日本企業のAI導入が飛躍的に拡大、世界をリードする投資効果
レノボは、世界のITおよびビジネスの意思決定者を対象に実施した「CIO Playbook 2026:エンタープライズAIを巡る競争」調査の結果を発表しました。この調査から、日本企業がAI(人工知能)の活用において大きな転換点を迎えていることが示されています。この1年でAIの導入が大幅に進み、その投資から得られる効果も地域で最高水準に達していることが明らかになりました。

調査によると、今後1年以内にAIへの投資を増やす計画の企業は、アジア太平洋地域全体で96%、日本企業では93%に上ります。投資の対象は、文章や画像を生成する「生成AI」や、自動で判断・実行する「エージェンティックAI」、さらにクラウドや自社設備でのAI基盤、AIセキュリティツールなど多岐にわたります。平均で15%の投資増加が見込まれており、特に日本企業では「AIのセキュリティ、信頼性、透明性に関するツール」「AIデバイスの導入」「AI人材の獲得、定着」が重要なテーマとして挙げられています。
これらの動きは、企業がAIを「お試し」の段階から「本格的に使う」段階へと移行していることを示しています。実際、日本企業でAIを試験的に導入したり、すでに本格的に使っている企業の割合は、2025年の21%から2026年には68%へと大きく伸びています。これは、日本市場がAIを単に業務を効率化する道具としてだけでなく、会社の成長や競争力を高めるための重要な手段として見ている証拠と言えるでしょう。
AI投資のリターン(ROI)も地域トップクラス
AIへの投資がどれだけの利益を生み出すかを示すROI(投資収益率)について、アジア太平洋地域の企業は2026年に平均して1ドルの投資で2.85ドルの収益を期待しています。これに対し、日本企業はさらに高い3.05ドルという収益を見込んでおり、これは地域でトップクラスの期待値です。AIの導入が進むにつれて、多くの企業が収益アップや仕事の効率化という形で、AIがもたらす明確な価値を実感していることがわかります。
IT部門を超えて広がるAIの活用と新たな課題
AIの導入は、もはやIT部門だけの話ではなくなっています。調査対象企業の半数が「IT部門以外の部署がAI計画の予算を持っている」と回答しており、AI活用はカスタマーサービス、マーケティング、財務など、組織全体へと急速に広がっています。これにより、CIO(最高情報責任者)の役割は、会社全体でAIの導入を調整し、推進する重要な役割へと変化し、その存在感を増しています。
一方で、AIの「概念実証(PoC)」と呼ばれる試行段階から、実際に業務で使う「実運用」への移行は、まだ大きな課題として残っています。AIを安全に管理し、適切に運用していくためのルール作り(AIガバナンス)や、AIのライフサイクル管理の重要性が高まっています。
次なる注目は「AIエージェント」と「ハイブリッドAI」
今回の調査では、次に注目されるエンタープライズAIの分野として「AIエージェント」が浮上しました。AIエージェントとは、人間のように状況を判断し、自律的にタスクを実行するAIのことです。アジア太平洋地域では、今後1年でAIエージェントへの関心が2倍に高まると予想されており、すでに21%の企業が積極的に活用しています。しかし、大規模な導入には、サイバーセキュリティやプライバシーの保護、データの品質、既存のシステムとの連携などが課題として挙げられています。
企業が求めているのは、単に賢いAIを追加するだけでなく、「日々の仕事の流れの中で確実に動き、安全で信頼でき、一貫した成果を出せるAI」です。これは、AIが企業の仕事の核に深く組み込まれていく次の段階を示しています。
また、AIを使うためのIT基盤としては、「ハイブリッドAI」が標準になりつつあります。ハイブリッドAIとは、自社内のサーバー(オンプレミス)や、工場や店舗などの現場(エッジ環境)と、クラウドサービスを組み合わせてAIを動かす方法です。アジア太平洋地域の86%の企業がこのハイブリッドAIを導入しており、日本企業でも71%が採用しています。日本では、データのプライバシー保護や国の規制への対応、クラウド管理の複雑さ、そしてリアルタイムでの処理が必要なことが、ハイブリッドAI導入の主な理由となっています。
CIOが2026年に取り組むべき3つの優先事項
「CIO Playbook 2026」では、CIOが今年特に力を入れるべきこととして、以下の3点を挙げています。
- AI推論を価値創出のエンジンへ: AIモデルが学習した内容を使って答えを出す「推論」のコストは、学習にかかるコストの最大15倍になる可能性があります。2030年には、AIの計算能力の75%がこの推論に使われると予測されており、企業の80%が分散されたエッジインフラストラクチャに頼るようになると予想されます。
- 従業員の生産性を高めるAIデバイス導入の推進: AIを搭載したPC(AI PC)の導入が加速し、企業が購入するPCの半分が、PC上でAIが動くモデルに移行すると見込まれています。
- PoCの壁を越え、AIを大規模に展開する仕組み作り: 88%の企業がAIからプラスのROIを期待しているにもかかわらず、実際に業務で大規模にAIを使えているのは約半数にとどまっています。そのため、AIをいかに大きく展開していくかが最大の課題となっています。
レノボ・ジャパンの代表取締役社長である檜山太郎氏は、「AIは企業の戦略と競争力の中心になりつつあります。日本企業はAI活用で大きく前進しており、この成長はさらに加速するでしょう。一方で、AIの管理方法やデータの扱い、大規模展開の課題も明確です。レノボは、企業がこれらの課題を乗り越え、AIを安全かつ効果的に大規模に使えるよう、インフラからデバイス、AIエージェントまで一貫してサポートしていきます」とコメントしています。
調査の概要と詳細レポート
この調査はレノボがIDCに依頼して実施したもので、2025年9月16日から10月17日にかけて、世界各地の3,120名のITおよびビジネスの意思決定者を対象に行われました。金融、小売、製造、医療など幅広い業界の企業が対象となっています。
「CIO Playbook 2026」の詳細レポートは、以下のリンクからご覧いただけます。

