一般社団法人 次世代社会システム研究開発機構(INGS)は2026年1月28日、『AI定義ビークル(AI-DV)/ソフトウェア定義ビークル(SDV)白書2026年版』の発刊とその概要を発表しました。
この白書は、2026年を大きな転換点として、AIが車の機能や動きを決めたり(AI定義ビークル)、ソフトウェアによって車の性能が変わったりする(ソフトウェア定義ビークル)未来の自動車、そして次世代の自動運転がどのように変わっていくかを詳しく分析しています。

白書が示す「3つの価値」と「高い視点」
この白書は、以下の3つの価値を提供しています。
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包括性: 自動運転に関するあらゆる分野(技術、企業、市場、国の政策など)を幅広くカバーしています。
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現在性: 2024年から2025年末までの最新の動きやデータを反映しています。
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実用性: これからの戦略を決めたり、政策を考えたりするための直接的な資料として活用できます。
また、特定の会社や業界だけでなく、世界全体の動きを広く見渡す「高い視点」から、北米、欧州、アジア太平洋という「三極構造」を分かりやすく示しています。
モビリティ産業の5つの大きな変化
白書では、モビリティ産業が今後どのように変化していくか、以下の5つのポイントを挙げています。
- テクノロジーの進化と実用化: ChatGPTのような「生成AI」の進化により、自動運転の技術が大きく進歩しています。特に、車全体で学習する技術や、現実世界を再現する「世界モデル」、体を伴うAI(Embodied AI)といった最先端の機能が急速に車に搭載され始めています。2026年から2027年にかけて、ドライバーがほとんど操作しない「レベル3」や、特定の条件下で完全に自動運転を行う「レベル4」の車が、多くの地域で実用化されていくでしょう。
- 産業構造の根本的な変化: これまでの車の部品を作る会社と完成車メーカーという階層的な関係から、今後は車の「ハードウェア」が共通化され、その上で「ソフトウェア」や「AI」が車の価値を決める二層構造へと変わっていくと予想されます。車の競争のポイントも、エンジンの性能などから、AIやソフトウェアの性能へと移っていくでしょう。部品メーカーも、ソフトウェアやAIを開発する企業へと役割を変えていくと見られています。
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世界における「三極構造」の確立: 自動運転の分野では、北米、欧州、アジア太平洋の3つの地域で、それぞれ特徴的な動きが見られます。北米ではテスラやWaymoといった技術主導の企業が強く、欧州ではフォルクスワーゲンやボッシュなどが協力してプラットフォームを作る動きがあります。アジア太平洋では、中国のBYDやNIOといった企業が急速に成長し、日本も政府や自動車メーカーが段階的に自動運転の導入を進めています。各地域で中心となるプレイヤーが決まりつつあり、地域をまたいだ競争は限定的になるでしょう。

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ロボタクシーの本格的な普及: 2026年から2027年にかけて、アメリカ、ヨーロッパ、中国の様々な場所で、特定の地域を走る「ロボタクシー(無人タクシー)」が次々と実用化されるでしょう。2027年から2030年には、例えばBaidu Apollo Goが50万台ものロボタクシーを運行する計画があるように、その規模は飛躍的に拡大すると見られています。これにより、ロボタクシーが収益を生み出すビジネスとして確立され、投資家や政府からの信頼も高まることが期待されます。
- ソフトウェアやデータが新たな収益源に: 車の機能をインターネット経由で更新する「OTA(Over-The-Air)」が当たり前になり、これが月額料金などのサービスとして提供されるようになります。また、車から集められるデータとクラウド技術を組み合わせることで、車が販売された後も継続的に収益を生み出す仕組みが整っていくでしょう。2025年から2030年にかけて、自動車業界全体の売上のうち、ソフトウェアが占める割合は20~30%にまで上昇すると予測されています。
各分野への提言
白書では、自動車メーカー、自動運転スタートアップ・テック企業、Tier1サプライヤー(部品メーカー)、政府・自治体、投資家・VCキャピタリストといった各分野に対し、短期(2026年内)、中期(2027~2028年)、長期(2029~2030年)にわたる具体的な行動計画や提言が示されています。
例えば、日本の自動車メーカーには、ソフトウェアやAIを専門とする組織を独立させ、年間500人以上のエンジニアを採用すること、また、OTAやサブスクリプションによる収益モデルを確立することなどが提案されています。
詳細については、以下の白書をご参照ください。

