AIの進化を支える「プログラマブルASIC」市場、2035年までに約373.5億ドル規模へ成長予測

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プログラマブルASIC市場が大きく成長する理由

SDKI Analyticsが実施した最新の市場調査によると、「プログラマブル特定用途向け集積回路(ASIC)市場」は、2025年に約197億米ドルの規模でしたが、2035年までには約373.5億米ドルに達すると予測されています。これは、予測期間中に年平均成長率(CAGR)約6.8%で成長することを示しています。

プログラマブル特定用途向け集積回路 (ASIC) 市場の成長予測

ASICとは?なぜAIで重要なのか

ASIC(エーシック)とは、「特定用途向け集積回路」のことで、特定の目的のために特別に設計された半導体チップを指します。一般的なCPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理装置)が様々な処理をこなす汎用的なチップであるのに対し、ASICは特定の処理に特化しているため、非常に高い性能と電力効率を発揮します。

特に、AI(人工知能)の分野では、複雑な計算を高速かつ効率的に行う必要があるため、AIの処理に特化したASIC(AIアクセラレータ)の需要が高まっています。プログラマブルASICは、一度設計した後でも、プログラムによって機能を変更できる柔軟性を持っているため、進化の速いAIアルゴリズムにも対応しやすいという利点があります。

市場成長の背景にあるAIとIoTの進化

この市場の大きな成長を支えているのは、カスタムメイドの高性能ハードウェアへの需要の増加と、IoT(モノのインターネット)およびエッジコンピューティングの急速な拡大です。

IoTデバイスやエッジコンピューティング機器では、クラウドサーバーに頼らず、デバイス自体でリアルタイムにデータを処理することが求められます。プログラマブルASICは、複数のセンサーからの入力を統合し、その場で処理する能力を持つため、これらのニーズに応えることができます。これにより、低消費電力で柔軟な半導体への需要が高まっているのです。

市場の課題:高額な開発・製造コスト

一方で、カスタムシリコンの設計、検証、製造には高額なコストがかかります。この開発・製造コストの高さが、予測期間中の市場全体の成長を一部阻害する要因となると予想されています。

プログラマブルASIC市場の動向

技術ノード別セグメンテーション

プログラマブルASIC市場は、技術ノード(半導体の製造技術の細かさを示す指標)別に「7nm以下」「10nm~28nm」「28nm~45nm」「45nm以上」に分けられます。

このうち、データセンター、高度なネットワーク機器、AIアクセラレータにおける超高性能かつエネルギー効率の高いチップの需要増加、AIおよび高性能コンピューティングワークロードにおけるメモリ帯域幅と相互接続性能への注目の高まりにより、「7nm以下」のセグメントが予測期間中に約45%という最大のシェアを占めると予想されています。

地域別セグメンテーション

地域別に見ると、北米市場が予測期間中に急速な成長を記録すると予想されています。これは、AI、半導体設計イノベーション、ハイパースケールコンピューティングにおけるリーダーシップ、そしてカスタムシリコンの採用を加速させるファブレスチップ企業、クラウドプロバイダー、IPベンダー、EDA企業の存在が要因です。また、エネルギー需要の増加や政府による半導体産業へのインセンティブも、この地域の成長を後押ししています。

日本市場も、自動車工学、産業オートメーション、ロボティクスにおけるリーダーシップ、ADAS(先進運転支援システム)の統合拡大、電気自動車生産の拡大、スマートファクトリー、予知保全システム、そしてプログラマブルASICへの移行により、2026年から2035年の間に大きなシェアを占めると予想されています。

注目すべき企業の動き

SDKI Analyticsの調査では、プログラマブルASIC市場の企業では最近、以下のような開発が行われています。

  • 2026年2月、TaalasはAI推論向けのプログラマブル/カスタムASICエコシステムを提供する「Taalas Hardcore AIアーキテクチャ」の立ち上げを発表しました。

  • 2025年5月、Renesasはインド政府と提携し、スタートアップ企業を通じてイノベーションを推進し、インドの半導体エコシステムを強化する動きを見せています。

まとめ

プログラマブルASIC市場は、AIやIoTといった最先端技術の進化に不可欠な存在として、今後も大きく成長していくことが見込まれます。高額な開発コストという課題はあるものの、その柔軟性と高性能は、未来のテクノロジーを支える重要な鍵となるでしょう。

この調査レポートの詳細や無料サンプルレポートは、以下のリンクから入手できます。

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