千葉工業大学、「バイブコーディング」とAIエージェントで次世代AI人材育成を本格始動

教育・学習

千葉工業大学は、AIが自律的にタスクを遂行する「AIエージェント」との協働を中核テーマに据え、次世代の人材育成を本格的に開始します。この取り組みの一環として、Microsoftが開発中の戦略思考型AIシステム「Amplifier」を国内大学で初めて教育カリキュラムに導入します。

2026年4月より開講される総合科学特論「web3/AI概論」第4期では、学生と社会人が混合チームを組み、AIエージェントと共に社会課題の解決を目指します。この講座の科目責任者は、学長であり変革センター所長でもある伊藤穰一氏が務めます。2025年度には、AIと対話しながらソフトウェアを開発する手法「バイブコーディング」を導入し、プロダクト開発経験者を約2.6倍に増加させた実績があり、これを土台にさらなる進化を目指します。

千葉工業大学 × DoU AI エージェントで世界をハックせよ。web3/AI 概論 科目等履修生 募集開始

「AIエージェント」とは?

近年、ChatGPTやClaudeといった生成AIが広く普及していますが、次の段階として、AIが自律的にタスクを遂行し、複雑な問題解決を支援する「AIエージェント」の実装が本格化すると言われています。

AIエージェントの普及は、インフラ、クリエイティブ、ウェブとの接し方、専門職の仕事、そして教育のあり方まで、社会の様々な側面を根底から変える可能性があると予測されています。

本講座は、このような時代の変化を見据え、受講生がAIエージェントのメカニズムを深く理解し、将来的には自分専用のAIエージェントを開発することも視野に入れて、全13回の講義に取り組みます。

「web3/AI概論」第4期で学べる3つのこと

1. 国内大学初「Amplifier」導入

昨年度に大きな教育効果を示した「バイブコーディング」を、最新のAIエージェント技術(Amplifierなど)と組み合わせて、さらに発展させます。単に試作品を作るだけでなく、AIエージェントを自律的なパートナーとして使いこなし、複雑な課題を素早く解決する、新しい開発スタイルを身につけます。

2. 学生と社会人の混合チーム

社会や組織の課題を自ら見つけ、AIエージェントを使って問題を整理・分析します。そして、様々なテクノロジーを適切に選び、活用しながら、実践的に課題を解決するアプローチを学びます。学生と社会人が一緒にチームを組むことで、多様な視点からプロジェクトを進めます。

3. web3技術で学習体験を拡張

ブロックチェーン、NFT、スマートコントラクトといったweb3技術を活用したコミュニティ活動やゲームのような要素を取り入れます。これにより、受講生は先端技術がどのように使われているかを体験しながら学び、技術への理解を深めることができます。

「バイブコーディング」とは?

「バイブコーディング」とは、専門的なコードの記述をAIに任せ、人間は「本質的な問い」に集中するという開発手法です。千葉工業大学では2025年度にこの手法をいち早く導入し、初心者がわずか3ヶ月でプロダクトを完成させる教育モデルを確立しました。2026年度は、ここに「AIエージェント」が加わることで、企画・分析・検証といった各プロセスがAIによって自律的に加速され、人間はより高度な「創造的な意思決定」に専念できるようになります。

第4期(2026年度)の新たな挑戦:AIエージェント教育の本格始動

第4期となる2026年度の最も大きな特徴は、「AIエージェント」を講座の中心テーマに据えたことです。生成AIが「質問に答える」存在であるのに対し、AIエージェントは「自律的にタスクを遂行する」存在です。情報収集、分析、企画立案、コード生成、検証といった一連のプロセスを、人間と協力しながら進めることができます。

本講座では、これまでの3年間で培ったプロジェクトベース学習のノウハウを活かし、AIエージェントを「使われる側」ではなく「使いこなす側」の人材を育成します。AIエージェントを単なるツールとしてではなく、企画・設計・分析の各段階における「協力するパートナー」として位置づけ、共に考え、創造する開発スタイルを身につけることを目指します。

第4期で導入する技術・ツール

  • Microsoft「Amplifier」(国内大学初導入):Microsoftが開発中の実験的メタ認知AI開発システムです。AIエージェントがより高度な思考プロセスを実行できるようにするための基盤技術であり、本講座ではこれを国内の大学として初めて導入します。

  • バイブコーディングツール群:対話形式で試作品を素早く作り、改善できる「バイブコーディング」を通じて、AIエージェントと共に開発を進めるスタイルを身につけます。Claude、Cursor、Replit、v0など、最新のツールを活用し、アイデアを素早く形にする技術を習得します。

