NVIDIAとT-Mobileが協力!AIを物理世界で活用する「フィジカルAI」インフラを構築

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NVIDIAとT-Mobileは、Nokiaをはじめとする多くのパートナー企業と協力し、現実世界でAIを動かすための新しい仕組み「AI-RAN対応インフラ」の構築を進めていることを発表しました。

AIとコンピュータビジョン技術の多様な応用例

この取り組みは、私たちが普段使っているワイヤレスネットワークを、高性能なAIコンピューターに変え、都市や工場、公共施設など、物理的な場所でAIが活躍するための土台を築くものです。NVIDIAの「Metropolis」というプラットフォームを使うことで、開発者は物理世界を理解するAIエージェント(AIのプログラム)を簡単に作って、様々な場所に導入できるようになります。

AI-RANとは?

「AI-RAN」とは、AI(人工知能)とRAN(無線アクセスネットワーク、携帯電話の基地局などのこと)を組み合わせた新しい技術です。

NVIDIAは、このAI-RANを実現するために、電力消費を抑えつつ高性能な「NVIDIA ARC-Pro」を中心に、以下の高性能なAIサーバーを提供しています。

T-Mobileは、米国で初めてNVIDIAのAI-RANインフラを試験的に導入した企業です。現在は、NVIDIAのパートナー企業と協力し、基地局やモバイル交換局が、5Gの優れた通信機能を提供しながら、AIの処理も同時に行えることを実証しています。

NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンスン フアン氏は、「通信ネットワークが、ロボットや自動運転車、そして現実世界を理解するAIエージェントがリアルタイムで機能するためのAI基盤へと進化している」と述べています。T-Mobileの最高経営責任者であるSrini Gopalan氏も、「5Gネットワークを分散型AIコンピューティングプラットフォームに変えることで、超低遅延で正確な時刻同期が可能になり、AIがリアルタイムで動作できるインテリジェントなネットワークが実現する」と語っています。

モバイルネットワークがフィジカルAIの「神経系」に

AIを現実世界で広く使う「フィジカルAI」には、いつでもどこでも使える、速くて安全な通信が必要です。

Wi-Fiには通信範囲や安全性の限界がありますが、T-Mobileの5Gネットワークは、都市の混雑した場所や工場、地方など、様々な環境で複雑なAIエージェントを動かすために必要な、広範囲で高品質な通信を提供します。これにより、AIは計算量の多い処理を、デバイスから一番近いネットワークの拠点(エッジ)で行えるようになります。

処理をエッジに任せることで、個々のカメラやロボットに必要な機器の負担が減り、たくさんのデバイスがお互いにつながりながら、高度なAIモデルを効率よく使えるようになります。

現実世界でのAI活用事例

NVIDIAとT-Mobileは、様々な開発企業と協力し、T-Mobileのネットワーク上で「NVIDIA Metropolis Blueprint」を使って作られたAIエージェントを導入しています。具体的な活用事例は以下の通りです。

  • スマートシティの運営: LinkerVisionなどの企業は、AIを使って信号機のタイミングを最適化し、サンノゼ市での事件対応を5倍速くすることを目指しています。

  • 自動での設備点検: LevatasとSkydioは、AIと5Gを活用して、何十万マイルもの送電線を自動で点検し、異常を5倍速く見つけて解決しています。これにより、コスト削減や災害後の復旧時間の短縮が期待されます。

  • ビジョンベースの施設管理: Vaidioなどの開発企業は、AIを使って施設内の脅威を検知したり、故障を予測したりして、施設管理をより良くするAIエージェントを開発しています。

  • 産業現場でのリアルタイム安全確保: Fogsphereは、建設現場などで作業員の危険な行動をリアルタイムで検知し、安全を守るAIエージェントを提供しています。

これらの取り組みは、T-MobileがNVIDIAやNokia、様々なソフトウェア企業などと協力し、AI機能をテストして実用化する、という幅広い戦略の一環です。

ビジョンAIエージェントの開発を加速する「Metropolis VSS 3 Blueprint」

世界には15億台以上のカメラがありますが、その映像の1%未満しか人間によって確認されていません。NVIDIAは、この課題を解決するため、「Metropolis VSS 3 Blueprint」を導入し、AIエージェントがエッジからクラウドまで動画を分析できるようにします。

この最新バージョンには、次のような特徴があります。

  • AIエージェントによる情報検索: AIエージェントは、人間が話すような複雑な質問を理解し、5秒以内に動画の中から特定の出来事を見つけ出すことができます。

  • モジュール型アーキテクチャ: 柔軟な仕組みなので、小売店から倉庫まで、様々な環境に合わせて簡単にAIを導入できます。

  • 100倍の効率性: VSSは、人が手作業で確認するよりも最大100倍速く長い動画を要約でき、作業時間を大幅に減らし、世界の物理的な現場での確認コストを削減します。

このVSS Blueprintは、Caterpillar、KION、日立、HCLTech、シーメンス・エナジーなどのパートナー企業によって、様々な業界で効率化や安全性向上に活用されています。

まとめ

NVIDIAとT-Mobileの協力は、5GネットワークをAIの強力な基盤に変え、現実世界でAIが活躍する「フィジカルAI」の可能性を大きく広げるものです。これにより、都市の安全性の向上、産業現場の効率化、施設の管理強化など、私たちの生活や社会がよりスマートで安全になる未来に期待が寄せられます。

NVIDIA VSS Blueprint」についてさらに詳しく知りたい方は、build.nvidia.comをご覧ください。

また、ジェンスン フアン氏によるGTC基調講演や、ビジョンAIに関するセッションも視聴できます。

詳細については、NVIDIAおよびT-Mobile US, Inc.のウェブサイトをご覧ください。

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