AI(人工知能)の進化は、世界の産業構造に大きな変化をもたらしています。台湾の機械産業も例外ではなく、AIと自動化が今後の成長を大きく左右する重要な要素となっています。ワイズコンサルティング グループが発行する専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の最新号では、この台湾機械産業の現状と未来について深く掘り下げられています。

台湾機械産業の「二極化」:AIが牽引するハイテク設備の躍進
2025年の台湾機械設備製造業の生産額は、およそ1兆445億台湾元と推定され、前年と比べて3.9%の増加となりました。この成長の背景には、AI(人工知能)の需要拡大や半導体への投資が大きく影響しています。特に、AI関連の技術を活かしたハイテク生産設備は、生産額が前年比18.6%増と大きく伸び、産業全体の成長を力強く支えています。これは、まるでAIが産業の新しいエンジンになっているかのようです。
一方で、昔ながらの機械を製造する部門は、ユーザーがあまり積極的に投資しない傾向にあるため、少し落ち着いた状況にあります。このように、AI関連のハイテク設備がぐんぐん伸びる一方で、従来の機械が足踏みするという「二極化」の動きが見られます。2026年もこの傾向は続き、AIと自動化が産業全体の形を大きく変えていくと予想されています。

AI需要がもたらす電力問題:蓄電補助金制度の課題
AIの普及が進むと、コンピューターの計算に必要な電力が増え、特に夜間の電力不足が心配されています。これに対応するため、台湾経済部は50億元(約230億円)規模の「需要家側蓄電(BTM)」という補助金制度を設けました。これは、企業が自分たちで電気を貯める設備(蓄電池)を導入するのを助けるためのものです。
しかし、この制度にはいくつかの課題があります。例えば、補助金の対象となる台湾製の電池は高価で大きく、今の電気料金の仕組みでは、蓄電池への投資が元を取るまでに6〜8年もかかってしまうため、企業があまり導入したがらないという声が上がっています。産業界からは、もっと自由に電力を取引できる市場を作るなど、企業にとってメリットが大きい仕組みを求める声が強まっています。
半導体設備で急成長を遂げる均豪精密工業(GPM)
設備メーカーである均豪精密工業(GPM)は、事業の方向性を大きく見直し、半導体関連の事業に力を入れています。その結果、2025年には、会社の売上高の6割以上が半導体設備から得られるまでになりました(子会社を含めると8割)。
かつて低迷していたパネル市場から、研究開発の担当者をAI半導体に使われる「先進パッケージング(CoWoS)」という技術の設備開発へと大胆にシフトさせました。さらに、世界的な企業と協力して、高い精度が求められる検査装置の受注にも成功しています。これは、AI半導体の時代において、均豪精密工業が素早く変化に対応し、競争力を高めている良い例と言えるでしょう。
台湾ファスナー産業の挑戦:高付加価値化へのシフト
ねじやボルトなどの「ファスナー」を作る台湾の産業は、2025年にアメリカの高い関税やEU市場の景気低迷という二つの大きな課題に直面し、生産額は前年より5.8%減少しました。しかし、その一方で、台湾国内のハイテク産業や航空宇宙産業で使われるような、高性能で特殊なファスナーの輸入額は17.5%も増えています。
これは、単に安い製品を大量に作るだけでなく、より技術力が高く、品質の良い製品を作る「高付加価値化」へのシフトが求められていることを示しています。また、EUが地球温暖化対策として導入する「炭素国境調整措置(CBAM)」という新しい制度が本格的に始まることを見据え、台湾のファスナー産業は、これまでの「規模と価格」で勝負するやり方から、「技術と強さ」で勝負するやり方へと、大きく考え方を変える必要に迫られています。
「ワイズ機械業界ジャーナル」について
「ワイズ機械業界ジャーナル」は、台湾の機械業界に特化した日本語の情報誌です。半導体設備、工作機械、ファスナー、エネルギーなど、幅広い分野の最新情報が満載で、業界のトレンド、企業の動き、統計データ、法改正情報などを網羅しています。豊富な写真や図表で読みやすく、PDF形式で提供されます。

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