  • 生成AIツール:Claude Code、ChatGPT、Geminiなどの生成AIを組み合わせ、企画から検証までを効率的に進めます。生成AIとAIエージェントを適切に使い分けるスキルを養います。

実証された教育効果:2025年度の成果

2026年度にAIエージェントへと進化する根拠は、2025年度に導入した「バイブコーディング」による明確な成果にあります。

1. 「未経験者」を「継続的な開発者」に変えた実績

バイブコーディングの導入により、講座開始時に17.6%だったプロダクト作成経験者は、わずか3ヶ月で45.6%へと約2.6倍に急増しました。「言葉がそのまま形になる」体験が技術的な壁を取り払い、未経験者の6割以上を「作り手」へと変えました。

また、一時的な課題制作だけでなく、「継続的に複数回プロダクトを作成した」受講生が3倍以上(5.9%から18.4%)に増加しました。これは、バイブコーディングが日常的な「開発習慣」を形成したことを示しています。

2. 技術的・社会的スキルの飛躍的向上

バイブコーディングは、従来のプログラミング教育で課題となっていた「技術習得の壁」をAIエージェントとの対話によって取り除き、受講生を「学ぶ側」から「作る側」へと大きく成長させました。

2025年度の調査では、技術力への自信が46.3%向上し(2.09から3.06)、Web3/AIへの理解が44.5%向上しています(2.43から3.51)。これにより、受講生の大半が「自信がない」状態から、自律的に技術を扱える中級者レベルへと大きく成長しました。

3. 圧倒的なアウトプット量と社会実装

バイブコーディングによって思考のスピードを落とさずに実装できるようになった結果、2025年度の1講座だけで75種類ものプロダクトが生まれました。この膨大なアウトプットは、単なる学習の域を超え、実社会での成果に直結しています。

  • 資金調達の実現:本講座で開発したサービスで実際に資金を調達する受講生も輩出されました。

  • ハッカソンでの活躍:東京都主催のハッカソンでファイナリストに選出されるチームも出ました。

  • 実運用の開始:学内向けのアプリケーションがローンチされ、実際に利用される事例も誕生しました。

このように、バイブコーディングは「技術の習得」にかかる時間を「価値の創造」へと変え、初心者がわずか数ヶ月で社会を変える一歩を踏み出せる、新しい教育モデルを確立しました。2026年度は、この創造力をAIエージェントという新たな力でさらに加速させ、より複雑で大規模な社会課題の解決に挑みます。

学習方法の特徴

本講座は、一方的な講義形式ではなく、「反転授業」と「プロジェクトベース学習(PBL)」を組み合わせた先進的な教育手法を採用しています。

  • 反転授業(Flipped Classroom):基礎となる講義内容はUdacityやASU(アリゾナ州立大学)の教材を使い、自宅で事前に学習します。授業時間は、インタビュー結果の共有、アイデア検討、試作品の改善、プレゼンテーションなど、実践的なアウトプットを中心に行われます。これにより、限られた対面時間を最大限に活用し、深い学びを実現します。

  • チーム活動を前提としたプロジェクトベース学習:受講生は、社会人と在学生が混じったチームを作り、実際の社会課題に取り組みます。課題の発見から分析、設計、開発、検証までを協力して進め、最終的には発表できるレベルの試作品を完成させます。多様な背景を持つメンバーとの協力は、実社会で求められるチームワークスキルの習得にもつながります。

  • web3技術を活用したゲーミフィケーション:ブロックチェーン、NFT、スマートコントラクトといったweb3技術を活用したコミュニティ活動とゲームのような要素を取り入れています。受講生は先端技術が使われる場面を体験しながら学習を進めることができ、技術への理解を単なる知識ではなく「体験」として深めることができます。

科目責任者 伊藤穰一氏より

伊藤穰一氏

「AIエージェントの登場により、開発の本質は『コードを書くこと』から『何を創るかを設計し、AIを操ること』へと大きく変わっています。本講座では、AIを単なる道具ではなく共創相手として活用し、圧倒的な速さでアイデアを形にする『新人類』のようなエンジニアを育成します。大切なのは、既存の答えを出す力ではなく、自分自身の価値観に基づいて『問い』を立てる力です。変化を楽しみ、世界をより良くしようとする志を持つ学生の挑戦を期待しています。」

カリキュラム概要(全13回)

本講座は、「理解」→「実践」→「発表」の3つのフェーズで構成されています。

  • 前半(第1〜4回):【基礎理解】AIエージェント時代の開発プロセス、AIエージェント活用の全体像、課題発見と問いの深掘り、価値仮説づくり、GitHub協働基礎

