北海道の建設業で先進的なGXモデルを構築。クロスティホールディングスが2040年カーボンニュートラルを宣言
北海道を拠点とする建設・設備グループである株式会社クロスティホールディングスは、グループの中核企業である株式会社エコテックの主要拠点を対象に、温室効果ガス(GHG)排出量の可視化を完了しました。この分析結果に基づき、2030年および2040年に向けた脱炭素ロードマップを策定し、2040年までにカーボンニュートラルを達成することを正式に宣言しました。

この取り組みは、北海道の建設業界において先進的な事例となります。特に、ここまで体系的に排出量を可視化し、長期的な計画を立てた例は少ないとされており、地域におけるGX(グリーン・トランスフォーメーション)推進のモデルケースとして大きな意味を持つと考えられています。
GXとは?カーボンニュートラルとは?
GX(グリーン・トランスフォーメーション)とは、温室効果ガスの排出を抑えながら、経済を成長させていくための変革のことです。一方、カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指す状態を指します。排出される温室効果ガスと、森林などによる吸収量を差し引きしてゼロにする、という考え方です。
今回の取り組みでは、気候テック企業であるエコウル株式会社が提供する中小企業向けのGX伴走支援サービスが活用されました。このサービスを通じて、エネルギーの使用状況の分析から、温室効果ガス排出量の計算、そして排出量を減らすための具体的な計画作りまで、一貫して行われています。
温室効果ガス排出量の「Scope」について
温室効果ガス排出量は、大きく3つの「Scope(スコープ)」に分けられます。
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Scope1: 事業者自身が直接排出する温室効果ガスです。例えば、工場で燃料を燃やしたり、社用車を動かしたりするときに出るガスなどがこれにあたります。
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Scope2: 他の会社から供給された電気や熱、蒸気を使うことで間接的に排出される温室効果ガスです。電力会社が電気を作る際に出るガスなどがこれにあたります。
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Scope3: Scope1とScope2以外の、事業活動に関わるすべての間接的な排出です。製品を作るための原材料の調達、製品の輸送、従業員の通勤、製品が使われたり廃棄されたりする際に出るガスなど、非常に幅広い範囲を含みます。
今回のクロスティホールディングスの取り組みでは、主にScope1とScope2の排出量が対象となっています。

出典(環境省): https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html
背景:建設業界で高まるGHG削減要求と北海道特有の課題
建設業界では、温室効果ガスの排出量を把握し、削減する方針を立てることが、企業の評価においてますます重要になっています。特に、エコテックの主要な取引先である大手ハウスメーカーなどでは、サプライチェーンを構成する協力会社に対して、排出量の計算や削減計画の提示を求める動きが進んでいます。このような状況から、クロスティホールディングスグループも早期の対応が不可欠でした。
一方で、北海道を拠点とする企業は、冬の暖房使用や広い地域での移動に伴う車両燃料の使用など、地域特有の事情により排出量が増えやすいという課題を抱えています。しかし、排出量の計算や計画の策定には専門的な知識が必要なため、中小企業が自社だけで対応するのは難しいのが現状です。クロスティホールディングスは、こうした環境の変化に対応するため、グループ全体でGXを進めるための基盤を整備し、持続的に環境対応ができる体制を構築しています。
取り組みの概要:エコテック全拠点の排出量を可視化し、長期計画を策定
今回のプロジェクトでは、エコウルのGX伴走支援サービスを活用し、以下の手順で脱炭素経営の基盤を築きました。
- エコテックの全拠点(北海道札幌市・苫小牧市、宮城県仙台市、埼玉県川口市)における電力や燃料のデータを集めて整理しました。
- Scope1とScope2の排出量を計算しました。
- 拠点ごとの「原単位(売上あたりの排出量)」を分析し、どのような活動で排出量が多いのかを明確にしました。
- これらのデータをもとに、2030年と2040年に向けたGXロードマップを策定しました。
計画された対策には、省エネな運用の強化、再生可能エネルギーへの切り替え、暖房や給湯設備の電化、車両のEV(電気自動車)化、そして削減しきれない排出量をカーボンクレジットなどで相殺するオフセットの活用などが含まれています。これらは、実現可能性の高いものから順に整理されています。
成果①:447.77 t-CO₂の排出量を可視化し、具体的な目標を設定
今回の取り組みにより、エコテックの2024年度におけるScope1とScope2の合計排出量が約448t-CO₂であることが明らかになりました。この可視化されたデータをもとに、以下の長期目標が設定されました。
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2030年: Scope2の排出量をゼロ(再生可能エネルギー100%)にすることを目指します。
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2040年: グループ全体としてカーボンニュートラルを達成することを目指します。
これらの目標は、段階的な対策を通じて、現場の負担を抑えながら無理なく達成できるような計画としています。

