AIと「第三の生命鎖」糖鎖が切り拓く新薬開発
株式会社FRONTEO(フロンテオ)と、バイオ医薬品の開発・改良を行う株式会社糖鎖工学研究所が、AIを使った新しい薬の開発に向けた実証実験(PoC)を開始しました。
この実証実験では、FRONTEOが提供するAI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(ドラッグディスカバリー エーアイ ファクトリー、以下DDAIF)」を活用し、糖鎖(とうさ)という物質を使った創薬研究において、新たな薬の標的候補や、どんな病気に使えるかを探していきます。

既知の文献から未知の関連性を見つけ出すAI「KIBIT」
FRONTEOの「DDAIF」は、FRONTEOが独自に開発したAI「KIBIT(キビット)」の技術が使われています。KIBITは、世の中に存在するたくさんの学術論文や文献の中から、まだ誰も気づいていないような「病気と薬の標的分子(薬が作用する体の部分)の関連性」を見つけ出すのが得意なAIです。
この技術を使って、新しい薬の候補を見つけたり、病気がどのようにして起こるのかを分析したりすることで、製薬会社や研究機関での薬の開発をサポートしています。

糖鎖工学研究所の革新的な糖鎖技術
一方、糖鎖工学研究所は、大塚化学株式会社から独立した、糖鎖技術に特化した企業です。糖鎖を設計し、作り、大量に生産するまでの一連の技術を持っており、高品質な糖鎖や糖鎖を加工した分子を提供することで、バイオ医薬品などの研究開発を支えています。経済産業省による有望スタートアップ選定プログラム「J-Startup 2021」にも選ばれるなど、その技術力は高く評価されています。
実証実験のねらいと「糖鎖」の可能性
今回の実証実験では、糖鎖工学研究所が研究を進める「糖鎖修飾ソマトスタチン(開発コード;GT-02037)」などのテーマに、「DDAIF」が活用されます。DDAIFを使って、新しい薬の候補や、その薬がどんな病気に効く可能性があるのかを探ることで、糖鎖技術が持つ創薬の可能性をさまざまな角度から評価し、まだ治療法が見つかっていない病気(アンメット・メディカル・ニーズ)の解決に貢献することを目指しています。
糖鎖とは
糖鎖は、複数の糖が鎖のようにつながった分子で、私たちの体の中で細胞同士が認識し合ったり、情報を伝えたりする上でとても大切な役割を担っています。近年では、遺伝子やたんぱく質に次ぐ「第三の生命鎖」として、薬の開発において大きな注目を集めています。
薬に糖鎖をくっつける「糖鎖修飾」という技術を使うと、薬が体内で安全に長く効いたり、特定の場所に届きやすくなったりするなど、薬の効果や安全性を高めることが期待されています。
糖鎖工学研究所の代表取締役社長である朝井洋明氏は、同社の開発候補品である「GT-02037」が、すでに臨床試験で良好な結果を得ており、FRONTEOの「DDAIF」を利用することで、アンメット・メディカル・ニーズへの応用展開に期待を寄せています。
また、FRONTEOの取締役/CSO(Chief Science Officer)である豊柴博義は、DDAIFと糖鎖工学研究所の技術を組み合わせることで、薬が特定の受容体(細胞が情報を受け取る部分)に結合しやすくなったり、複数の受容体に作用する薬を開発したりするなど、新しい治療法への応用可能性が大きく広がると期待を表明しています。
この実証実験が、革新的な医薬品の創出、そしてまだ治療法のない病気の解決、さらには日本の創薬産業の発展に貢献することが願われています。
各社の詳細情報
株式会社糖鎖工学研究所
「ヒト型N結合型糖鎖の大量製造技術」と「糖鎖ライブラリー合成技術」を世界に先駆けて確立し、創薬に新たな可能性を提供しています。高純度かつ均一な糖鎖と精密な糖鎖修飾技術を基盤に、受託研究・原薬販売・試薬販売を通じて国内外のパートナーと協働し、次世代医薬品の創出を支援しています。
FRONTEO Drug Discovery AI Factory(DDAIF)
自然言語処理に特化したAI「KIBIT」と、FRONTEOの創薬研究者およびAIエンジニアの知見を融合したAI創薬支援サービスです。疾患関連遺伝子ネットワークの解析や、標的分子候補に関する仮説の構築を通じ、医薬品開発における研究者の意思決定を強力にサポートします。
URL:https://lifescience.fronteo.com/products/drug-discovery-ai-factory/
株式会社FRONTEO
自社開発のAI「KIBIT」の提供を通じて、社会課題と向き合う各分野の専門家の判断を支援し、イノベーションの起点を創造しています。独自の自然言語処理技術は、高速かつ高精度での解析を可能にし、解析した情報をマップ化(構造を可視化)する特許技術を活用することで、「KIBIT」が専門家のインサイトにダイレクトに働きかけます。

FRONTEOは、以下の各事業で社会実装を推進しています。