  • 中盤(第5〜10回):【実践開発】創造性と学び方、ユースケース事例研究(4回)、中間発表、インタビュー準備・実践

  • 後半(第11〜13回):【発表準備】仕上げと最終プレゼンテーション、ピッチデッキ作成、プロトタイプ・スライド仕上げ、最終発表会

講座概要

  • 講座名:総合科学特論「web3/AI概論」

  • 科目責任者:伊藤穰一

  • 講師:西村奈々、下瀬浩一、石部達也、品田美帆、他

  • 開講時期:2026年4月16日〜7月16日(全13回)

  • 曜日・時間:毎週木曜日 15時〜17時(2時間)

  • 形式:オンライン(反転授業形式)※一部対面セッションあり

  • 単位:取得可能(2単位)

  • 定員:300名

  • 主な学習内容:AIエージェント活用、バイブコーディング、プロジェクト開発、web3技術

  • 使用ツール:Amplifier、Cursor、Replit、v0、Discord、GitHub など

受講対象と出願資格

AIやweb3に興味がある、以下の皆さんが受講できます。

  • 千葉工業大学の学部生・大学院生

  • 他大学の学生

  • 社会人(ただし、以下の出願資格に該当する方に限ります)

出願資格:令和8年3月31日までに18歳に達する方で、次のいずれかに該当する方。

  1. 高等学校(中等教育学校を含む)を卒業した者または令和8年3月卒業見込みの者。
  2. 本学において、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者。

必要な環境

  • 各種ツール(Discord、MetaMask、Manaba、Google Drive、ChatGPT、Webexなど)にアクセスできること。

  • PC・Macなどをお持ちの方(iPadやタブレットのみの方は不可)。

受講申込みの流れ

web3/AI概論の受講には、千葉工業大学公式サイトからの申込みが必要です。以下の手順で、申込みから授業開始までの流れをご案内します。

  1. 募集要項を確認:1月30日募集開始。応募資格や募集期間をご確認ください。
  2. ID登録(出願予約):1月30日〜3月25日締切。期日までに学内システムでID登録をお願いします。これは出願に必要な事前手続きです。URL: https://conveni.is.it-chiba.ac.jp/cert/i/i_registration.html
  3. メールで出願手続きの詳細をご案内:3月26日以降。ID登録期間終了後、大学から出願手続きの詳細がメールで送られます。
  4. 出願情報を送付:3月25日〜4月3日。学内システムの指定フォームで受け付けます。受講希望者は、出願期間内に必要な情報を入力してください。
  5. 選考・選考結果発表ご送付:4月3日〜4月14日。大学で書類審査が行われ、結果がメールで通知されます。場合によっては面談が行われることもあります。
  6. 受講手続き:4月6日〜4月14日。受講を確定する方は、4月14日までに授業料の振り込みを行ってください。
  7. 授業開始:4月16日。

背景:なぜ今「AIエージェント教育」なのか

デジタル化の急速な進展により、AIエージェントや生成AIをはじめとする新しい技術が日々生まれ、インターネット上の情報環境や開発手法は大きく変化しています。企業や行政機関における課題発見から価値検証、開発、運用に至るプロセスは、今まさに根底から変わりつつあります。

このような社会の変化の中で求められるのは、主体的に課題を見つけ出し、AIエージェントを含む多様なテクノロジーを適切に選択・活用しながら、実践的に課題解決へと導くことができる人材です。

本講座は、2021年度の開講以来、時代の変化に合わせてカリキュラムを進化させてきました。web3技術から始まり、生成AI、バイブコーディングを取り入れ、そして2026年度はAIエージェントへと進化します。4年間の実績とノウハウを活かしながら、常に最先端の技術教育を提供し続けています。

「web3/AI概論」4年間の歩み

千葉工業大学では2021年度より、次世代のインターネット技術を学ぶ講座を開講し、3年間で累計800名以上の受講生を輩出しています。

  • 第1期・第2期(2021〜2023年度):web3概論として開講。web3技術の基礎知識と開発手法を学びました。

  • 第3期(2025年度):講座名を「web3/AI概論」に改称し、生成AI・バイブコーディングを本格導入。「作ることで学ぶ」プロジェクト実践型授業へと進化し、社会人・在学生が混在するチームで社会課題に取り組む形式を確立しました。この年、75種類のプロダクトが誕生し、教育効果の実証も行われました。

  • 第4期(2026年度):AIエージェント技術の急速な発展を受け、講座の中核テーマとして「AIエージェント」を初めて据えます。これまでに培ったプロジェクトベース学習のノウハウを活かしながら、AIエージェントを協力パートナーとして使いこなす人材の育成に取り組みます。

千葉工業大学公式サイト:https://chibatech.jp/

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