成果③:拠点別の改善余地を明確化
拠点ごとに原単位を算出したことで、「燃料の使用量が多い拠点は、対策による改善効果が大きい」といった傾向を把握できるようになりました。これにより、どの拠点からどのような対策を優先して進めるべきか、短期・中期・長期にわたって無理なく取り組める具体的な計画を立てることができました。
関係者のコメント

クロスティホールディングスは、
「グループの中核企業であるエコテックを対象にGHG排出量を可視化し、2040年カーボンニュートラルを目指す明確な計画を策定しました。エコテックの主要取引先である大手ハウスメーカーでは、2027年から排出量削減の義務化が始まる見込みであり、請負企業である私たちにとっても早期の対応が欠かせません。
今回、エコウルと連携することを決めたのは、スタートアップながらGX分野の先駆者として確かな実績を有しており、その知見に期待したためです。北海道の建設業は地域特性から排出量の改善余地が大きく、今回の取り組みはグループの競争力強化にもつながると考えています。これを機に、9社グループ全体でGXを推進し、地域社会にとって持続可能な建設業のモデルを示していきたいと考えています。」
と述べています。

エコウル株式会社は、
「北海道の建設業は、排出構造が明確で改善余地の大きい分野です。クロスティホールディングス様との取り組みでは、データに基づいて実効性の高いGXモデルを構築することができました。今後も、地域企業が無理なくGXに取り組める仕組みづくりを進め、“脱炭素が当たり前の世界”をともに創っていきたいと考えています。」
と述べています。
エコウル株式会社について
エコウル株式会社は、「脱炭素が当たり前の世界を実現する」ことをミッションに掲げる気候テック企業です。企業やプロジェクトのGX推進を支援しており、排出量削減・吸収プロジェクト用の国産デジタルMRVプラットフォーム「Ecoulu DMRV」を展開しています。カーボンクレジット市場に精通した独自のAIにより、データ収集からクレジット量の計算、報告書の作成プロセスを自動化し、データの信頼性向上、コスト削減、早期収益化を支援しています。
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会社名:エコウル株式会社(Ecoulu, Inc.)
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代表者:代表取締役社長 江森 靖紘
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所在地:東京都千代田区丸の内1丁目6-5 丸の内北口ビルディング
株式会社クロスティホールディングスについて
株式会社クロスティホールディングスは、電気設備工事会社であるエコテックを中核に、建設・設備関連事業を手がける9社で構成される企業グループです。電気・給排水・建築など生活インフラの設計・施工を通じて地域社会の基盤を支えながら、環境負荷の低減や省エネ化に役立つ技術の提供を進めています。今後は、グループとしてのGX体制を強化し、事業活動の脱炭素化を通じて持続可能な地域社会の実現に取り組んでいく方針です。
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会社名:株式会社クロスティホールディングス
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所在地:札幌市東区北37条東15丁目1-1
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事業内容:建設・電気設備工事を中心とした9社グループの統括
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代表者:代表取締役 林 秀樹
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TEL:011-751-0133
株式会社エコテックについて
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会社名:株式会社エコテック
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代表者:代表取締役 今 雅教
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TEL:011-751-1616
