小林住宅と創建、筑波大学などと共同で「究極の睡パ住宅」実証実験を開始
日本人の平均睡眠時間はOECD加盟国と比較して約1時間短く、睡眠不足による経済損失は約15兆円にものぼると言われています。近年では睡眠時間の確保だけでなく、睡眠の「質」を高めることへの関心が高まっています。このような背景を受け、注文住宅専門メーカーの小林住宅株式会社と株式会社創建は、睡眠研究の第一人者である筑波大学の柳沢正史氏と共同で、住宅環境が睡眠の質にどのような影響を与えるのかを検証する実証実験を2025年12月14日より開始しました。

世界トップレベルの睡眠研究機関が参画
本実験には、筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)をはじめ、慶應義塾大学川久保研究室、そして睡眠ソリューションを提供する株式会社S’UIMINが参画しています。睡眠の質に影響が出やすい冬季と夏季の2回にわたって実験が行われ、検証結果は2026年10月に報告される予定です。この結果を受けて、睡眠パフォーマンス(=睡パ)を高める住宅、「究極の睡パ住宅」の開発を目指します。
住宅性能の異なる2棟で比較検証
今回の実証実験では、同一の立地条件で、間取りやインテリアといった見た目の条件を全く同じにした2棟の実験棟が建築されました。異なる点は、睡眠の質に影響を与える「温度」「音」「換気」「光」に関わる住宅性能のみです。具体的には、高い住宅性能を持つ「外断熱工法」の住宅と、一般的な基準を満たした住宅が比較されます。
被験者は、睡眠に悩みを持つ男女20名で、各住宅にそれぞれ2~3泊ずつ宿泊します。株式会社S’UIMINが提供する睡眠計測デバイス「InSomnograf(インソムノグラフ)」を用いて脳波を測定し、AIで解析することで睡眠の質を評価します。評価項目には、総睡眠時間、睡眠効率、心身の回復に重要な深睡眠(徐波睡眠)、中途覚醒時間などが含まれます。脳波データに加え、睡眠後のアンケートによる主観的評価や、心拍変動によるリラックス度なども多角的に評価されます。さらに、温度・湿度・照度・CO2濃度といった室内環境も同時に計測し、住宅環境と睡眠の質の関係を総合的に検証します。
快適な睡眠を支える「外断熱工法」とは
「外断熱工法」とは、建物の屋根や床下を含む全体を、外側から断熱材ですっぽりと包み込む方法です。この工法では、外の温度が室内に伝わりにくく、冬は室内の熱が逃げにくく、夏は外からの熱が入りにくいため、室温が安定しやすいという特長があります。また、高い気密性によって外部の音が伝わりにくく、遮音性にも優れています。計画的な換気による空気循環も行いやすいため、快適な室内環境を維持しやすいとされています。
共同研究機関について
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)
睡眠覚醒の仕組みを解明するため、基礎から臨床までを網羅する世界トップレベルの睡眠医科学研究拠点です。「睡眠覚醒制御機構の解明」「睡眠障害と関連疾患の病態解明」「睡眠障害治療法の開発」をミッションに掲げ、研究活動を行っています。
詳細については、以下のリンクをご覧ください。
柳沢正史 教授
1988年に血管制御因子エンドセリンを、1998年に睡眠・覚醒を制御するオレキシンを発見した睡眠研究の世界的権威です。2012年に国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)を設立し、株式会社S’UIMINの起業にも携わっています。Pokémon Sleepの監修など、多岐にわたる活動を行っています。
株式会社S’UIMIN
柳沢正史氏が起業した筑波大学発のスタートアップ企業です。睡眠時の脳波を測定しAIで解析する睡眠計測サービス「InSomnograf(インソムノグラフ)」を筑波大学と共同開発し、提供しています。睡眠専門企業として、研究用資材の販売、医療機関向け睡眠検査、法人向け健康経営支援などの事業を展開しています。
詳細については、以下のリンクをご覧ください。
今後の展望
今回は外気温の影響を受けやすい冬季に実験が行われましたが、気温が上昇する本年夏季にも同様の実験を実施し、季節変動の影響を含めた研究結果が2026年10月に発表される予定です。この実証実験を通じて、住宅が人々の睡眠の質にどのように貢献できるか、その科学的根拠が示されることでしょう。

