FRONTEOとエヌビィー健康研究所がAIで新薬開発を加速!難しかったGPCR標的の抗体医薬品創出へ

ビジネス活用

AI技術を持つ株式会社FRONTEO(以下、FRONTEO)と、抗体医薬品の研究開発を専門とする株式会社エヌビィー健康研究所(以下、NBHL)は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)を狙った抗体医薬品の開発と事業化に向けて、共同研究の基本方針に合意しました。

GPCRとは?なぜ薬にするのが難しいのか

GPCRは、細胞の表面にある「アンテナ」のようなもので、体の外からのさまざまな信号を受け取って細胞の中に伝える大切な役割を持っています。人間の体には約800種類ものGPCRがあり、多くの病気に関わっているため、薬のターゲットとして非常に重要です。実際、今世の中に出回っている薬の約30〜40%はGPCRを狙ったものだと言われています。

しかし、GPCRは構造が複雑で、安定した形で取り扱うことが難しいため、特に副作用の少ない「抗体医薬品」として開発するのは、これまで非常に高い技術が必要とされてきました。これが長年の創薬における大きな課題となっていました。

AIと抗体技術の融合で可能性を検証

FRONTEOとNBHLは、2025年8月から、FRONTEOのAI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」を使って、GPCRを狙う新しい抗体医薬品の開発に向けたPoC(実証実験)を行ってきました。

このPoCでは、FRONTEOのAI解析技術が持つ「標的分子(薬を作用させる対象となる分子)と病気の、これまで知られていなかった関連性を見つけ出し、新しい仮説を立てる力」と、NBHLが持つ「抗体に関する深い知識と、独自の抗体を作り出す技術」が組み合わさることで、大きな相乗効果が生まれることが確認されました。

FRONTEOとNBHLのロゴ

創薬の研究開発は、成功する確率が非常に低いと言われています。そのため、研究を効率的に進めるには、開発の早い段階で「薬の候補となる分子を見つけること」と、「それがどのように病気に効くのかという多くの仮説を立て、それが正しいかを確認すること」がとても大切になります。

今回のPoCの結果、既存の薬を別の病気に使う「ドラッグリポジショニング」による価値向上や、全く新しい薬を生み出すことが、非常に効率よく実現できる可能性が示されました。この成果を基に、両社は開発の初期段階から事業化を見据えた薬作りのプロセスを確立するため、協力関係をさらに深めています。

FRONTEOのAI技術KIBITとNBHLの抗体技術MoGRAA Discovery Engineの連携

今後の共同研究の取り組み

PoCの成功を受け、両社は今後、以下の2つの共同研究を進めていきます。

1. NBHLの既存薬に新しい使い道を探し、実用化を目指す

FRONTEOのAI解析技術を使い、NBHLがすでに持っている薬の候補について、「科学的に効果が期待できるか」と「市場での必要性があるか」の両面から、新しい病気への使い道を探しました。今後は、試験管内や動物を使った実験で薬の効果や安全性を詳しく調べ、最短で2026年度中には、製薬会社への導出(ライセンスアウト:開発した薬の権利を他の製薬会社に売ったり、使わせたりすること)を目指します。

この取り組みで得られる特許や権利などは、両社で共有することを基本としています。もし導出が実現すれば、FRONTEOは早ければ2026年度中に数十億円規模の一時金を受け取る可能性があり、さらに開発の進展や製品化によって、総額で数百億円規模の追加の対価を受け取る可能性もあるとされています。これは、薬の開発や販売が進むにつれて段階的に収益が積み上がる事業モデルになるでしょう。

2. 全く新しい抗体医薬品を生み出す

この共同研究では、PoCで得られた知見を基に、新しい抗体医薬品の候補を次々と生み出し、新薬の開発を目指します。また、FRONTEOのAIとNBHLの抗体技術を組み合わせることで、さまざまな病気に対して新しい抗体医薬品を生み出す共同創薬モデルを広げていく計画です。

NBHLの特別な技術「MoGRAA」

細胞膜上のGPCRと抗体の結合

NBHLは、GPCRを狙った抗体医薬品を見つけ出すための独自の技術「MoGRAA」を核として、研究開発を進めています。MoGRAAは、複雑な構造を持つGPCRに対しても、狙った通りに働きかけ、その機能をコントロールできる抗体を効率よく作り出せるのが特徴です。この技術により、NBHLはこれまでに複数の有望な薬の候補を生み出しており、国内外の製薬会社による評価も進められています。

FRONTEOのAI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」

FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」は、自然言語処理に特化したAI「KIBIT」と、FRONTEOの創薬専門家やAIエンジニアの知識を組み合わせたAI創薬支援サービスです。

DDAIFは、病気に関連する遺伝子のネットワークを分析したり、薬の候補となる分子に関する仮説を立てたりすることで、研究者が新しい薬を開発する際の意思決定を強力にサポートします。このサービスはすでに複数の大手製薬企業で導入され、実績を上げています。

FRONTEOは、AI「KIBIT」を通じて、社会のさまざまな課題解決を支援しています。KIBITは、大量のデータから重要な情報や隠れた関連性を見つけ出すのが得意で、創薬分野での新しい仮説の生成やターゲット探しにも活用されています。

FRONTEO Drug Discovery AI Factoryの詳細はこちら

FRONTEOのAIが様々な分野で活用される様子

医療の未来への貢献

FRONTEOとNBHLは、それぞれの持つ技術と知識を最大限に活かし、その相乗効果を発揮することで、革新的な医薬品や治療法の研究開発、医学・薬学研究の進展、そして医療の質と患者さんの生活の質の向上に貢献していくことを目指しています。この協力は、「日本を再び創薬の地へ」という理念のもと、医薬品産業を自動車や半導体に次ぐ主要な産業へと成長させ、薬を必要とするすべての人に適切な薬が届けられる公平な世界を実現することを目指しています。

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