュリティ企業として、研究開発の分野で業界をリードする存在になることです。製品の安全性を最終的に保証するためには、外部機関に頼るだけでなく、自社でその安全性を数学的に証明できる能力が不可欠だと考えています。

この目標を達成するため、瀧本氏は会社の業務の一環として、大学院の博士課程に進学し、最先端の量子情報理論を研究しています。これは、理論と実践を結びつけ、未来のセキュリティ基盤を構築するための重要な挑戦です。

瀧本氏は、他社の技術者や研究者との交流から、新しい開発や協力が生まれる可能性を感じています。一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)のようなIT企業が集まるコミュニティは、そうした「知の交流」を深める場として、大きな期待が寄せられています。

ZenmuTechの、そして日本社会のデータセキュリティの未来は、瀧本氏のような研究者と、SAJのようなコミュニティが連携することで、さらに大きく拓かれることでしょう。

瀧本篤志氏プロフィール

株式会社ZenmuTech 秘密計算エンジニア。2022年11月入社。大学で数学を専攻し、博士課程まで進んだ経歴を持ちます。新卒でデータサイエンティスト、その後金融機関でクオンツとして数理モデル開発に従事しました。現在は、ZenmuTechの秘密計算プラットフォーム「QueryAhead®」の開発をリードし、業務の一環として大学院の博士課程に在籍し、量子情報理論の研究を行っています。数学的な視点から、データを秘密にしたまま活用する次世代セキュリティ技術の開発を推進しています。

軌跡とビジョンの詳細についてはこちら: https://www.saj.or.jp/40th_branding/heroes_zenmutech

一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)について

一般社団法人ソフトウェア協会(略称:SAJ)は、ソフトウェアに関わるあらゆる企業、団体、個人を繋ぎ、デジタル社会の実現を推進する業界団体です。800社以上が加入しており、創立40周年を迎えました。ソフトウェアの未来を創造し、国内外のデジタル化推進に貢献しています。

SAJへの入会に関するお問い合わせ・詳細は以下ページよりご連絡ください。
https://www.saj.or.jp/contact/

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